読書会 それぞれの出会いの物語その2―私を変えた「ドラッカーと実践するマネジメント読書会®」


東京・日本橋。江戸時代より交通の東京(江戸)の要所・商業中心地として栄えたこの街は今、某大手ディベロッパーによる再開発で大型オフィスビル・商業施設が林立する一方、古くから持つ良さも残し、「まち」としての魅力を日々増している。
 この街同様、どんどん魅力を増す女性がこの日本橋で働いている。彼女の名前は藤原美佐子さん。大手社会人教育会社に働く彼女は1年半ほど前にドラッカーと出会い、ドラッカーの魅力にどんどんのめり込んでいき、仕事や生活で充実した毎日を今過ごしている。
 今日はそんな藤原さんのお話を聞きに日本橋にやってきた。せっかくの機会なので東北ご出身の藤原さんに故郷を感じながら気楽な雰囲気でお話戴きたいと思い、東北料理が味わえるお店でお話を聞いた。

私を号泣させた『人生を変えるドラッカー』
(筆者)藤原さん、今日も暑かったですね。お話よろしくお願いいたします。藤原さんに初めてお会いしたのが確か昨年の10月の東京八重洲の「実践するマネジメント読書会®ベーシック」だったと思いますが、最初だったか、その次の読書会かの時に藤原さんから読書会に参加したきっかけが吉田麻子さんの『人生を変えるドラッカー(以下、「ジンドラ」)』を読んだ事と仰っていたと記憶しています。しかも、読み終えた時に号泣されたとか。私も吉田さんのこの本は読書会そのものの雰囲気やドラッカーの『経営者の条件』の内容が理解しやすい素晴らしい本だと思っています。
 まず、『ジンドラ』との出会いについてもう少し教えて戴けないでしょうか。

(藤原)八谷さん(筆者)、こちらこそ、よろしくお願いいたします。私、インタビューを受けるなんて初めてで正直緊張してしまっているのですが、今日は自分の思っている事を自由に語りたいと思います。支離滅裂になってしまうかもしれませんが、フォローをお願いしますね。
 『ジンドラ』に出会うまで私、ドラッカーは会計の先生だと思っていました。過去に「利益は存在しない。存在するのは、コストだけなのである」という言葉に救われたことがありまして・・・。本屋さんで『ジンドラ』を見かけたとき、ドラッカーがマネジメントの先生だと初めて知りました(笑)

『ジンドラ』は通勤電車の中で読んだのですが、泣けてしまって困りました。「スゴイ本に出会ってしまった」と感じました。周りの人に「著者さんに会いたい」って話していたら、ドラッカー学会主催:NSF(ネクスト・ソサエティ・フォーラム)2017で吉田さんが読書会をされるという情報をいただき、速攻で申し込みました!そして、当日、分科会や全体セッションで実際の吉田麻子さんのお話を聞き、より『ジンドラ』の凄さを思い知りました。

(筆者)なるほど。『ジンドラ』を読んで泣いてしまったという方は多いと聞いていますが、藤原さんもその1人だったのですね。今、お話の中でドラッカー学会の「NSF」の話が出ていました。NSFも初参加だったと思いますが、参加されてのご感想を教えていただけないでしょうか。

(藤原)そうですね。分科会の体験読書会では、参加者同士が“気になったドラッカーの言葉”を読み上げて、気になった理由を話すのですが、会場全体が穏やかな空気に包まれているのを感じました。とても不思議な感覚でした。当時を振り返ると「ドラッカーという共通の言葉」に引き寄せられた人たちが、自己開示の場を作り出してしまったのですね。初めて会ったはずなのに、ずっと前から知り合いだったような気分。参加者みんな目がウルウルで、「わたしたち何で泣いているんだろう?」って笑いが起こったのを覚えています。

「学会」という言葉の響きから、ドラッカー研究者ばかりでしかも圧倒的に男性ばかりの集まりをイメージしていました。でも、当日行ってみて、会場スタッフも参加者も男女余り変わらず、発表内容も研究的内容も確かにありましたが、様々な切り口からの実践的な報告が多く、びっくりしました。しかも、終了後の懇親会では、本当に普段の仕事では会えない多種多様な参加者の皆さんから生の日々の実践話を聞く事が出来、改めて「そうか、本質だけを示唆し、実践は各々が各自が責任を持って行い、成果を出し、自己成長していく事を教えるのがドラッカーの教えなんだ」と感じました。加えて、この懇親会で1つの奇跡が起こりました。「実践するマネジメント読書会®」を推進し、『実践するドラッカー』シリーズ著者である佐藤等先生との出会いです。佐藤先生とお話をし、「実践するマネジメント読書会®」に参加しようと思いました。


