「あの時」を振り返る~東京ドラッカー読書会発祥の地@西新橋(その2)


 前回(あの時を振り返る-ドラッカー東京読書会発祥の地@西新橋)、私が10年前に初めて参加した東京読書会で佐藤等先生から「言葉は道具である。」という事を聞いて衝撃を覚えたと書きましたが、今回はその時、最も響き、今でも仕事をする上で影響を与えている文章・言葉について触れたいと思います。ちなみにその時、取り上げられたのは『経営者の条件』第3章(どのような貢献ができるか)でした。

「組織における3つの領域における成果」

 この章において私が最も響いたのが次の文章でした。

あらゆる組織が3つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ組織は腐り、やがて死ぬ。

 

 この部分は事前に自分が読んだ際にも「気になって」線を引きましたし、他の参加者の中にも線を引いてコメントされていた方がいました。他の参加者や佐藤先生からこの部分に関するコメントを聞いた時の率直な感想は「自分が組織における成果を狭く、軽く考えていた」というものでした。また、「成果をあげなければ組織は腐り、やがて死ぬ」の中の「腐る」と「死ぬ」という言葉の響きに成果をあげる事の重みを感じました。

 それまでは会社にしろ、自分が所属している部署にしろ、そこで立てた目標を達成すればそれが「成果」だとずっと思いこんでいましたが、それは「直接の成果」を示しているに過ぎないという事が判りました。その時に同時に考えたのが、では、組織(当時、私が所属していた部署)の「価値への取り組み」や「人材の育成」とは何かという事でした。

「価値への取り組み」を考える

 組織にとっての「価値への取り組み」とは何か。読書会の後、私は悩みましたが、今では「組織が社会の中で存在している理由(価値)を満たすべく、継続的に成果をあげていく事」と自分なりの理解をしています。

 ちなみに東京読書会に初参加した10年前、私は会社の人事部門で人材開発業務に従事していたので、「自分の所属する部署の価値への取り組み」は何かという事を考えてみました。

そこで、まず「会社の価値」を考えてみました。そして、社会との関係の中で自分たちの会社が存在している価値(存在理由)が所謂「企業理念」に表現されているのではないかと考えました。そして、当時は「企業理念(ちなみに自分の会社の企業理念を簡単にいうと『不断にエネルギーを提供することを通じ、日本と世界の人々の発展に貢献する』というものです)」を自分たちの業務に具体的に落とし込み、成果をあげる事ができる人材を育成する事が自分の所属する「価値への取り組み」と考えました。しかし、まだ何かもやもや感が残っていました。

「人材の育成」を考える

 その「もやもや感」の理由はやがて判りました。それは成果の3つ目の領域「人材の育成」について同時に深く考えなかったからです。

 この「人材育成」という事についても、読書会に参加した後、大きな誤解をしている自分に気がつきました。ちょうど、東京読書会に参加したのが人事部門に異動になり、人材開発業務に従事して1年経過していたので、当時は「充実した研修体系を作る事」、「良い研修を企画・運営する事」が「人材育成」と考えていました。

 勿論、こうした事も大事だと今でも思いますが、それよりも重要なのが、「職場の仲間自ら成長を促す事」および「そのような組織文化を創る事」だと気づきましたが、この2つを結びつけるのが、初参加の東京読書会時の取り上げたテーマでもある「貢献」でした。

 

「貢献」で思い出す事と今思う事

 初回参加の読書会では組織への貢献を考える事により、自ら責任を持ち、業務等を遂行し、成果を出し、自己成長につながっていく事を学びましたが、実は同じ事を約30年前、会社の最初に配属された時に当時の直属の上司から口を酸っぱく言われていました。

 その上司(Kさん)の口癖は「いいか。ただ単に仕事を流れ作業のようにしてはいけない。その仕事がどのような意味合いを持ち、課・工場(当時、工場配属だったので)・会社・社会にどうつながっていくか考えて仕事をしなさい。そうすると自然と仕事により真剣に打ち込むようになるし、勉強し、仕事の楽しさを覚えるようになる。頑張れ。」でした。

 その上司はもう会社を定年退職してしますが、今でも仲良くお付き合いさせていただいています。Kさんがドラッカーを読んでいたか否かは判りませんが、自分自身の社会人として継続しての成長を促す金言と同時に今、組織の管理職としての自分への金言でもあります。

 その意味で社会人になりたての素晴らしい経験を思い出させてくれた初回の東京読書会、ドラッカーに感謝しています。同時に「言葉は道具である」と実感しましたし、以降、毎回の読書会で何らかのドラッカーの言葉から様々の切り口での実践の学びを得ており、至玉の一時となっています。

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八谷 俊雄

八谷 俊雄

1966(昭和41)年、札幌市生まれ。北海道大学卒業後、現在も勤務している某エネルギー会社に入社。地方機関(札幌・青森・名古屋)、本社(東京)各部署、出向で様々な業務を経験。2008(平成20)年春から開催されている東京での「実践するマネジメント読書会」に参加。仕事・学び(ドラッカー等)・プロボノ(東北社会起業家支援)・同窓会(高校・大学・大学院)活動の「四刀流」の傍ら、趣味である旅行(国内はプライベート・出張等で国内は47都道府県全て、海外は約30か国を訪問)を旭川市出身の妻と楽しむ。

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