絵で見るドラッカーの人生【1945年】
グローバル経済の出現
第二次世界対戦の直後には、あらゆる経済学が、フランスにせよいずれの国にせよ、復興の暁にはアメリカの経済とは違う経済をもつことになるとしていた。伝統と文化に即した独自の消費者と市場を持つとした。日本もアジアの他の国もアフリカの国もそうなるとした。その10年後でさえ、フルシチョフ首相は、アメリカ訪問中、ソ連の消費者は資本主義的、頽廃的なアメリカの消費者とは違うと繰り返しいった。
もちろん最初から反対の意見もあった。しかし、無視された。
今日では、20年前に自明のこととされたことが覆されたのは、アメリカ化や、コカ・コーラ植民地主義や、ドゴールのいうアングロサクソンの陰謀のせいではなかったことが明らかである。単にアメリカが、他の国にさきがけて大量消費時代に入っていたにすぎなかった。現代の価値観、欲求、嗜好がアメリカにおいて他の国よりも若干早く現れたにすぎなかった。
経済発展がもたらしうるものの一端が見えただけで、それまで単に生きるために働いていた大衆が、豊かな生活のために働くようになった。その結果それまでの経済学が考えてもいなかったニーズが発生した。情報、教育、医療だった。
さらには移動の自由だった。消費者は自動車を買えなければスクーター、スクーターを買えなければ自転車を買った。そしてラジオやテレビにしても、他に世界を知る手段をもつ者にとっては娯楽であっても、大衆にとっては単なる娯楽ではなかった。村や町の外を知る唯一ともいうべき手段だった。『断絶の時代』より
※この情報は『ドラッカー入門 新版』のp.281~の「ドラッカー年譜」をもとに制作しています。より深い背景の理解には同書をお薦めします。
五月女 圭司
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