2002年に発行されたとは思えない、今読んでも気づきと発見があるドラッカーの著作『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社)。この本をテキストにコロナ下の現代をどう見て、考えて、マネジメントしていけばいいのか。そんなことをドラッカー本から考えるタイムリーが研究会がスタートします。
ドラッカーは、この本の「はじめに」にこう記述しています。「私自身一度だけ、経済が変わり、新しい経済が生まれたと思ったときがあった」と。1929年、ニューヨークの株式市場が崩壊したいわゆる「世界恐慌」を目の当たりにした時のことです。それから70年近く経った1990年代の半ば。「ニューエコノミーが論じられはじめたころ、私は、急激に変化しつつあるのは、経済ではなく社会の方であることに気づいた」とドラッカーは言いました。IT革命はその要因のひとつにすぎず、人口構造の変化、若年人口の減少が大きな要因だと指摘したのです。若年人口の減少は、それまでの逆転現象であり、前例のないものだと言い放ちました。逆転はほかにも。製造業の地位の変化、労働力の多様化も前例がないこととドラッカーは指摘しました。「これらの変化が本書の主題である。すでに起こったことである。次の社会〜ネクスト・ソサエティはすでに到来した。もとには戻らない」と言います。
本研究会をファシリテートする佐藤等さんは「今後、コロナ禍で先行きが見通せない混沌とした時代になる、と考える人が多いと思います。しかし、実際はちがうのです」と話します。1965年ごろから始まった「断絶の時代」を経て、これからは「継続の時代」がはじまると言います。「インターネットが登場して25年がたち、それは、200年前の産業革命の時に、鉄道ができたことの変化に匹敵します。鉄道ができたことによる波及効果は大きかった。それと同じようなことが今、起きていると思っています」。加えて、「今は継続の時代のスタート地点。コロナはこの変化を加速させたにすぎません」と佐藤さんは言います。「今後は変化の時代ではなく、すでに起こったことが定着していく時代だと見ています。今は、変化の最後の大波が来ているにすぎない。これからがオンライン社会の本番です」と。
「『ネクスト・ソサエティ』という本は、ドラッカーの著作の中では社会生態学の分野に属する本です。世の中の変化を見て、どうその先頭に立ち、どのように行動するべきなのかを示唆してくれる内容になっています」。これまでもドラッカーはバブルの発生と崩壊、少子高齢化の到来などを指摘しました。そして、その変化の意味、講ずるべき対策、もつべき思考態度についておしえてくれました。ドラッカーは「本書の説くものが何を意味するか、何を要求するかに思いをめぐらしつつお読みいただき、明日ではなく今日の行動にむすびつけていってほしい」とメッセージしています。
「はたしてニューエコノミーなるものが実現しうるかどうかは不明である。だが、ネクスト・ソサエティがやってくることはまちがいない」。IT化とグローバル化によって好況が持続するとされる経済。コロナ禍によっていったん混沌化したと思われる中にも、異質の次の社会は確実にやってきます。その社会の中で、今日、どのように行動するべきなのか。ドラッカーの著作を読みながら、それぞれの解を見出す。そんな研究会がスタートします。参加は「D-Lab会員」限定。入会の上、オンラインで参加ください。
「ネクストソサエティ」を読み進める研究会 第1回
・日時 2020年9月14日(月)、19:00-20:30
・使用書籍 『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社)
・範囲 第Ⅰ部 迫りくるネクスト・ソサエティ
第1章 ネクスト・ソサエティの姿
第2章 社会を変える少子高齢化


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