Biz Clipというサイトに私が監修する<実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ>というドラッカー・マネジメントの実践者の連載記事が載っています。一連の記事はドラッカー教授の言葉を経営に用いて成果をあげた実践例です。
テーマはバーベキューで利益率倍増です。
この事例から人のマネジメントの領域について次の点などを学ぶことができます。
<ポイント>
・「何によって憶えられたいか」を問う
・いい社風をつくるための活動を蓄積する
ドラッカーの言葉
「経済的な業績は、差別化の結果である。差別化の源泉、および事業の存続と成長の源泉は、企業の中の人たちが保有する独自の知識である。成功している企業には、常に、少なくとも一つは際立った知識がある。そしてまったく同じ知識をもつ企業は存在しない」
『創造する経営者』
佐藤等の解説
組織の強みとは何か。ドラッカー教授は、組織を構成する個々のメンバーが持つ「独自の知識」だと考えた。その知識は、1人ひとりが無意識に繰り返す活動や行動に表れる。
例えば、トヨタ自動車には「トヨタ式」という言葉に象徴される独自の知識がある。その蓄積が、他社との間に顧客価値の差を生む。実際にはトヨタに限らず、大抵の企業が独自の知識と強みを持つ。しかし、自覚するのが難しい。得意なことは当たり前にでき過ぎて、自分では気付きにくい。
ドラッカー教授は、自社の強みを知る手がかりとなるいくつかの問いを残した。都田建設の蓬台(ほうだい)社長は、これらを使って、自社の強みを認識した。何気ない顧客の言葉に大きなヒントがあった。いったん強みが分かれば、強化が可能になる。都田建設では、社員の魅力を磨くため、週1回のバーベキューを始めた。組織の強みを伸ばす活動を日々積み重ねることが、業績に大きな差を生む。
事例をお読みになる際には「マネジメント体系」を意識して読むと理解が深まります(拙著『ドラッカーを読んだら会社が変わった』日経BP社p.207)。
現在第20回以降の記事を活用した新刊を企画中です。お楽しみに。


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