「実践するドラッカー講座」を社内向けに開催し、苫小牧のフリークーポンマガジン「REATTA(リアッタ)」の発行を通じて地域を活性化する(株)OTis(オーティス)取締役 森夕希子さん


森夕希子さん

(株)OTis(オーティス)取締役

森夕希子(もり・ゆきこ)さん

 

1986年、平取町生まれ。

札幌の専門学校で医療事務の勉強後、

苫小牧の薬局に勤務。2010年に入社。

 

 

女性が多数の会社で唯一の取締役

 

―会社の概要をおしえてください

森 当社は2004年に創業、フリークーポンマガジン「REATTA(リアッタ)」の2005年発行を主に、広告事業部・フォト事業部・福祉事業部・指定管理事業部・ポイント事業部・保育事業部・ICT事業部の7つの事業を苫小牧市内で展開しています。

「リアッタ」は毎月発行、部数は5万部です。A6版というポケットに入る小さな紙面で、平均は180ページほどの分量があるタウン情報誌です。

 

―どのような経緯で入社を?

森 札幌の専門学校を卒業後、高校時代を過ごした苫小牧に戻って薬局に勤務していました。その勤め先に社長の大宮久司がよく顔を出していて、なんとなく知っていたのです。

社会人になって3年目、求人もしていなかったのですが、社長に頼み込んで入社させてもらいました。今から9年前。当時は7〜8人の会社でした。「広告のほかにイベントをやっていたりして、なんかおもしろそうなことをやっている会社」という印象でした。

まったく畑ちがいの業種への転職でしたが、もともと4つくらい仕事をかけもちしていたこともあり、忙しい状態が好きでした。当社もそういう環境だったこともあり、入社してもとても心地いい状況でした(笑)。刺激もすごくあって楽しく働いています。

 

リアッタ を説明する森さん

 

―仕事はどのようなことを?

森 主はフリーペーパー「リアッタマガジン」の営業です。出稿していただいた企業やお店の担当者とメディアとの橋渡し役。制作担当にコピーと写真を入稿したり、あがってきたゲラをクライアントに校正してもらったりがメインの仕事です。

会社の理念として、「お客さまから『ありがとう』と言われる志事をする」ということがあります。自分としては、ここがすごくはまっています。ただリアッタをつくることだけではなくて、クライアントの販売促進策を考えたりもします。チラシをつくる、名刺をつくるといったこともします。

営業方法としては、自分で行き先を決めて飛び込みや電話アポを社内の担当者にお願いします。私が入社前は、知名度もなくクライアントからは「なにそれ」という反応でした。でも、最近では知名度も上がっており媒体とクライアントの強みを生かせるご提案をさせて頂き「掲載してみます!」と言って頂けるようになってきました。

掲載が決まったあかつきには、「どうやって集客につなげるか」、「レスポンスを高めるためにはどうしたらいいか」を必死に考えます。紙面づくりに知恵を絞ります。

 

―取締役としてはどのような役割を?

森 管理するというよりは、みんなのモチベーションをどう上げられるか。このことに腐心しています。そのためには、自分の経験を伝えることや、どうすればお客さまのためになれるのかといった相談にのっています。

今、スタッフが80人くらいて、女性が8〜9割を占めています。女性の役員はわたしひとり。なので、女性の働きやすさだったり、子育てしながら働いているスタッフのケアもわたしの役割です。

 

苫小牧市内を歩く森さん

 

ドラッカーマネジメントを全員で学ぶ

 

―ドラッカーを知ったのは?

森 4〜5年前になります。当社は社長からの指示で専務と常務が、ドラッカーのセミナー「実践するドラッカー講座」を札幌の道銀ビルで受講していました。社長は独学でドラッカーの本を読んでいたそうです。翌年から役員が全員受けようということで、わたしも一緒に3人で参加しました。

セミナーを受講して「このセミナーは1回だけではなくて、2回・3回と受けたほうが身につく、これは会社の方向性や考え方にマッチングするからOTisで働く全員に共有したい」と専務が思って、その翌年から会社で実施しました。

 

―自社でも講座を開催?