加えて、帰路でも奇跡が起きました。体験読書会で知り合ったNさんと一緒に電車で帰りました。途中私が先に電車を降りると、ホームに目の不自由な方が立っていましたので、手を取って電車のドアへ案内しました。ふと見ると電車内にはNさんが待っていて、その方の手を取って席へ案内してくれたのです。その時「魂のふれあい」と呼べるものを感じました。「私たち同じものを見ている!」と感じた瞬間です。数時間前に初めて会った人とこんな体験をするなんて――ドラッカーすごいです。

読書会との出会いと沢山の気づき
(筆者)佐藤先生との出会いがあって、実際に実践するマネジメント読書会®八重洲ベーシックコースに昨年9月からご参加を開始されたという事ですが、実際に読書会に参加されて感じた事・学んだ事等について教えて戴けると幸いです。

(藤原)はい。読書会では『経営者の条件』の気になった部分に線を引いてきて発表しますが、自分の言葉で話したことに反応が返ってくるのが楽しかったです。普段仕事の中では、賛同や共感をされることが少なかったので(笑)。また、様々な年齢層の社外の方と知り合うとても貴重なチャンスだと思いました。ビジネスパーソンや経営者の方など多様な立場の意見を聞くことができ、貴重な“学び”をいただきました。ファシリテーター(以下、「FT」)のお2人は事例が豊富で、参考になる話しばかりで、日々の実践の背中押しとなりました。
最近“まじめな雑談”が注目されていますが、読書会後の懇親会はまさにぴったりの場所でした。ドラッカーがベースにあるとグチを話す方も聞く方も前向きで、ウェット感はありませでしたね。
そして、読書会で紹介されたナレッジプラザさん主催の「東京マネジメント塾」という勉強会の場で隣り合わせた鹿島さん(「実践するマネジメント読書会®」FT)に「ドラッカーの読み方が変わるよ」と言われて気になってしまい、最後は吉田麻子さんに背中を押され、熱海で開催される「読書会ベーシックファシリテーター養成講座」に参加する事になりました。初めて『ジンドラ』に触れてからちょうど1年後の事でした。

「読書会FT養成ゼミ」の価値
(筆者)一気に来ましたね。私も全国各地にいるFT仲間を沢山知っている訳ではありませんが、藤原さんのように「一気に駆け抜けていく」、「鉄は熱いうちに打て」じゃないけど、初めてドラッカーに触れてからFT養成ゼミ受講に短期間で至っている仲間が多い(特に最近は)ようですよ。個人的には短期間に重要ポイントを学ぶので、ドラッカーマネジメントの本質を正確に学び、実践につなげる事によりつながっているような気がします。藤原さんも熱海でのゼミで様々な経験や学びがあったと思いますが、何か教えて貰えませんか。

(藤原)合宿は簡単なガイダンスの後、いきなり「模擬ファシリテーション始めて下さい」でした。参加者さんへ何をコメントしていいのかわからないし、時間はオーバーするし、どこで話しを止めたらいいのか――嫌な汗かきましたね。今まで参加した読書会でFTがどんなことをしていたか全然思い出せなくて、「私は何をする人???」って問い続けました。
合宿直前は“課題範囲本の読み込み”をして寝るのが午前2時になることもあり、夫に「受験生みたいだね」と笑われました。ドラッカーの世界に入ると時間を忘れてしまって。修了試験範囲の(『ドラッカー入門 新版(上田惇夫・井坂康志著)』巻末記載の年譜)暗記では“帯状疱疹”を発症してしまいました!実は子供の頃から大の暗記嫌いで、かなりのストレスだったみたいです。


