世界初のブラインド・ファシリテーター ついに誕生!! 終章-【実践するマネジメント読書会の新たな可能性@青森】


2018年春から始めた、ドラッカー読書会ファシリテーター養成講座第11期。
メンバーの一人は、青森在住で全盲の角田まき子さんです。

 

ファシリテーターの認定に必要な全4回の合宿のうち、最初の3回は青森で開催、最後の1回は北海道朝里で、ほかの同期の仲間たちと合流して卒業してもらおうという計画でした。

 

今回、養成講座最終回の朝里合宿が無事終了して、優秀な成績ですべての認定要件をクリアし、第11期ファシリテーターとして認定されました。

 

 

ドラッカー教授のセルフマネジメントの名著『経営者の条件』では、「成果をあげるために身につけておくべき習慣的能力は五つある。」p.43 とされています。

① 時間管理(第2章)
② 貢献(第3章)
③ 強み(第4章)
④ 集中(第5章)
⑤ 意思決定(第6章・第7章)の5つです。

「目の不自由な人でも読書会のファシリテーターってできるの?」
誰しも考える素朴な疑問です。
特にドラッカー教授の本は、それでなくても難解と言われています。

なぜ、全盲のまき子さんが、このような大きな成果を出すことができたのか。
今回は、「5つの習慣的能力」に照らし合わせて、考えてみようと思います。
※以下、とくに但し書きのない場合は、『経営者の条件』からの引用です。

 

第2章 汝の時間を知れ

成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない」p.46

まき子さんは、日常の家事や活動に時間をとられる中で、まず、時間を確保することから始めています。

最初は、毎日朝晩、1時間づつの時間を当てていました。
ところが、ファシリテーターになるためには、課題図書の精読はもちろんの事、ファシリテーション技術や読書会の運営技術など、身につけなければならない能力がたくさんあります。
まき子さんは、ほどなくして、これでは追い付かないということに気が付きます。

成果の上がらない人は、一つの仕事に必要な時間を過小評価する」p.141

この気づきから、毎日朝晩、2時間ずつの時間を充てるようになりました。
時間と成果の見積もりがうまく行っていなかったというフィードバックから、すぐさま修正した姿はみごとです。

この、毎日の学習だけでも500時間以上の時間を費やしたことになります。

 

 

第3章 どのような貢献ができるか

ー私がファシリテーターになることで、引きこもりがちな多くの仲間が社会の中で元気に活躍してくれるきっかけになれば良い。それが私の使命だと今思っています。ー

成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない」p.78

自分事ではなく、他の人の役に立つと自覚できることが、大きなモチベーションに繋がります。
まき子さんは、養成講座の初期の段階から、自らのなすべきことが明確になっていたので、これが頑張り続けるチカラの源泉になっていました。

 

 

第4章 人の強みを生かす

まき子さんが視覚に障害を持っているということは、個性です。
このために、まき子さんは、他人の話を聴く能力に優れています。
また、参加者さんの話の中から、本音や本質がどこにあるのかを見抜きます。

そうはいっても、まき子さんの読書会運営は、FT7期の瀬川とみこさんを抜きにしては語れません。

読書会参加者さんのコメントの後、まき子さんは、いくつかの質問で話の道筋を明確にします。何度かのやり取りのあと、ドラッカー教授の関連する言葉でしめくくり、瀬川さんにバトンタッチ。

ここから、瀬川さんの豊富な知識と巧みな話術が活きてきます。
さらに、まき子さんが先発することで時間に余裕もできて、その間に的確な本のページを紹介することも出来ています。

組織の役割は、一人ひとりの強みを共同の事業のための建築用ブロックとして使うところにある」p.102

この二人が運営する読書会では、とても安定した心地よさが参加者さんに伝わります。
まちがいなく、人気の読書会になるだろうという期待がもてます。

 

 

第5章 もっとも重要なことに集中せよ

成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つの事しかしない」p.138

ここに言う「集中」とは、スポーツ選手のような瞬発力のことではありません。
短期の集中力ではなく、もっと長いスパンでの継続的な集中です。

まき子さんにとって、もっとも重要なことは、他の同期の仲間たちと一緒にドラッカー読書会の認定ファシリテーターになることです。

そのために、この半年間、多くの時間を継続的に使ってきたのです。

 

 

第6章 意思決定とは何か・第7章 成果をあげる意思決定とは

ちょうど一年前の金沢での読書会サミットの懇親会の場で、まき子さんは、読書会ファシリテーターになるという宣言をしました。

ー自分がファシリテータになるなんて、ほんとうに出来るんだろうか?-

ファシリテーターになりたいと宣言した後も、相当の迷いがあったと言います。

でも、一度決断した後には、もう迷いはなくなっていました。

意思決定とは判断である。いくつかの選択肢からの選択である」p.192

意思決定とは、未来を決める勇気のことです。
未来には、確実な正解はありません。
未来は、自分自身で作り上げていかなければならないのです。

 

 

まとめ

『経営者の条件』は、セルフマネジメントの本です。

成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の集積である。実践的な能力は修得することができる。それは単純である。あきれるほどに単純である」p.42

この半年間で、まき子さんは、このことを実証してくれました。
セルフマネジメントの成果をあげる五つの習慣的能力を身につけることで、この正しさを証明してくれたのです。

困難な道程を一歩一歩、確実に歩んで、自ら勝ち取った認定資格です。

これからも、どんどん自分の道を歩き続けて、周りの人たちに夢と希望を与え続けてくれることでしょう。 ー完ー

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Y_Tabata

Y_Tabata

田畑祐司(たばたゆうじ)1955年(昭和30年)札幌市生まれ。立命館大学卒業。 札幌市交通局で地下鉄・路面電車事業の安全統括管理者として企業マネジメントに携わり、現在、(一財)札幌市交通事業振興公社の常務理事。安全輸送と顧客視点をあたりまえの企業文化にするために「体系化されたマネジメント」の重要性を痛感しドラッカーを学び心酔する。交通局在職中に読書会認定ファシリテーターとなって以降、組織の内外でドラッカー読書会・実践するドラッカーセミナーなどを主宰している。還暦を無事に通過し、現在の家族構成は、妻一人とうさぎ一羽。 趣味は、山歩き、スキー、クロスバイクなどの肉体系とドラッカー関連書籍の読書(つん読から精読まで)などの知識系。

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