世界初のブラインド・ファシリテーター まもなく誕生! その3<後編>-【実践するマネジメント読書会の新たな可能性@青森】


 

2018年春から始めた、ドラッカー読書会ファシリテーター養成講座第11期。

そのうちの一人が、青森在住で全盲の角田まき子さんです。

ファシリテーターの認定に必要な全4回の合宿のうち、最初の3回は青森で開催、最後の1回は

北海道朝里で、ほかの11期の仲間たちと合流して卒業してもらおうと計画しています。

今回、養成講座3回目の青森合宿が終わりましたので、その報告(後編)です。

 

 

 

まき子スタイルに磨きがかかる

ほどなくして、青森のファシリテーター瀬川さんと、2回目の講座にも参加してくれた弘前のOさんがやってきて、オリジナルのパターンで読書会の再会です。

指定範囲は、『経営者の条件』第6章「意思決定とは何か」です。

 

まき子さんと瀬川FTの読書会は、回を重ねるにつれてとても良くなってきています。

 

はじめに、まき子さんから読書会の進め方、指定範囲の章の概説。

「それでは、Oさん、よろしくおねがいします。」

参加者のコメントを聴きながらのまき子さんの相槌が素晴らしい。

本当にしっかり聴いてくれているんだと実感できるので、心の声がどんどん出てきます。

 

つづくまき子さんのコメント返しも、とにかく安定感を増してきています。

「ありがとうございます。そうですね。そういう事って本当にありますね」と、全肯定から始まって、ちょっとした質問を中に入れながら、どんどん参加者さんの本音に迫っていきます。

 

このやりとりを何度か繰り返し、ちょうど良いころ合いにドラッカーの関連する言葉を紹介し、「ドラッカーさんは、こんなことを言っています。Oさんも是非ドラッカーさんの言葉を実践して下さい。」で終了するというパターンが完成しています。

 

ついで、「瀬川さん、お願いします。」と瀬川FTにバトンタッチ。

 

この間に、瀬川さんは、的確なコメントの準備をして、まき子さんのコメントで不足している情報を補完する。

すでに要点は整理されているし、相手は気持ちよく聞く準備が出来ているので、言葉が素直にしみ込んでいきます。

 

まさに、まき子さんと瀬川さんの強みを生かした二人三脚読書会です。

 

とかくファシリテーターは、ドラッカーの情報をたくさん伝えることに一生懸命になりがちですが、自分が伝えたいことを参加者さんが求めていることは稀です。

それよりも、参加者さんの声に、それも表面的な音声としての声だけではなく、その背後にある気持ちに寄り添う姿勢が大事です。

ファシリテーターの真摯な姿勢を受け入れてもらえます。

 

その意味で、まき子さんのすぐれた傾聴のスキルが活躍します。

瀬川さんの豊富な知識が、的確に足りない部分を補完します。

参加者さんの言葉から始まって、ふたりの言葉が調和していきます。

オーケストラのハーモニーのようで、二人の言葉の旋律に魅了されていきます。

 

1時間でふた回り。時間の配分もちょうど良い。

肩の力も抜けて、とても居心地の良い読書会です。

暖かくて優しくて、独特の読後感を味わうことが出来る、素敵な読書会が繰り広げられます。

この良さを体感したら、まき子ファンがどんどん増殖するだろうなという確信的な予感がします。

終了時の、みんな満足した表情がこれを物語っているのです。

 

まき子さんは、ハンディを負っているので、人並外れた知覚能力の高さと、豊かな感性を持ち合わせています。

この「知覚と感性」を読書会に生かすことで、参加者が心の底から満足するものになります。

それが、翻ってまき子さんの成長を促すことにもつながるという結果につながっています。

 

「人格の形成に特に必要なものが、知覚と感性、特に手触りを通じての知覚である。」『断絶の時代』p.318

 

 

青森の養成講座もいよいよ最終日

次の日、残りの第7章と終章の読書会を終え、『経営者の条件』の読書会は、これですべて終了です。

 

ここに至るまで、まき子さんは何度も繰り返し修練したことでしょう。

その苦労は、並大抵のものではなかったはず。

でも、間違いなく、ファシリテーターとしての能力は、格段に上がってきているのです。

この努力と集中、継続することの大切さを、まき子さんから学んだ2日間でした。

 

「成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の集積である。実践的な能力は修得することができる。それは単純である。あきれるほど単純である。七歳の子供でも理解できる。しかし身につけるには努力を要する。掛け算の九九を習ったときのように練習による習得が必要になる。六、六、三六が何も考えずにいえる条件反射として身につかなければならない。習慣になるまで何度も反復しなければならない。」『経営者の条件』p.42

 

いよいよ次は、11期の仲間たちと、朝里でいっしょに最後の養成講座になります。

次回は、世界で初めての「ブラインド・ファシリテーター」誕生の報告ができると信じています。

-つづく-

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Y_Tabata

Y_Tabata

田畑祐司(たばたゆうじ)1955年(昭和30年)札幌市生まれ。立命館大学卒業。 札幌市交通局で地下鉄・路面電車事業の安全統括管理者として企業マネジメントに携わり、現在、(一財)札幌市交通事業振興公社の常務理事。安全輸送と顧客視点をあたりまえの企業文化にするために「体系化されたマネジメント」の重要性を痛感しドラッカーを学び心酔する。交通局在職中に読書会認定ファシリテーターとなって以降、組織の内外でドラッカー読書会・実践するドラッカーセミナーなどを主宰している。還暦を無事に通過し、現在の家族構成は、妻一人とうさぎ一羽。 趣味は、山歩き、スキー、クロスバイクなどの肉体系とドラッカー関連書籍の読書(つん読から精読まで)などの知識系。

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