向いていない仕事を続けさせるべきですか? 「やりたい仕事」に固執する部下の扱いに困っています。


\記事の監修者/

清水 祥行(しみず よしゆき)

1968年、兵庫県西宮市うまれ。同志社大学卒。
Dサポート株式会社代表取締役、
ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ、
一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、
経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)。
楽天大学にて「もし楽天店舗さんがドラッカーのマネジメント論を学んだら」講師を務める。

部下に「この仕事は向いていない」と正直に言うべきでしょうか?

私はWEB制作会社のデザインディレクターをしています。半年前に転職してきたWEBデザイナーさんを部下に持っています。そこで相談です。正直にいって、彼のデザインのセンスは個性的すぎます。クライアントの要望に沿ってデザインに落とし込むことが苦手なため、何度も差し戻しが起こり、彼の担当案件では余計な工数がかかってしまっています。

しかし彼には強みがありました。新卒時代に営業職を数年経験していたようで、トークスキルはなかなか。何度も売上げトップになったことがあるようです。「もしかしたら彼は営業に回ったほうが活躍できるのでは」と思い、前向きな提案として営業をやってみないかと話を持ち掛けたこともあります。

ところが本人は、デザイナーとしてプライドがあるようで、営業職への転向にはやはり納得がいかないみたいです。こういうとき、上司として私はどうすればよいでしょうか?

「期待する成果」に対して本人がどれくらい「貢献」できているのかをすり合わせしましょう。

まずは部下と「期待する成果」について話し合ってください。いまのままでは、上司としてどんな成果を期待しているのか、相手にうまく伝わっていないかもしれません。

たとえば「この会社がもっとも大切にしているのは、作家性やオリジナリティではなく、クライアントさんの想いやブランドイメージをウェブデザインとしてカタチにすること」と伝えてあげることで、その部下自身も、自分のデザインが実際にどれだけの成果に貢献しているのかを、冷静に見直すことができるかもしれません。

「自らの果たすべき貢献は何かとの問いからスタートするとき、人は自由になる。責任をもつがゆえに自由になる」

ドラッカー『明日を支配するもの』より

上司と部下に必要なのは、「貢献」を共通言語にして話し合いができる関係性を築くことです。人は、自分がどのような貢献をできる存在なのかとみずから考えることで、自然と成長してゆくものだからです。「やりたい仕事だけをやりたい」という発想は、明らかに焦点を合わせる方向を間違えています。経営者や上司は、「価値のある成果は、会社の外(顧客・社会)にある」ことを部下につとめて強調しなければなりません。

前の会社で活躍していた方や、資格を持っている方は、しばしば自分の「得意」と「強み」を混同し、強みを発揮できない分野に固執してしまうことがあるため、注意が必要です。

清水
清水

そもそも、「得意」と「強み」は違います。得意なことでも、成果を上げられないのなら強みとは言えません。まずはその違いを部下に説明できるようになりましょう。

成果と貢献という観点から、仕事ぶりについて話し合う――言うのは簡単ですが、もちろんそこには、「自分の思う通りには仕事ができないんだ」という部下の直面する現実があります。この手の話し合いは、最終的には「これをやってほしい」という“上からの指示”に帰着せざるを得ないからです。

ここでちょっとしたコツがあります。それは、「上司と部下が互いの問題を共有する」という方法で、信頼関係を構築するという方法です。

たとえば今回の相談内容を例にとれば、次のような問題共有の仕方があります。

「個性やオリジナリティを重視するあなたの感性はとても大切だと思う。しかし、いま私たちのメイン業務は、クライアントの要望に沿ったサイトのデザインだから、現時点では、あなたの作家性を存分に活かすことができない。これは、会社が抱えている問題点だ。今後は、あなたの能力を活かせる仕事も増やしていくように努力するよ。一方で私は上司として、あなたの抱える問題点について一緒に考えていかなければならない」

清水
清水

「問題共有」は、上司と部下が信頼関係を結び、円滑なコミュニケーションをとるためのアプローチです。

「部下は問題を上司と同じように見ないかもしれない。事実、ほとんどの場合、同じようには見ない。そのように見るべきでもない。だがそれでも、上司の立場の複雑さを理解する。さらにはその複雑さこそ上司の立場に固有のものであり、しかも上司が好んでつくり出しているものではないことを理解する」

ドラッカー『マネジメント』より

部下の成果が十分でないと思ったときは、頭ごなしに「この仕事は向いていないから、他の仕事を頼むよ」と言うのではなく、まずは問題共有という切り口で、「期待する成果と実際」について話し合ってみるとよいでしょう。その対話によって、部下自身が成果を意識して仕事の仕方を改めるかもしれません。

最後に:ドラッカーを学んでみたい方へ

今回のアドバイスで引用したP. F. ドラッカーは、“マネジメントの父”や”経営の神様”と称され、20世紀の経営学に多大な影響を与えた人物です。

ドラッカーの言葉に励まされ、影響を受けた経営者は数え切れないほどいます。国内だけでなく、世界中でも、ドラッカーを経営に活かした実例は無数に存在します。

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読書会では、ドラッカーの実践によって業績改善やイノベーションを実現できた先輩が、自らの実体験をもとにアドバイスしてくれます。

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