<バックナンバー>
この動画を始めて半月が過ぎたあたりから、少しづつ色んな方が感想をいただく様になりました。
その中で、ある意味いちばんショッキング?だった感想が、
「ちゃんと読書会やっててビックリした!」
というもの!(笑)
これを言ったのは、私の読書会に参加してくれている、後輩ファシリテーターです。ひとりのみならず、2人も言いやがりました…(^^;
2人とも、別に悪気があって言った訳じゃありません(笑)
きちんと理由があって、こうなるのです。
なぜこうなるかと言うと、実際のリアルな読書会は「言葉を道具として使う」ためのものだから。
以前も書きましたが、本で読んだ「言葉」は、まだ情報に過ぎません。
その情報を実際に仕事の現場などで繰り返し使い、実際に成果につながる経験を積むことで、情報ははじめて知識となります。能力として身につける入り口に立てるのです。
対面で行う実際の読書会では、ドラッカーの言葉の解説もしますが、「明日から〇〇を実践してみよう!」という話の方がメインになります。
もちろんドラッカーの言葉の基本的な解説はしますし、できるだけ全体を網羅できるようナビゲートしますが、中心となるのは実践の方です。
ドラッカーをきっかけに、これまでの自分の常識にはなかったことにチャレンジする。
こうして実践したことを、次回の読書会で再びコメントし、フィードバックを得る。
単純なことの繰り返しですが、10カ月、1クールの読書会が終わる頃には、驚くほど成長する参加者さんが何人もあらわれます。
単に情報を詰め込むのではなく、実践から「学び取る」こと。
ここから人の成長は始まるのです。
普段の読書会よりも動画の方が、きちんとドラッカーの解説をしているという、ある意味、逆転現象のようなことが起きてしまっているみたいですが、、、
残念ながら動画を見ていくら情報を得ても、その使い方が身についていなければ、なかなか自分自身を成長させることは出来ません。
成長の仕方の方を身につけるために、ぜひリアルな読書会の方にも、遊びにいらしてくださいね!
それでは、今回の動画に参りましょう。
<ひとりドラッカー読書会18 『経営者の条件』第2章:汝の時間を知れ(1)>
【本文該当箇所】 46ページ:
成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。
【一言コメント】
「時間管理」「タイムマネジメント」と言うと、一般にはスケジュール管理の延長線上のようなイメージを持つ方が多いと思いますが、ドラッカーの言う時間管理とは、時間という「資源」のマネジメント。どこに資源を投下し、どのようなアウトプットを得るかという、資源の生産性について考え行動することなのです。第2章では、この時間という資源のマネジメントについて学んで行きます。
<ひとりドラッカー読書会19 『経営者の条件』第2章:汝の時間を知れ(2)>
【本文該当箇所】 46ページ:
時間を記録する、整理する、まとめるの3段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる。
【一言コメント】
時間という資源を管理するためには3段階にわたるプロセスがあるとドラッカーは言います。1つ目の段階は「記録する」こと。時間という資源は無意識のうちに消費されてしまうからこそ、それを意識下にあげるために客観的な媒体に記録しなければなりません。2つ目の段階は「整理する」。成果につながっていない活動を整理し、活動を廃棄したり、人に任せることを通して資源を開放しなければなりません。3つ目は「まとめる」という段階。ナレッジワーカーは、細切れの時間ではたいした仕事ができません。塊の時間をつくるべく時間をまとめることが重要です。
<ひとりドラッカー読書会20 『経営者の条件』第2章:汝の時間を知れ(3)>
【本文該当箇所】 48ページ:
われわれはどのように時間を過ごしたかを記憶に頼って知ることはできない。
【一言コメント】
人は都合よく記憶する生き物だとドラッカーは指摘します。自分自身の時間をどのように使ったのかは、実際に記録してみなければ分かりません。組織で仕事をしていると、人とのコミュニケーションや、当初予定していなかった仕事に時間を奪われることが多々あります。実際の時間がどのように使われたのかを記録し、分析してみることで、はじめて自分が時間という資源をどのように使ったのかを知り、成果に向けて資源の使いこなすスタートラインに立つことが可能となります。
<ひとりドラッカー読書会21 『経営者の条件』第2章:汝の時間を知れ(4)>
【本文該当箇所】 52ページ:
仕事の関係に人間関係がからむと、時間はさらに必要になる。
【一言コメント】
英語では“Work”という同じ単語ですが、「仕事」そのものと、「人が働く」ことは、根本的に異なるとドラッカーは言います。それゆえに「人に仕事を任せる」だけでも、本当の意味で権限と責任を移譲するには、多大なる時間を必要とします。この時間を過小に見積もると、仕事の責任ではなく作業のみを任せるにとどまり、「指示待ち族」のような部下を育てる事になりかねません。優れた仕事を行うチームをつくるためにも、やはり大きな塊の時間が必要になるのです。
<おわりに>
私が中学生のとき、不思議な塾の先生に出会いました。
その先生の授業は、「60分でたった1問を解く」というもの。
高校受験を1年後に控えた受験生たちに、たったそれだけの授業を提供している先生でした。
不思議なことに、その先生の授業を受けた生徒たちは、ぐんぐん成績が伸びて行きました。その授業は数学の授業だったのですが、なぜか他教科の成績も伸びて行き、県でトップクラスの成績をあげる子が続出しました。
いま思えば、その授業から私たちが身につけたのは、「考え抜くことの楽しさ」や「学ぶことの楽しさ」という、一種の「能力」だったように思います。
周囲からの評価を意識し、結果ばかりを気にして勉強していた子どもたちが、学ぶことそのものの楽しむという「能力」を身につけたとき、自然と結果もついていったのだと感じています。
読書会という場も、ある意味同じような場だと思いながら運営しています。
やっていることは、ドラッカーの言葉を読み、「明日から実践してみること」を決め、1か月後に報告をもらい、それに対するフィードバックを提供すること。ただひたすら、この繰り返しです。
そんな中から、参加される方が「自分で考えて行動することの楽しさ」や「学ぶことの楽しさ」「成長することの楽しさ」を感じてくれているのだと思います。なぜかは分かりませんが、結果として、成果をあげる人があらわれたり、大きく成長する人があらわれます。
一般的に、「楽しさ」を感じることを「能力」だと言う人はあまりいませんが、私はその時の経験から、それも一種の「能力」と呼んで良いのではないかと思っています。しかもかなり、中核的な「能力」なんじゃないかと思っています。
ドラッカーの言葉は、この「能力」を呼び覚ましてくれる言葉でもあるように思います。そして実際の読書会という場で、実践とフィードバックを繰り返す中から、さらにこの「能力」が呼び覚まされていくように感じています。

鹿島晋

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