ホテルの宿泊客を呼びこむクリーニング会社!?「顧客の顧客を増やす」という発想で得た思わぬ成果とは


ホテルの宿泊客を呼びこむクリーニング会社!?「顧客の顧客を増やす」という発想で得た思わぬ成果とは

記事の内容まとめ

  • 自分の顧客が集客で困っていることは何か?
  • 「(B to B)to C」の発想で顧客に貢献した北海道のクリーニング会社
  • 「顧客の顧客を増やす」という発想が新たな価値を生み出す

「企業とは、外部にある資源すなわち知識を、外部における成果すなわち経済的な価値に転換するプロセスである」

(『創造する経営者』p. 6)

企業の成果とは、顧客の心理や行動に変化を起こすことである。

例えば「美味しい」「安心した」など。企業はすべて、こうした変化を外部にもたらして対価を得る。

変化を起こすのに必要な資源も外部にある。ただし、ヒト・モノ・カネは通常、外部から調達された後、社内に備蓄される。

今回ご紹介する北海道健誠社は、外部にあってほとんど生かされていない重要な資源に着目した――顧客である。

自社の顧客を活用し、「顧客の顧客」を増やした。

その成果は企業の枠を超え、地域に拡大していった。

激しい価格競争……顧客を取り合う先行きの見えないクリーニング業界

創業以来、売り上げは右肩上がり。しかし、悩みは深かった。

北海道健誠社(北海道旭川市)の瀧野 雅一(たきの まさかず)専務は、1992年、20歳のときに父母と起業した。

北海道健誠社(北海道旭川市)の瀧野 雅一(たきの まさかず)専務

最初に手掛けたのは病院向けの布団のリース。木綿布団が主流だった業界に羽毛布団を導入したのがヒットした。

これを足がかりに、病院やホテル向けのリネンクリーニングや個人向けのクリーニング店の展開に事業を拡大。

社長と副社長に就任した父母が、障がい者雇用に積極的に取り組んだことから、メディアでも注目された。

だが、収支は厳しかった。瀧野専務は赤字回復に奔走するストレスから体調を崩しがちで、入院することすらあった。

ドラッカーに出会ったのはこの頃のことだ。

「われわれの事業は何であるべきかを問え」 と、ドラッカーはいう。

すぐに思いつく答えは「クリーニング業」――だが、この位置づけでは現状を脱せない気がした。

なにしろクリーニング業界は、価格競争が激しい。

とくに法人顧客にとって、クリーニング料金の値下げは利益に直結するので歓迎される。

だが、そうすると北海道健誠社の利益は減ってしまう。

逆に、値上げに成功すれば、自社の利益は増えるが、顧客の利益は減る。

要するに、限られたパイの奪い合いだ。

そんなシーソーゲームのような関係に気付き、疑問を感じた。

「顧客の顧客を増やして貢献する」という新しい発想

「顧客の顧客を増やして貢献する」という新しい発想

どうにかして顧客との関係をウィン・ウィンにすることはできないだろうか。

そこで瀧野専務が思いついたのが「顧客の顧客を増やす」というアプローチだった。

北海道健誠社の売り上げの約半分を占めるのが地元のホテル向けのクリーニングで、約600施設と取引がある。

冬になると道外からの観光客が減り客室が埋まらないという悩みを、営業をしながらよく耳にしていた。

この時期の集客に貢献できればホテルは喜ぶ。すると当然クリーニングの需要も増えるので、最終的には自社の利益にもなる。まさにウィン・ウィンだ。

だから瀧野専務は、地元の観光地を盛り上げるため、自社の経営資源を使ってできることはないか、と考えた。

北海道健誠社は、個人向けのクリーニング店「ランドリーム」を展開しているので、地元住民との接点があった。

さらに障がい者が多い従業員のために通勤用のバスを保有していた。

そこで、このバスを使ってクリーニング店の個人客を法人顧客のホテルに送り込む、無料の日帰り温泉ツアーを企画した。

ツアーに参加できるのは、入会金と更新料を払っている「ランドリーム」会員に限定。

告知にはチラシの裏面を利用した。送迎は北海道健誠社が無料で行い、ホテルには大浴場を開放してもらった。

無料で温泉を楽しめるとあって、個人客には大好評だった。

