【簡単解説】ドラッカー「マネジメント」の意味とは?実は間違った解釈の多い用語です


マネジメント【ドラッカー用語大全】

ドラッカーのいう「マネジメント」とは、「人と世を思う者が実践すべき、良い組織をつくるための思考のフレームワーク」である。別の言い方をすれば、「成果を出すために既存の知識を有効に使うための知識」である。仕事の「成果」に責任を持つ限り、マネジメントは経営者から従業員まですべて意味を持つ知識である。

しばしば、「マネジメント」を経営理論や経営テクニックと混同した解説が見受けられる。だが、それでは誤ってマネジメントの意味を理解してしまう恐れがある。

あくまでもマネジメントは、組織を通じて社会貢献するための、ものの見方・考え方である。

マネジメントは、組織の目的を「金(カネ)」と考える野心家には不向きである(そもそもドラッカーは欲望に忠実な野心家を嫌っていた)。「組織は社会貢献のためにある」と考えることができたとき、はじめてマネジメントの意義を理解できる。

マネジメントの核心は「人」である。“社会に生きる人間としてどうあるべきか”が、組織のあり方を決める。

あらゆるマネジメント上の成果は人としてのマネジメントによるものである。あらゆるマネジメント上の間違いは、人としてのマネジメントによるものである。人としてのマネジメントのビジョン、献身、真摯さが、マネジメントの成否を決める

(『マネジメント』より)

『マネジメント』というと、金儲けのための企業をいかに運営していくか——について書かれたハウツー本だと勘違いしている人もまだまだ多いようです。でも、決してそうではありません。根底には「人間の本当の幸せとは何か?」という大きな命題が横たわっている。それをふまえた上で、よりよい社会を作っていくための組織、企業の有り方について書かれたのが『マネジメント』なのです。

(ドラッカー翻訳者・上田 惇生氏/NHK「名著、げすとこらむ」より)

「マネジメント」の先駆者は渋沢栄一? ドラッカーが賞賛する日本人

マネジメント」の先駆者は渋沢栄一? ドラッカーが賞賛する日本人

引用画像:wikipedia

もともとドラッカーは、若い頃から日本の明治時代に非常に関心を持ち、独自に研究を進めていた。そんなドラッカーが“最高の実業家”と称える日本人がいる。それが渋沢栄一(1840~1931)だった。幕末は武士として生き、明治維新後は大蔵省の官僚となり、さらにその後は実業家として500社以上もの設立・経営に携わった傑物である。

日本の近代資本主義の父こと渋沢栄一は、かねてより企業の社会的責任を強く意識していた。渋沢といえば『論語と算盤』があまりにも有名であるが、その中で彼は「道徳経済合一説」を提唱している。

「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ」

(『論語と算盤』より)

渋沢は、人の道理に適うビジネスでしか、真の豊かさを手に入れることができないと考えた。実はこの渋沢の思想は、ドラッカーのいうマネジメントの概念に非常に近かった。渋沢をしてドラッカーは次のように述べる。

「日本では、官界から実業界へ転身した渋沢栄一が、1870年から80年代にかけて、企業と国益、企業と道徳について問題を提起した。のみならず、マネジメント教育に力を入れた。プロフェッショナルとしてのマネジメントの必要性を世界で最初に理解したのが渋沢だった。明治期の日本の経済的な躍進は、渋沢の経営思想と行動力によるところが大きかった」

(『マネジメント』より)

ドラッカーは哲学・経済学・社会学に精通した知の巨人である。そのため彼の著作は、しばしばアカデミックな著述が多くなり、読み進めるのが大変に思う読者も少なくない。大作『マネジメント』もその一例である。しかし、渋沢栄一という迂回路を通ることで、ドラッカーの言いたいことやその本質を理解しやすくなることもあるだろう。

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