絵で見るドラッカーの人生【1941年】
どのような貢献ができるか
第二次世界大戦中に、ワシントンに集められた有能な民間企業人の多くが失敗した原因もここにあった。ワシントンが政治的な場所であるとか、それまでは独立して仕事をしていたということは、せいぜい二義的な原因にすぎなかった。政治的な感覚がなくとも、あるいは二人以下の弁護士事務所でしか働いたことがなくとも、連邦政府において立派に成果をあげた者は大勢いた。例えばロバート・E・シャワーウッドは、巨大な戦時情報局の部長として大きな成果をあげた。劇作家として彼がそれ以前に経験したことのある組織は、机とタイプライターと自分だけだった。
貢献へのコミット
戦時中に連邦政府で成功した人たちはみな貢献に焦点を合わせていた。その結果、仕事の内容とともに価値の相対的な比重まで変えることができた。失敗した人たちのほうが、よく働いていたという例も多い。しかし、彼らは挑戦しなかった。努力の方向を変える必要に気づかなかった。『経営者の条件』より
貢献に焦点
貢献は、外の世界に焦点を合わせることを要求する。日々の業務を行っていると、ついルーチンワーク化し、こなしていくだけになる。社会全体との関わりで目線を上げて、自らの仕事の意義について考えよとドラッカーは言う。ドラッカーはそのことを「石臼を見ながら同時に丘の上を見る」と表現した。
仕事ができるということは、長時間働き続けることとは関係ない。かえって長時間働いている人が成果をあげられない。
成果をあげるには、最初から貢献に焦点を合わせなければならない。いかなる権限を持っているかではない。いかなる貢献をなしうるかである。
会社で何をしているかを聞かれて何と答えるか。ふだんから何を求められているかを考え抜いていない限り、役職名しか答えられなくなる。
なすべき貢献を考えるならば、組織としての目的、さらにはミッションに思いをめぐらせざるをえなくなる。組織の外の世界、顧客の外の世界、顧客の視点から考える。ドラッカーは悩めるクラリネット奏者が客席からシンフォニーを聴いたとき、彼の演奏する音楽の質が変わったというエピソードを紹介している。『ドラッカー入門 新版』より
※この情報は『ドラッカー入門 新版』のp.281~の「ドラッカー年譜」をもとに制作しています。より深い背景の理解には同書をお薦めします。
五月女 圭司
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