ものづくりが文明をつくる。
P.F.ドラッカーの『テクノロジストの条件』(ダイヤモンド社)を読みあう「社会生態学研究会」の1回目が8月30日(木)、道銀ビルのセミナールームで開催された。主催はナレッジプラザ。参加者は11人。企業経営者や公務員、会社員やフリーランスなど、さまざまなドラッカーファンが集った。
初回は『テクノロジストの条件』のプロローグ。「未知なるものをいかにして体系化するか」という章を読み進める。「われわれはいつの間にか、モダン(近代合理主義)と呼ばれる時代から、名もない新しい時代へと移行した」という書き出しからスタートする。「われわれの世界観は変わった」とつづくこの章は、実は、1957年に初出された『変貌する産業社会』に収められた論文だ。実に61年前のドラッカーの指摘は、まさに現代のことを予見しているかのよう。ドラッカーによれば、現代の変化は“断絶の時代”と表現され、1965年ごろから2025年ごろにかけて行われるという。しかし、この章に書かれていることは400年くらい前の“大転換期”に起きた、世界観が一変したことについての洞察だ。
・現実はモダンを超えた
・全体は部分の総計か
・因果から形態へ
・目的論的世界観
・新たな哲学
・われわれが必要とする体系
・進歩からイノベーションへ
・かつて変化は破局を意味した
・イノベーションのコンセプト
・未知なるものの体系化
・ひらめきと体系化
むずかしい小見出しが並ぶ。本文はそれより一層むずかしい(笑)。わたしは事前に3回もこの章を読んだが、内容はさっぱり理解できなかった。参加者のほとんどが、同じような感想を述べていた。しかし、ファシリテーターの佐藤等さんの解説により、なんとなく、ドラッカーが見ていた世界がおぼろげながら見えてきた。
「未知なるものの体系化」。ドラッカーは後に、マネジメントというものを体系化した。イノベーションというものも体系化してみせた。いずれも、未知なるものを体系化したのだ。その痕跡があちこちに見られる章となっている。
ドラッカーの読書会には、通常、配置されない章が並ぶ今回の研究会/読書会。
ドラッカー思想の背景というか、深い部分を探るにはとてもいい機会だ。
普段、あまりふれることが少ない分野の読書トレーニング。
負荷をかけたい人はぜひ参加を。
▲参加者のスゴい本!
・次回は9月26日(水)、18時半〜20時
・範囲は『テクノロジストの条件』の1章と2章
・ナレッジプラザ会員とマネジメント読書会会員は無料。それ以外の人は1回5千円。
・申し込み 実践するマネジメント読書会


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