森 「実ドラ実践ナビゲーター」である田畑祐司さんと石川辰義さんが講師として来てもらって社員全員を対象にしたセミナーを開催しています。苫小牧市民会館の会議室を借りて、年5回。仕事を終えたあとの時間帯に集まってやっています。

反応は、最初はみんなポカンとしていました(笑)。ことばが難しかったり、知識ではなく考える問いがあったりして。1回では難しい。何回か開催することで社員の「ことばが揃ってきている」ようになりました。講座の内容は、オリジナルのテキストを使って、レクチャーをやってワークを入れてというものです。

 

―ドラッカーに響いた部分は?

森 最初にドラッカー講座を聞いた時、時間管理の部分や集中するということが響きました。自分の良さとか強みに関することもわからないまま、ただひたすら働いていたということに気がつきました。きちんと自分の強みを知らなければだめだと思いました。セミナーを受けて、『実践するドラッカーシリーズ 行動編』(ダイヤモンド社)を読むようになりました。

 

―組織の成果はどんなこと?

森 ドラッカーセミナーを受講していくうちに、各部署の向かっていく方向が揃ってきました。集中すべきところはどこかとか、時間の使い方はどうしたらいいか、といったことをお互い共通の言葉でコミュニケーションできるようになったと思います。広告事業部の売上は、前年比105〜110%になっています。

数字以外では、人に対して文句を言わなくなったように思います。不平不満が少なくなった。「あの人が大変そうだから手伝ってあげなきゃ」という雰囲気に変わりました。人に対してのやさしさが出てきました。

社内の空気が変わったのは、専務自身が変わったことも大きいでしょうか。専務は人一倍努力をする人で、ストイックです。なので、努力出来ない人に対して「なんでできない」と叱るようなタイプでした。それがドラッカーのマネジメント講座を受けてからは、今までとは人が変わったようになりました。今は、努力の仕方を伝えたり、できる仕組みづくりを担当しています。

 

営業中の森さん

 

―個人の成果としては?

森 飲食店で商品開発のアドバイスをした時のことです。1日10食程度しかオーダーがなかったメニューを、1年後には150食ほどに伸ばしたことがあります。この店では試作も一緒にやりました。ずっと継続してもらって今ではこのメニューが看板商品になっています。リアッタの場合では、成果はクーポンでしか計測できないのですが、200枚の戻りがあった号がありました。紙面の見せ方、読者さんのニーズに合致したからでしょうか。

「目標は口に出すと実行できるよ」ということを講師から教わりました。お客さまの前で「リアッタを使ってレスポンスを出します!」と宣言するのです。すると己を奮い立たせることができます。苦労していることは、常に新しい情報を追いかけていくことでしょうか。流行にアンテナを張ることが大切であり大変なところです。SNSなどをいつもチェックしています。

 

―今後の目標はどんなこと?

森 今年からフィリピンに事務所を出して現地のエンジニアを志望する大学生と苫小牧の人手不足の会社とをマッチングさせる事業をスタートさせました。これを軌道に乗せることが目標のひとつです。

海外関係で言うと、苫小牧にはIR(Integrated Resort=統合型リゾート)を誘致するという動きがあります。会社としては推進派です。地元の経済が動くということで、苫小牧の経済をより活性化させることがわたしたちの使命でもあります。その達成のためにも一層ドラッカーのマネジメントを学び、習慣化させ、成果として世の中を変えていけるようにしたいと思っています。

 

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花岡 俊吾
アウトドアライター/記事制作者   1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、「北海道体験.com」のプロジェクトに参画。人口減少の道内経済に貢献すべく、北海道の新しい体験観光情報の発信をライフワークにする。カメラを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドやキャンプ場の取材活動。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』(北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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