社長の社内読書会体験記その4【和光良一】ドラッカー教授の言葉を借りて社長の真意に気づく読書会@埼玉桶川


社長として、何をどう考え行動するか、ということを私はドラッカーから学んできました。

しかし、社員に対して発言する時は、あえて「ドラッカーがこう言っていた」ということは言わないように注意してきました。

意思決定というのは、それによって働く人たちの行動が変わらなければ意味がありません。

そうでなければ、ただのお題目です。

誰かがそう言っていたから、とか、教科書にそう書いてあるから、ということでは責任感のある発言には聞こえません。

この意思決定は、その人の責任のもとに行われているのだ、と思われなければ、誰がその決定に従うでしょう。

それなので、ドラッカーの言葉に出会って、大きな意思決定をしたとしても、そのドラッカーの言葉について、社員に説明するわけにもいかないのです。

そんな説明をし始めると、意思決定に対して言い訳をしているようですし、決定者が自ら負うべき責任を何かに転嫁しているように聞こえてしまうでしょう。

しかし、これは一方で、社長の意図を社員に正確に伝えるのを困難にします。ここは難しいところで、昔の肉体労働者とは異なり、現代の知識労働者が成果を上げるためには意思決定の意図を正確に理解する必要があるのです。

そこで社内読書会です。

先日の社内読書会で、ある部長が線を引いたのは以下の文書でした。

あらゆる者が『我が社の事業は何か』を問わなければならなくなる」(『イノベーションと企業家精神』p74)

この文章を読んでその部長は、「数年前から我が社が新しいミッションとして『仕事で電話を使う人の余計な心配を減らす』という言葉を掲げているのは、ここからきているのかと思いました」とコメントしてくれました。

全くその通りなのです。

既存事業が縮退していく状況の中、新規事業を立ち上げていくために、我が社には、お客様の定義から見直す必要がありました。それに対する答えが「仕事で電話を使う人の余計な心配を減らす」というミッションでした。

ここ数年、この言葉を会社の内外に発信して来ましたが、「ミッションを見直す意味」について、社員に説明することは出来ていませんでした。意味は色々ありますし、産業構造の変化からの要求というのもその一つなわけです。

いくらミッションを見直して、それを社員に知らしめても、ミッションが持つ意味が分かっていなければ、ただのお題目と変わりません。とは言え、ミッションを見直す意味を説明するのに、私の口から「ドラッカーが、、、」と言い出してしまうと無責任な感じが出てきてしまいます。

それが今回、社内読書会で社員が自ら答えを見つけ出して、それを他の社員にシェアしてくれたのです。

こんなにありがたいことはありません。

このように、社内読書会は、社長の言動のネタばらしになってしまうところがあるのですが、結果的には社員が社長の言動を理解してくれることに繋がるので、何も問題はないのです。

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和光 良一

和光 良一

1972年(昭和47年)東京生まれ。1991年暁星学園高校卒。1997年図書館情報大学大学院卒、NTT入社、NTTコムウェア配属。2004年に前社長の急逝により(株)日興電機製作所 代表取締役社長に就任。2008年に佐藤等氏のドラッカー読書会に参加し、ドラッカーの言葉と出会う。以来、ドラッカーを学ぶことを通して、仕事の悩みを取り組むべき課題に変えてきた。 ナレッジプラザ公認「実践するマネジメント読書会」ファシリテータ。 2010年ドラッカー学会エッセイコンテスト優秀賞。

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