思わぬところにいた顧客
初めて「顧客に聴け」をやってみたわけですが、(前回記事参照)
ドラッカー教授は5つの質問で、まず一番最初に「我々のミッションは何か」を問いた後、
「我々の顧客は誰か」を次に自分に問うと言っています。
「管理会社にとってテナント店子さんは顧客」
すんなり考えられるのかもしれませんが、頭が凝り固まった私には、最初はそのような意識がありませんでした。
それを、「あれ?テナント店子さんは、顧客なのか?」と気づかされたのは、ある出来事がキッカケです。
地元で商売をさせていただくと、商店会活動などにも関わるようになります。
自分達の店のことだけではなく、まちを訪れる人たちに、どうなってもらいたいか、どんな時間を提供したいかを考えます。 茅ヶ崎のわたしの地域では、市内在住のキャラクターデザイナーの青年にウォールアートを描いてもらい、
まちをアート化して安心安全の通りにしようという活動が行われています。
その、ウォールアートの一つとして、店子さんの店前に並べている白い鉢を選出いただきました。
ただ、アートを描いてもらうには、鉢の落書きを消して汚れをキレイにする必要がありました。鉢は20年以上設置してあり、車からの水はねや残念な落書きがされていましたが、「そもそも、そういうもの」と、いつしか景色の一つのようになってしまっていたのです。
そこで、テナント店子さんがお休みの日を選んで、汚れを落とし、落書きの上から白いペンキで塗りました。これで、アートを描いてもらえます。通りを行く人に、これからはオシャレなアートで楽しんでいただけることでしょう。
翌日、テナント店長さんに、わざわざ御礼を言われました。
「鉢をキレイにしてくださり、ありがとうございます、お店の中から見えるから。」と。
その時が、店長さんと、回覧板以外でちゃんと会話をした初めての日でした。
「、、、、御礼を言われちゃったぞ、、、、」
モヤモヤしました。
こちらは、アートを描いてもらうため、アートで道行く人に楽しんでもらうために鉢をキレイにしたんだけど、店子さんに一番最初に御礼を言われちゃった。店子さんが喜ぶことをしたってことか。この関係は、まさに、顧客ではないかしら。店子さんは、私たちの顧客だったんだ。
色々な想いが交錯しました。
今まで自分はどこの誰を見てきたんだろう。テナント店子さんのことを、どう捉えていたんだろう。
耳が痛いような、恥ずかしいような。それでいて、新しい視界が開けたような。
会社としてのミッションはあったものの、それをどう実現するのか、具体化するのか。
考えてはいたけれど、顧客が誰なのか、考えたことがなかったのかもしれません。
「顧客=道路を行き交い、まちを訪れる人」と思っていたのですが、顧客はもっと身近なところにいました。
「われわれの顧客は誰か」
この問いに答えることから、始まります。
つづく



Chihiro- C

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