第1章「成果をあげる能力は習得できる」(その2)
エグゼクティブとは?
組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。命令に従って行動すればよいというわけにはいかない。自らの貢献について責任を負わなければならない。自らが責任を負うものについては、自らの知識によってほかの誰よりも適切に意思決定をしなければならない。時にはせっかくの意思決定が認められないことがあるかもしれない。降格させられたり、解雇させられたりすることがあるかもしれない。だがその仕事をしているかぎり、目標や基準や貢献は自らの手の中にある。『経営者の条件』P23
ドラッカー読書会は月1回のペースで、一章づつ進む。気になるところが複数あれば、気になった分だけ線を引いて、当日の発表はその中から選ぶ。第1章「成果をあげる能力は習得できる」の章は、ちょっと長い章。読み返してみるとたくさん線が引いてあった。P23の箇所にも8月23日と日付が書かれていた。この箇所も昨年かな…。
一年前は現場責任者として運営を任されていた。この時期に読書会ファシリテーターを目指して『経営者の条件』を再度読み直していた頃。実践だ。そこでドラッカー教授の「ことば」に従い、仕事に対する考え方を変えてみた。「自分ができる貢献とは?」と向き合ってみる。今までは事業計画の内容、予算を創り、承認、実行までが現場責任者の仕事と思って進めていた。結果に対しての責任者は当然、現場責任者だから。しかし、計画に参画しなければ、各自の責任も、自主的な行動も生まれない。
線を引いた箇所は「己の貢献を考えよ」と、ドラッカー教授が言っているように思えた。
現場責任者としての「貢献」を考える
現場責任者に対する組織の期待とは何か?
己が組織に貢献できることは何かを考え、意思決定を行う。貢献に責任を持つ。出した答えは、「人に任せる」ことだった。方針を決め、後は任せる。問題が発生した時だけ、判断し意思決定する。実にシンプルなことだけど、今までできていなかったことに気づく。すると、スタッフの言動が変わってきた。自ら判断し行動する。問題が発生した時に相談に来る。任されているという責任がスタッフを動かしているように思えた。
ちょっと大きなプロジェクトが終わって、現場を巡回していると、現場の関連会社の責任者の方から、「最近は本当によくしてもらってありがとうございます。」とお声をかけて頂いた。私は任せて、問題があった時に判断しているだけなのに…。何だか、とてもうれしくて泣きそうになってしまいました。
私は、地位やその知識のゆえに、日常業務において、組織全体の活動や業績に対して、重要な影響を持つ意思決定を行う経営管理者や専門家などの知識労働者をエグゼクティブと名づけた。
該当箇所の線を引いた少し先の『経営者の条件』P26に記載されている「ことば」。
現場で働いてくれるスタッフが、運営に参画し、自ら考え、行動を起こし、結果に責任を持って働く。現場責任者の「貢献」とはこのことを進めることなんだ。そして、現場スタッフ全員がエグゼクティブなのだ。そう改めて感じた瞬間だった。
(つづく)
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五月女 圭司
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