合宿では同時開催されていたアドバンスコースやプレミアムコースのFT養成ゼミの合宿の参加者の皆さんと一緒になり、懇親会で新しい出会いがあり、ドラッカーの輪がさらに広がりました。先輩FTのアドバイスが嬉しかったです。
合宿中に、ずっと謎だった『ジンドラ』で泣いた理由が判明しました。作品全体に流れている「ささやかさ」が鍵でした。ドラッカーの言葉は「がんばらなくても大丈夫。今のあなたでいいんだよ」と私たちにメッセージを送ってくれていました。いつもがんばり続けている人にとって“心安らぐ場所”だったのですね。

私の変化
(筆者)藤原さんご本人に『ジンドラ』を通じてドラッカーに出会ってから今日に至る約1年半の変化および今後の抱負について最後熱く語って戴こうと思います。宜しくお願いいたします。

(藤原)正直言って私、『ジンドラ』じゃないけど、この1年半で本当に大きく変わったと思うのです。
合宿の初回と最終回に講師をされた先輩FTから「藤原さん、ホント変わったねー。嬉しいよ」と声をかけていただきました。自分を“話し下手のつまらないヤツ”と思っていましたが、「みんなが面白い話を聞きたいわけじゃない。面白くない話を聞きたい人だっているよ」と教えていただき希望が湧いてきました。
ドラッカーの言葉をパワーポイントにまとめて見せたところ、同期FTに好評だったので「私の強みはこれかな?」と思い、読書会の参加者さんにお伝えするツールにしたいと考えています。体系をビジュアル化するとドラッカーの言葉が記憶に残りやすくなるかなと。今後は“がんばり続けている人”に向けて読書会を開催できたらいいなと思っています。

(筆者)藤原さん、そうそう大事な質問をするのをうっかり忘れていました。東北の美味しいお酒でちょっと酔っていますかね(笑)。佐藤先生は常日頃、読書会等で「言葉は『道具』である。」と仰っています。「ジンドラ」から始まったこの1年半、藤原さんはドラッカーの数多くの「言葉」に触れてきたと思いますが、もっともご自身の成長に影響を与えたと思う「言葉」とその理由等について本当に最後になりますが教えて下さい。

(藤原)「自分にできて人にできないことで、もし本当にうまくやれば会社を大きく変えるものは何か」(『経営者の条件』第3章「どのように貢献できるか」P.86)――2年前にプロジェクトである施策のシミュレーションに基づく予測値を何パターンも作成しました。異動したばかりの頃で慣れていないルーチンを片付けた後、残業時間を利用して黙々とエクセルを作成し続けました。数字を扱うことは苦ではないので、楽しい時間でした。シミュレーションの切り口によってプロジェクト会議の議論の方向性が変化するのが面白かったです。結果、会社の仕組みを大きく変える決定がありました。「数字は人を動かす!」ことを実感しました。最近上司に「数字が読めるし、仕組みを作るのがうまいよね」と言われ、私にとっては当たり前のことでも“掛け算”できると強みになるかも!?と考えています。

(筆者)藤原さん、ありがとうございます。藤原さんの熱くかつ真摯な思いが伝わる素晴らしいお話を聞き、私も日々の研鑽を更に積み、「人生100年時代」の今、自分を成長させ、自分が属するあらゆる組織、そして社会に貢献し続けるために日々、修練を積まなければならないと改めて思いました。まだまだ、東北の美味しいお酒・お料理も目の前にあるので、引き続き楽しいお話しましょう!

(藤原)八谷さん、こちらこそ貴重な機会を戴きありがとうございました。これからも「等身大のわたし」で頑張っていきます。八谷さんはかつて、東北ご勤務もあり、東北の社会起業家応援もされて今更かもしれませんが、東北のお酒と料理って本当に美味しいんですよ。さあ、楽しくやりましょう!乾杯!

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八谷 俊雄

八谷 俊雄

1966(昭和41)年、札幌市生まれ。北海道大学卒業後、現在も勤務している某エネルギー会社に入社。地方機関(札幌・青森・名古屋)、本社(東京)各部署、出向で様々な業務を経験。2008(平成20)年春から開催されている東京での「実践するマネジメント読書会」に参加。仕事・学び(ドラッカー等)・プロボノ(東北社会起業家支援)・同窓会(高校・大学・大学院)活動の「四刀流」の傍ら、趣味である旅行(国内はプライベート・出張等で国内は47都道府県全て、海外は約30か国を訪問)を旭川市出身の妻と楽しむ。

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