<17回目> 質を決めるのは企業ではない(パート9) -POPの作り方を高めるドラッカー・マネジメントの名言    ◇商品・サービスの相違点を分析し、「顧客にとっての価値は何か」をキャッチコピーにする方法を公開します。


 身の回りにあるヒット商品は、キャッチコピー文法:0ゼロ編にあてはめることができる事例を紹介します。

 

 2019年のヒット商品として注目された次の商品をご存じですか?

 

◎花王 アタックZERO◎

 

 

(花王HPから出典)

 

 

 若手の俳優たちが登場するCMのため注目されています。何度が放映をみた記憶があることでしょう。

 

YouTube配信 ↓ ↓ ↓ (花王HPから出典) ↓ ↓ ↓

 

 

 

 

 この商品はアタックNEOの新シリーズ商品で、2019年春の発売から5カ月で累計4500万本突破!

 これまでの商品「アタックNeo」シリーズの発売5カ月の出荷数量換算で150%増です。

 

 セールスポイントは次の3つになります。

 

(1)ワンハンドプッシュ

(2)ドラム式専用の洗剤

(3)ゼロ洗浄

 

 

(1)ワンハンドプッシュについては、誰でも片手で簡単にという使いやすさの点をアピールしています。対象は、子育て世代やシニア層、手の不自由な方のことを考えたフォルムであり、誰にでも公平にという概念であるユニバーサルデザインとなっています。

 

 キャッチコピー文法:0ゼロ編にあてはめると下記の表現になります。

 

文法       「〇〇から◇◇を0ゼロにする!」

                ↓

アタックZERO 「洗剤投入から不便さ(使い勝手の悪さ)を0ゼロにする!」

 

 改善したい一つの動作(投入や計量)についても“0ゼロ”は無関係ではありません。現代のトレンドである“時短”という視点で捉えると動作も数字で表現できるわけです。ワンハンドプッシュというフォルムによって無駄な動作が“0ゼロ”へ限りなく近づいていることが消費者(生活者)のメリットにつながっています。

 

文法       「〇〇から◇◇を0ゼロにする!」

                ↓

アタックZERO 「家事から洗濯時間を0ゼロにする!」

 

 生活シーンを考えると、洗剤を投入するというほんのワンシーンですが、以前紹介した◆ルンバ◆と同様の0ゼロ事例と言えます。

 

 

(2)ドラム式専用については、タテ型式洗濯機とドラム式洗濯機の洗い方の違いがあります。そのため、使用する洗剤にもそれぞれ特徴があり、その点をアピールしています。

 

<タテ型式>   <ドラム式>

揉み洗い     たたき洗い

水量多い     水量少ない(節水)

 

 <タテ型式>に対応しているのが「アタックZEROホワイト」で、<ドラム式>が「アタックZEROブラック」であることを補足しておきます。

 

 節水できるドラム式は水量が少なくてすむという大きなメリットがあります。一方、一度落ちた汚れが衣類に戻りやすいデメリットがありました。汚れ戻り、いわゆる黒ずみを防ぐ成分が「アタックZEROブラック」には入っています。

 

 キャッチコピー文法:0ゼロ編にあてはめると下記の表現になります。

 

文法       「〇〇から◇◇を0ゼロにする!」

                ↓

アタックZERO 「洗濯水から汚れ戻りを0ゼロにする!」

 

 再汚染しないように新成分(バイオIOS)が汚れに吸着するため、衣類に戻ることがほとんど無いのです。

 

 また、ドラム式は水量が少ないメリットがあるうえ、すすぎが1回で済みかなりの節水効果があります。

 キャッチコピー文法:0ゼロ編にあてはめると下記の表現になります。

 

文法       「〇〇から◇◇を0ゼロにする!」

                ↓

アタックZERO 「洗濯から使用水量を(限りなく)0ゼロにする!」

 

 

(3)ゼロ洗浄については、“3つのゼロへ”をアピールしています。

 

  • 落ちにくい汚れ0へ … アタックの液体洗剤史上では最高の洗浄力
  • 生乾きのニオイ0へ … 抗菌洗剤を超えた消臭力
  • 洗剤残り0へ … センイの洗剤残りが少ないため本来の肌触り

 

 上記は0ゼロの印象を活用したキャッチコピーであることが下記の例のように比較するとわかります。

 

<例>

“落ちにくい汚れを無くす”より“①落ちにくい汚れ0へ”

“生乾きのニオイを無くす”より“②生乾きのニオイ0へ”

“洗剤残りを無くす”より“③洗剤残り0へ”

 

 同じことを伝えているわけですが、記憶しやすいのは0ゼロを表現に活用した方であると理解できます。

 

 

◎0ゼロの作用◎

 

 0ゼロは「無くす(廃棄する)」を表現することもあれば、いろいろなことを表現できる数字です。0ゼロをワード化したものが下記になります。

 

☑単純(シンプル)にする

☑所有しない(シェアへ)

☑やめる(はじめるよりインパクト大)

☑距離感を縮める

☑一体となる

 

 時代を問わず、欲しているのは「0ゼロ」になることという顧客目線がキーワードです。

 

 今一度、アタックZEROの新シリーズ商品の3つのセールスポイントをみてみましょう。

 

(1)ワンハンドプッシュ … ①洗剤投入から不便さ(使い勝手の悪さ)を0ゼロにする!

