真のマニュアル化とはードラッカーを学ぶとISO9001品質マネジメントシステムの使い方も分かってくる


私は埼玉県で工場を経営しています。

1996年にISO9001を認証取得し、この原稿を書いている今日は定期維持審査でした。

私、個人としてもISO9001には縁があって、サラリーマン時代に所属していた部門の認証取得に関わったことがあります。文書や記録の整備を通して、ISOの要求事項など多少勉強していました。

当時のISO要求事項は主として工場などを想定したものだったため、サラリーマン時代は、システム開発にそれを適用するのに苦労した記憶があります。

そういう意味では、工場の経営にはISO9001 の規格要求事項は適用しやすいと思います。当然ですが。

しかし、品質マネジメントシステムというのは、使い方を誤ると組織を腐らせます。

システムの維持が目的化してしまったりすると最悪です。

仕事のやり方を変えようと思っても、システムへの影響を恐れて変更ができなくなってしまったり、マニュアルで書かれてあること以外のことをする必要はないし、するべきでもない、という考えになってしまったりします。

品質システムや、マニュアルは道具に過ぎない!ということは、私にも分かっていました。

ですから、社員には「道具に使われるな」と訴えてきました。

しかし、その社長の叫びも、むなしく響くだけでした。

なぜなら社長である私自身が、その「道具の使い方」を知らなかったからです。

つまり、マネジメントという道具の使い方が分からなかった。

これが、ドラッカーを学ぶことで変わりました。

私の場合、ドラッカーを学ぶことで、ISOの品質マネジメントシステムという道具も使いこなせるようになってきました。

例えばマネジメントシステムは何のためのツールか、ということです。

これは、本当は、「最高の仕事を実現するためのツール」としなければなりません。

目指すべきは100点満点であり、さらにその上です。

ところが、現実の会社に、10人の人がいればレベルの高い人もいれば低い人もいます。

レベルの低い人に、高い人と同じことをやらせようとすると難しい。そうすると、マニュアルを作成するときに、油断するとレベルの低い人に合わせたやり方がマニュアル化されます。

50点以下が赤点だとすると、50点をギリギリでクリアするマニュアルです。

これが、マニュアル化により組織が腐りだす瞬間です。

本来は、レベルの高い人の仕事のやり方を、レベルが低い人でも出来るようにマニュアル化するのです。

それが、仕事の設計というものです。

しかし、これはなかなか難しいことです。

働く人が出来ないことをマニュアルに書くわけにはいきませんから。

働く人にレベルアップを求めつつ、実現可能なマニュアル化をする必用があります。

チャレンジを要するも実現が可能な仕事の設計が求められるわけです。

このように、マネジメントという道具の使い方を学ぶと、使う上での難しさも明らかになるので、上手に使えていないことが明らかになります。

これが、ドラッカーでマネジメントについて学ぶ効果です。

「目の前に『マネジメント』という強力な道具がある、ある意味では有効に使えているが、逆に害をなしているところもある、どうしたら良いか分からない」

、という状況から、

「こう直していけば、まだまだ使えるし、組織に害をなすこともなくなる」

という状況に変わるのです。

すぐに直すことができなくても、直す方向性が分かるだけで、道具に対する向き合い方が変わってきます。

「最高の仕事をするためのマニュアル」というものが、おいそれと完成するはずがありません。

ということは、常にマニュアルはよりよく変わっていく必要がある、ということになります。

そういう考えに立てれば、よりよい仕事の方法が見つかったらシステムを変更するのは当然になってきます。

ここまで社長の頭が整理されれば、品質マネジメントシステムについて社員から相談されても、回答に困ることはなくなります。

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和光 良一

和光 良一

1972年(昭和47年)東京生まれ。1991年暁星学園高校卒。1997年図書館情報大学大学院卒、NTT入社、NTTコムウェア配属。2004年に前社長の急逝により(株)日興電機製作所 代表取締役社長に就任。2008年に佐藤等氏のドラッカー読書会に参加し、ドラッカーの言葉と出会う。以来、ドラッカーを学ぶことを通して、仕事の悩みを取り組むべき課題に変えてきた。 ナレッジプラザ公認「実践するマネジメント読書会」ファシリテータ。 2010年ドラッカー学会エッセイコンテスト優秀賞。

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