「ツアーに参加したいという理由で、新たに会員になる人までいた。ここまでの反響は想定外だった」

と瀧野専務は話す。

顧客の集客に貢献することで信頼と利益を得た

顧客の集客に貢献することで信頼と利益を得た

そもそもの目的は、あくまでホテルの顧客を増やすこと。

実際、無料日帰りツアーに参加した後、宿泊に訪れた個人客も現れ、客室稼働率の改善につながった。

すると、それまではホテルから頻繁にあった値下げ要求がなくなった。

それどころか「このごろインフレで、おたくも大変でしょう。値上げしましょうか」と切り出されたくらいだった。

「われわれの事業は何であるべきか」というドラッカーの問いに今、瀧野専務はこう答える。

「『B to B』でも『B to C』でもない。地域の企業同士が連携して、地域住民の喜びを生み出す『(B to B)to C』という構造を目指す。そうすれば、顧客と利益を奪い合う対立関係が解消し、協働するパートナーになれる」

この記事を読んでくれたあなたへの問い

現代経営学の巨匠ピーター・ドラッカー

現代経営学の巨匠ピーター・ドラッカー
(画像:wikipedia)


あなたのお客様には、どんなお客様がいて、何を求めているでしょうか?

お客様のお客様が誰かを知れば、自社の事業を、広い視野で捉え直せるはずです。

例えば、学習塾が得意客の印刷会社ならば、自分たちは教育産業に属していると考えてみてはいかがでしょう。

B to Cの事業でも、お客様の家族や恋人、仲間のことを考えれば視界が開けるはずです。

お客様と自社がチームを組んで、お客様のお客様や、お客様の家族に、今までにない価値を提供できないかと考えたとき、自社の新たな役割が見えてきます。

そこできっと、自社の隠れた強みを発見するはずです。

佐藤 等(さとう ひとし)

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー [事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。


FavoriteLoadingお気に入りに追加
The following two tabs change content below.
株式会社エレメント

株式会社エレメント

【Dラボ】の制作・運営を行っている会社です。

2006年 旭川市にて、WEBサイト製作会社を立ち上げ200件以上のWEBサイト製作を手掛ける。創業3年目にただ作るだけのWEBサイト製作・業界の考え方に疑問を感じ、製作後の顧客WEBサイトで成果をあげる仕掛け、仕組みを追求。

成果をあげる方法、習慣的な貢献【マネジメントとマーケティング】であると感じ、ドラッカーやコトラーを学びだしてナレッジプラザ読書会に出会い今日まで【顧客の価値のある情報をユーザーに届ける】を実践する。

★実績★

・司法書士事務所のWEBサイトにて「札幌 ○○○○(某キーワード・守秘義務の為非公開)」で1位を取り、毎月の大きな広告費をゼロにして、さらに売り上げをアップさせる!

・ゼロから立ち上げて1年で月商200万円のドメスティックブランド通販サイトを立ち上げて現在も多くのブランドキーワードで上位を獲得維持しています。

・月商1000万円のインポートブランド通販のSEO対策で上位表示させるコンテンツ制作を手掛け1年で1800万円まで売り上げを伸ばす。

・月商6000万円以上のネット通販立ち上げから商材コンセプト設計などマネジメントにも携わる

・ゼロから作ってコンバージョンレート15%以上の月商100万円有機農家通販サイトの製作&動画集客を成功させる

・月間6万UU以上の集客をたった1枚のブログ記事で達成、日本一集客する病院ページの作成・運営サポートを行う
などなど

★最近のお仕事★

●札幌市の弁護士・司法書士・公認会計士・税理士のWEBサイトに相続の見込み客を集客する


●旭川市の銃砲店は日本一の集客 旭川家具を世界一の家具へ!


などなどその他多くのお客様のサポートをしています。

●実際に制作した人気のコンテンツ・記事の紹介


などなど

㈱エレメント
WEBサイト:http://elmt.jp
問合せ:011-596-7986

コメント