フリーランスで働くあなたに読んでほしい。バスガイドせがわとみこのドラッカー流マネジメント実践報告「人は誇れるものを成し遂げて、誇りをもつことができる」~東北の真夏の夜の祭り


ドラッカーを学びセルフマネジメントの能力を身につけイキイキ働きワクワク生きるフリーランスバスガイドせがわとみこでございます。

東北が一番の盛り上がりを見せるのは夏祭りシーズンです。夕暮れ時ねぶた祭りのお囃子を練習する音色がいっそう響き渡る7月の声を聞く頃「今年の夏祭り期間も身体を空けててくれますか。よろしくお願いします」、バス会社さんと私の間に入ってこまごまとしたやり取りをしてくださっている会社の社長さんから連絡がはいります。私は「かしこまりました」とお答えし、夏まつり期間の1週間は他の予定を入れないよう調整し、体調を万全に整えます。

4月~11月くらいまでの東北観光シーズンのなかでバスガイドが不足するのは、春の桜、修学旅行、夏祭り、秋の紅葉、と相場は決まっています。もちろんどんな仕事も気合万全で臨んでいますが、そんななか夏祭りの仕事を引き受けるときはひときわ気合が入ります。

私の仕事が山登りだとして…普段登っているのは500メートルから800メートルくらいの山だとしましょうか。それに比べて東北夏祭りウィークは、1年に1一度目指す富士山の頂上みたいなものかしら。

基本的に夜に行われるお祭りばかり。シーズン中、市内の宿泊先はどこも満杯状態。たいていのツアーの宿泊先は祭り見物後2~3時間走った場所に設定されています。宿入りは23時~24時。道路状況によっては日付をまたいじゃう、なんてこともしばしばです。日中は観光名所を巡りながら次の祭り会場のある街へ向かいます。朝は9時くらいの出発だとまだラクなほう。そんな状態でトータル3~4団体のお客様をご案内する1週間が続きます。正直言って身体はきついです。案内しながらまぶたが閉じそうになる自分に気づいてハッとすることなきにしもあらず。

しんどいのがわかっていながらなぜ引き受けるのか

私はフリーランス。断ろうと思えば仕事はいくらでも断ることができます。でも、引き受けます。夏祭りは富士山登山…私にとって1年に1度の大きな成長の機会だからです。

私にはバスガイドに関して自分なりのルールがあります。「原則として事前に示した稼働可能日以外の仕事は引き受けない」「東北6県と栃木県日光あたり~東京周辺~神奈川県鎌倉あたりまでの仕事なら余裕の顔して引き受ける」「この人と働くのは御免だと思う(価値観の相違ある)人からの依頼はどんなに高額だろうと断る」「つらそうだとか大変そうだという理由で仕事を選ぶことはしない」などがそれにあたります。あらかじめこれらの基準を決めておくことで主体性をもって働くことができていますし、そういう自分であるための努力を惜しまずに続けていこうというモチベーションにも繋がっています。今はほとんどありませんが私が若いころはバスで東北から関東方面にいらっしゃるお客様もけっこうありました。そのとき積んだ実績は今の自信につながっています。マイクを持ち気分よく案内できているとき、「あの当時かけた負荷が今の私をつくってくれているんだなぁ」と感じます。しかし、すべてのことは陳腐化する。フリーランスは働きぶりを評価するのも自分自身。自信が過信にならないためのアンテナをはりめぐらせる大切さも、これらの基準が教えてくれます。

ある意味「どこにでも行く」私には頼む側は頼みやすいのかもしれません。その証拠に遠慮なく予定をコロコロと変えてくれます(笑)そのたびに私は余裕の顔して引き受けて、それをできる自分を愛しく思ってニヤニヤするという変態です。

そんなこんなで夏祭り期間中は何が起きても対処できるよう着替えを多めに持参して旅にでるというありさま。お祭り期間以外はここまでの無理はしないのですが、なぜかこのときばかりは自分に負荷をかけてみたくなるのです。はいそうです。変態です(笑)

夏祭りの仕事は気を抜けません。いろんな配慮が必要です。集中して人が集まる場所の交通はマヒしますし、携帯電話は繋がりづらくなります。昼と夜は情景が変わるのでお祭りに夢中になったお客様は迷子になりやすいです。なによりお客様たちにもだんだん疲れが出てきます。いつも以上にドライバーと添乗員とバスガイドのチームワークが試されます。お客様の快適な旅のためそれぞれの知恵を出し合うことが求められます。携帯電話が繋がらない場合も想定して打ち合わせをします。細心の注意を払ってコミュニケーションを取り合い、協働します。だからこそ「いいチームでいい仕事」ができた時の歓びはひとしおです。その気分を味わえるのは富士山の頂上を目指したからこそのこと。500メートルの山に登ったくらいじゃなかなかね(笑)

あえて高い山を目指すのは飽きっぽい自分を知っているから、という意味もあります。バスガイドという仕事に楽しみながら取り組んでいくための私なりの工夫であり、秘訣でもあるわけです。

仕事が刺激を与えるのは、成長を期しつつ、自ら興奮と挑戦と変化を生み出すときである。これが可能となるのは、自らと仕事の双方を新たな次元で見るときである。 『非営利組織の経営』218ページ

令和元年東北夏祭りシーズン。おかげさまで今年もいいチームでいい仕事をすることができました。きつさやしんどさは普段の何倍もある。だけど決してそれだけじゃない。さらなる高みを目指す歓び。達成の歓び。

人は誇れるものを成し遂げて、誇りをもつことができる。さもなければ、偽りの誇りであって心を腐らせる。人は何かを達成したとき達成感をもつ。仕事が重要なとき、自らを重要と感じる。 『現代の経営(下)』168ページ

たまには高い山にも登らないとね!!!

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瀬川 智美子

瀬川 智美子

(せがわとみこ)青森県十和田市出身、青森市在住。実践するマネジメント読書会ファシリテーターとして青森・仙台の読書会を担当、ときどきバスガイド。地元のバス会社で観光バスガイドを12年勤めたのち、夫の転勤に伴い仙台・名古屋・札幌で暮らす。都会の街で出会った学び、そして同じ学びを通し絆を深め合えた仲間たちとの関わりのなかで「おとなになって学ぶこと」の楽しさに目覚める。人の成長に欠かせない継続的で上質な学びの場を(都心へ行かずとも)地方で受けられる環境を整えて、そこに集まってくださる方々に笑顔の花が咲くのを見るのが究極の喜び。「東北地方にドラッカー思想を広めイキイキ働きワクワク生きる人を増やす」を旗印に勇往邁進することをここに誓います。フリーのガイドとして観光バスに乗る時は「また来たくなる東北」をミッションにドラッカーのマネジメントをバスガイドの現場で実践する全国唯一(?)のドラッカリアンなバスガイド。

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