皆さんこんにちは!
今週も『人生を変えるドラッカー』の「言葉」解説をお送りいたします!
これまで
『知識労働者』
『貢献』
『成果』
『強み』
『集中』
『廃棄』
『意思決定』
『読書会』
『エグゼクティブ』
『なすべきこと』
『修練』
『知覚』
『記録』
『責任』
『動機づけ』
『位置と役割』
『卓越性』
『成長』
『塊の時間』
の言葉の定義をお伝えしてきました!
今週は『成果その2(三つの領域)』です。
よろしくお願いします♪
東堂先生による【ことば解説】「22.成果その2『3つの領域』の定義」
「成果」という言葉の定義については以前にもお伝えしました。
成果は外にあり、そして『経営者の条件』では
result
performance
effective
の3つの言葉がそれぞれ「成果」と訳されております。そのそれぞれのニュアンスを以前の記事でご紹介しました。
以前の「成果」の定義の記事はこちらになります。
著者が語る『人生を変えるドラッカー』を100倍生かす方法!読書会ファシリテーター東堂先生による【ことば解説】「3.『成果』の定義」
今回の記事では、その成果の定義パート2として三つの領域についてお伝えしますね!
今回も『人生を変えるドラッカー』の引用をしていきます。
~以下一部略しての引用です~
「お客さんのことが数字にしか見えない」というタイトルのシーンから。
杉並柊介が働く広告代理店の同僚で、営業MVPを毎回獲っているスーパースター陣内が、スランプに陥っているところです。会議での陣内の台詞から引用を始めます。
「スランプ……っていうわけじゃないですよ。ただふと気づいちゃったというか、あほらしくなっちゃったというか。課長、僕が数字を追いかけなかったら、僕の価値って何なんでしょうね。お客さんのことが数字にしか見えない。疲れちゃったんです、そんな自分に」
会議室は静まり返ったままだ。
「課長」、陣内が突然立ち上がる。
「アポがあるので失礼します。今日は直帰します」
パタンと閉じられたドアを、嶋課長はただ見つめるだけだった。
会議が終わるやいなや、柊介は陣内の携帯に電話をかけてみたが、つながらなかった。夜、また自宅でかけてみたが、だめだった。留守電に入れる言葉さえ見つからなかった。
柊介は自宅のソファに座り込んで、深いため息をついた。
(陣内……いまどんな気持ちでいるんだろう)
黙って会議室を出て行った友の背中が思い出された。
「僕に数字を任せて少し休めよ」、そう声をかけてやれたら、どんなにいいか。しかし、迫り来る締日を前に、陣内のカバーはおろか、自分の目標達成すら危ういのだ。
陣内の悩みは、他人事ではない。柊介にも、顧客が数字に見えることが増えていた。若いメンバーたちも、やっとの思いで毎月を過ごしている。
創刊以来、みんなで目標数字を追いかけ続けてきたチームに、危ういほつれが出てきたように思われた。何かをしっかりと整えなければ……。
そう思うものの、整えるべきは何なのか、柊介には皆目見当がつかなかった。
柊介は目を閉じて考えた。何か重要なことを見逃している。それは何なのか。何をすればよいのか。出口の見えない、憂鬱な夜だった。
―引用を終わります―
さて、ここからはファシリテーター東堂先生の出番です!東堂先生、どうぞ!
「杉並さん、会社での体験を話してくださりありがとうございます。数字をあげていたからこそ、陣内さんは本質的な悩みを抱えていらっしゃるのでしょうね。確かに売上数字はとても大切な指標です。ドラッカーは「成果は外にある」といいますが、組織が存在し続けるためにそもそも売上があがっていることが大前提でもあります。
ドラッカーは『経営者の条件』第三章「どのような貢献ができるか」で、組織における3つの領域の成果について言及しています。
あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ。したがって、この三つの領域における貢献をあらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。『経営者の条件』p81
ドラッカーはこの貢献の章で、「成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない」、「貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる」といっています。
組織に属する一人ひとりが自分の手元の仕事だけでなく、組織の成果に目を向けることではじめて「貢献」という意識が生まれ、自分のした仕事が組織とつながっていくのです。
つまり、貢献に焦点を合わせるためには組織の成果が何であるかを知る必要があるわけですね。
そしてドラッカーは「なすべき貢献にはいくつかの種類がある」として、三つの領域をあげています。
第一の領域は、「直接の成果」です。企業においての売上数字、利益などの業績です。病院においては治癒率です。直接的な成果は常に重要です。
しかし、それだけではないのです。あと二つあるんです。
第二の領域は、「価値への取り組み」です。
この「価値への取り組み」について、佐藤等先生の『実践するドラッカー【思考編】』ではこのように書かれています。
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「価値への取り組み」の「価値」にはいくつもの意味が含まれていますが、そのうち重要な二つを説明します。
第一に、「顧客価値」への取り組みです。他に選択肢があるのに、顧客がなぜ、店に足を運んでくれるのか。なぜ注文してくれるのか。顧客が支持してくれる理由を明らかにすることです。
ドラッカー教授は『創造する経営者』の中で、事業とは「買わないことを選択できる第三者が、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを提供することである」といいました。
人を喜ばす力の大きさが、顧客価値を決めます。いい換えれば、顧客が喜ぶ付加価値をいかに提供できるか、です。
第二に、「組織の価値観」への取り組みです。組織という土壌に手をかけることで、その土壌にふさわしい種が芽を出し、花を咲かせ身をつけます。
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そして三つ目の領域が、「人材の育成」です。
ドラッカーは「人は貸された要求水準に適応する」「組織は個としての生身の人間の限界を乗り越える手段である」といいます。
貢献に焦点を合わせること、その意識をもってもらうことそのものが人材育成につながるのです。
ですので貢献の視点をもつことで人は成長します。
杉並さんが悩んでいる現在の組織の状況に、この3つの領域の成果を当てはめてかんがえてみるのもよいのではないでしょうか。
ということで今回もブログ読者の皆さん向けに、東堂先生に語っていただきました☆
そうなんですよね。
ついつい目の前の数字を追いかけて、陣内さんのように「お客さんのことが数字にしか見えない」となってしまいませんか。
また、組織の内部にいることにより、目の前の業績がすべてのように思ってしまうことがあるかもしれません。
そのためにもこの貢献の章は、バランスよく全体を見る目を養うことができて、いろいろな意味での「成果」を意識できるようになれそうです。
心当たりのある方は、あらためてこの貢献の章を読み直してみてはいかがでしょうか。
すっと心がシンプルになるような気が私はいつもしております。
今後も「東堂先生が言うであろうちょっとした一言」をお伝えしていきましょう!
ではでは!
次回もお楽しみに!
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