『マネジメント[課題・責任・実践](上)』第21章「仕事への責任」(5節)明確な権限
さらにまた、働く者に責任をもたせるには、これら3つの条件に加えて、もう一つ必要なものがある。権限を明確にしておくことである。働く者としては、自分にはどこまで任せられているかを知らなければならない。
『マネジメント[課題・責任・実践](上)』P323
4月から職場が変わり仕事の内容も変わりました。現場から本社勤務へ変わり、新しい端末機器を現場スタッフに教育する仕事へ。新しい端末機器なので、研修用のテキストを改定する仕事を任されました。
今までは現場責任者として、プロジェクト全体を見て本社部門との調整をとりながら、現場に与えられた権限の中で、自分自身で判断することに慣れてしまっていたので、「研修テキスト」を改定するという仕事が、どこまでを任されているのか、急にわからなくなってしまいました。
今までと同様な構成でよいのか?新しい端末機器だから運用も変更するので、新しい構成にするのか?
研修講師は誰を想定して作成するのか?
端末機器に関する新しい技術情報は、どの部署の誰から取得するのか?情報取得、確認の許可承認は誰にするのか?
これらは誰の判断を仰ぐのか?一つひとつクリアにしていかなければなりません。これが明確になっていないと、指示待ち状態となって、身動きがとれなくしまったのです。
研修テキストを作成するという仕事ひとつを取り上げても、これだけの意思決定が必要なのです。ドラッカー教授が説いていることが身にしみました。マネジメントする者は、明確な権限関係の必要性を認識しなければならないことを、職場が変わったことで再認識しました。
この節でドラッカー教授が説いている「明確な権限」の重要性は、組織に全体の危機が訪れ、対処方法の決まっていない緊急事態が発生したとき、定められたある特定の人間が素早く決定を行わなければ、全体が危機におちいることです。
さらに決定を行うのが誰であるかを事前に知らされていなければならない。さもなければ混乱に陥る。その者が「こうせよ、ああせよ」といえなければならない。その者が、どれだけの権限をもつかに全体の運命がかかっている。そのような明確な権限を持つ者を抜きにしては、誰も安心して仕事はできない。
by P.F.ドラッカー
次回は「職場責任」がテーマです!


五月女 圭司
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