               ②家事から洗濯時間を0ゼロにする!

(2)ドラム式専用の洗剤 … ①洗濯水から汚れ戻りを0ゼロにする!

                ②洗濯から使用水量を(限りなく)0ゼロにする!

(3)ゼロ洗浄 … 洗濯物から①落ちにくい汚れ②生乾きのニオイ③洗剤残りを0ゼロにする!

 

 

 企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意志を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。

 しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスが提供するもの、すなわち効用である。      (『マネジメント』「エッセンシャル版」p16)

 

 上記から、アタックZEROに求める顧客の価値は(1)~(3)の提供する恩恵や効用は「0ゼロ」(に近づけること)となります。

 

 「0ゼロ」を創造することが経営資源を富みに変え、モノを財貨に変えることになります。

 

 これまで繰り替えてしていることですが、恩恵や効用は素晴らしいことであっても抽象的な表現では伝わりません。具体的にすることが顧客目線(購買目線)の条件です。

 

 そのためのツールとしての数字。その中でもインパクト数列で解説した「0ゼロ」のレスポンスが高いことは、顧客が具体的にイメージできる数字であるわけです。

 

 顧客は合理的である。不合理であると考えるのは危険である。(中略)顧客の合理的に適応すること、あるいは顧客の合理性を変えようとすることが、メーカーや供給者の仕事である。そのためにはまず、顧客の合理性を理解しそれを尊重しなければならない。    (『創造する経営者』p122・123)

 

 伝達スキルとしてキャッチコピーを表現する場合、企業目線で発信し、顧客と価値を共有できていない企業が多いです。

 

 顧客は合理的であり、企業目線で顧客を不合理と捉える危険性はキャッチコピーの表現でも起こっているのが現実です。

 

 企業目線で捉えると、多くの価値を発信したくなります。しかし、顧客目線で捉えると、多く発信される価値は薄れてしまいます。

 

 前述した下記のような、0ゼロをワード化した顧客目線が需要です。

 

☑無くす(廃棄する)

☑単純(シンプル)にする

☑所有しない(シェアへ)

☑やめる(はじめるよりインパクト大)

☑距離感を縮める

☑一体となる

 

 

 キャッチコピーの表現に悩んだ場合、キャッチコピー文法:0ゼロ編を活用することは、恩恵や効用が明確になります。

 

<例>

“落ちにくい汚れを無くす”より“①落ちにくい汚れ0へ”

“生乾きのニオイを無くす”より“②生乾きのニオイ0へ”

“洗剤残りを無くす”より“③洗剤残り0へ”

 

 効用が明確になると、顧客価値が創造されます。キャッチコピーは顧客価値を単に伝達するだけではなく、新たな顧客を開拓することにつながります。

 

 キャッチコピー文法:0ゼロ編は、マーケティングを表現する文法でもあります。

 

 

 

 

これまでの連載

<第1回>事業とは価値転換プロセスである(前編)
<第2回>事業とは価値転換プロセスである(後編)
<3回目> 顧客はドリルではなく穴を欲している
<4回目> 顧客は常に合理的である(前編)
<5回目> 顧客は常に合理的である(後編)
<6回目> 顧客とは決定権をもつ者、拒否権をもつ者である(1)われわれの顧客は誰か
<7回目> 顧客は満足を買っている(2)顧客にとっての価値は何か(パート1)

<8回目>顧客は満足を買っている(2)顧客にとっての価値は何か(パート2)

<9回目> 質を決めるのは企業ではない(パート1)

<10回目>質を決めるのは企業ではない(パート2)

<11回目>質を決めるのは企業ではない(パート3)

<12回目>質を決めるのは企業ではない(パート4)

<13回目>質を決めるのは企業ではない(パート5)

<14回目>質を決めるのは企業ではない(パート6)

<15回目>質を決めるのは企業ではない(パート7)

<16回目>質を決めるのは企業ではない(パート8)

 

 

 

 

 

 

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沼澤拓也
「POPによる客単価アップのスペシャリスト」 ◎公的機関・商店街・大手企業のコンサルティング。大学講師やPOP楽会主宰、POP甲子園®コンテスト審査委員長も務める。最近はチームPOPジャパン®をプロデュース。年間150回を超えるセミナー活動は口コミで拡大中!海外からの依頼で講演を開催し、ファン層はアジア規模である!「実践するドラッカー事業編×POP」コラボセミナーは東京、松本、岡山、神戸、郡山、茅ケ崎で開催。「もしドラ」読書感想文コンテストでダイヤモンド社から特別賞受賞。「POPスター」の愛称で、新聞・雑誌等メディアへの執筆活動やテレビ出演(バラエティ番組、報道番組)など。 <著書>繁盛店が必ずやっているPOP最強のルール(ナツメ社)はすでに第10刷。近著は、たった1行で繁盛店に変える!つい買いたくなるPOPの極意(実業之日本社) <POPチャンネル>http://poporigin.com/
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