世界初のブラインド・ファシリテーター まもなく誕生! その3<前編>-【実践するマネジメント読書会の新たな可能性@青森】


2018年春から始めた、ドラッカー読書会ファシリテーター養成講座第11期。

そのうちの一人が、青森在住で全盲の角田まき子さんです。

ファシリテーターの認定に必要な全4回の合宿のうち、最初の3回は青森で開催、最後の1回は北海道朝里で、ほかの11期の仲間たちと合流して卒業してもらおうと計画しています。

今回、養成講座3回目の青森合宿が終わりましたので、その報告です。

 

 

 

 

 

3回目の養成講座が始まりました

今回の青森養成講座には、北海道からファシリテーター同期(3期)の石川さんと相澤さんが同行してくれました。

まき子さん、石川さん、相澤さんと田畑の4人でのスタートです。

介護ヘルパーのSさんも、しばらく付き添ってくれるようです。

いつも一緒にサポートしてくれる青森のファシリテーター瀬川さんは、遅れてやってくることになっていました。

 

まずは、あらかじめ用意してあるスケジュールに従って講座を進めていきます。

ファシリテーターの目的、ゴールの共有、講座のスケジュールの確認など、お定まりのプログラムを予定通りこなしていきます。

 

 

まき子さんの努力と集中力に脱帽

次に、ドラッカーの年譜ワークをやってみました。

 

まき子さんとは、第1回目の養成講座が終わってから、ほぼ週に一度のメール定期便のやり取りをしていました。

初めのころは、『経営者の条件』の各章からキーワードを抽出してこれを覚えてもらったり、ドラッカー教授の名言などを紹介したりしていました。

 

そのほか、『ドラッカー入門』の巻末にある「ドラッカー年譜」の中から毎回いくつかの質問をクイズ形式でやったりしました。

 

実は、ファシリテーター養成講座の最終回に「認定テスト」というのがあり、問題は「ドラッカー年譜」の中から出題されます。

これを通らなければ、認定要件クリアとはならないのです。

 

そこで、この「ドラッカー年譜」の中から20問ほど、問題を出しました。

 

結構な量があるので、これを正しく記憶するのは、なかなか骨が折れます。

でも、最終講座まではまだ2か月ありますので、現時点で半分くらい答えられれば十分です。

その後、間違ったところを丁寧に解説して、必要な情報を記憶してもらおうという算段です。

 

やりとりはこんな感じです。

Q「第一問。ドラッカー教授の生誕について、知っていることを答えてください。」

A「オーストリア=ハンガリー帝国の首都ウィーンで生まれ、誕生日は1909年11月19日です。お父さんはアドルフ、お母さんはキャロライン・・・」

Q「正解! 完璧です。びっくりしました。」

 

半分程度答えてくれたらいいなと思っていたのですが、20問中19問完全正解。

たった一問つまずいたのが、

Q「第20問。2003年に出版された「ドラッカー名言集」。4冊とも題名を答えてください。」

A「仕事の・・・、仕事の・・・、経営の・・・」

なかなか正解にたどり着きません。

Q「ちょっとだけヒントですよ。一冊は『仕事の哲学』」

この瞬間、ニッコリしながら言葉があふれ出してきました。

A「あっ、そうだ! 『仕事の哲学』、『経営の哲学』、『変革の哲学』、『歴史の哲学』です!!」

この時期に、ここまで記憶してくれていたとは、凄すぎて言葉にならないくらい感動的でした。

 

どうやって覚えたのか聞いてみると、書いて覚えたというのです。

書くといっても、打刻するための道具(点字器)を使って、一文字一文字、点字で書いていくのです。

どれほどの時間を使ったことでしょう。

「ドラッカーさんの勉強は、毎日、2時間くらいやっています。」

いとも平然と答えてくれましたが、この取り組み姿勢は見習わなければなりません。

 

「成果をあげるには大きな固まりの時間が必要である。」『経営者の条件』p.50

 

2時間という時間は、まき子さんにとって集中できる限界の時間の固まりなのかもしれません。

これを毎日集中して取り組んでくれているのです。成果が出るはずです。

 

 

模擬読書会でいきなりの成果

ファシリテーションに慣れるためには、とにかく読書会の回数を重ねることが一番です。

そこで、早速、模擬読書会を始めることになりました。

せっかくなので介護ヘルパーのSさんも誘ってみました。

Sさんは、ドラッカーについては『もしドラ』があるということくらいしか知らないし、読書会も経験したことが無いのでと、尻込みしていました。

 

すると、まき子さんから、

「Sさんも、介護ステーションでは何人か部下がいるマネージャーですよね。

マネジメントを知っていると仕事も楽になりますよ。

ドラッカーさんは、マネジメントの父と呼ばれている人で、学んでおいたほうがいいです。

それに、読書会は色々な人の話を聞けて、とても楽しいんです。」と、自信たっぷり積極的に誘ってくれるじゃないですか。

 

そんなまき子さんの言葉に心が動かされたらしく、Sさんも参加することになりました。

 

メインのファシリテーターは、まき子さん。サブに石川さんがついて読書会が始まりました。

指定範囲は、『経営者の条件』第5章「最も重要なことに集中せよ」です。

 

約一時間で楽しく読書会が終了しまして、Sさんが帰る時間になりました。

するとSさん、

「角田さん、この『経営者の条件』、しばらく貸してもらえませんか? もっと読んでみたくなりました。」

 

青森で、読書会参加者が増えたかもしれません。

まき子さんの素晴しい成果です。

 

「組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある。」『経営者の条件』p.31

 

-つづく-

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Y_Tabata

Y_Tabata

田畑祐司(たばたゆうじ)1955年(昭和30年)札幌市生まれ。立命館大学卒業。 札幌市交通局で地下鉄・路面電車事業の安全統括管理者として企業マネジメントに携わり、現在、(一財)札幌市交通事業振興公社の常務理事。安全輸送と顧客視点をあたりまえの企業文化にするために「体系化されたマネジメント」の重要性を痛感しドラッカーを学び心酔する。交通局在職中に読書会認定ファシリテーターとなって以降、組織の内外でドラッカー読書会・実践するドラッカーセミナーなどを主宰している。還暦を無事に通過し、現在の家族構成は、妻一人とうさぎ一羽。 趣味は、山歩き、スキー、クロスバイクなどの肉体系とドラッカー関連書籍の読書(つん読から精読まで)などの知識系。

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