読書会 それぞれの出会いの物語その3―「運命の赤い糸」で繋がっていたドラッカー


「運命の赤い糸」という言葉がありますが、「自分にもそのような経験がある」と言う人もいるのではないでしょうか。

今回はドラッカーとまさに「運命の赤い糸」で結ばれ、現在、首都圏の「実践するマネジメント読書会®(以下、「読書会」)」に参加され、この夏、読書会ベーシックのファシリテーター(以下、「FT」)になられた某鉄道会社にご勤務(材料調達・管理ご担当)の樋爪(といづめ)達哉さん(31歳)にお話を伺いました。(なお、ご本人の希望によりお顔とは違うイメージ動物写真を使っております。)

○大学の授業で出会ったドラッカー

(筆者)樋爪さんと初めて出会ったのは確か一昨年(2016年)9月開催のベーシック読書会だと記憶しているので、ちょうど2年ですが、何だか昔からの友人の様な気がします。「ドラッカーの学び・実践仲間は実際のお付き合いの有無や期間を問わず古くからの友人」という感じって、FTや読書会参加者のどの方に聞いても同じ様な気がします。前置きが長くなりましたが、宜しくお願いいたします。

 最初に月並みですが、樋爪さんがドラッカーに初めて触れたきっかけについて教えて戴けないでしょうか。

(樋爪)はい。私は大学生活を埼玉県行田市にある「ものつくり大学(以下、「もの大」、ちなみに英語名の「Institute of Technology」はドラッカーが名付け親)」)で過ごしたのですが、そこで履修した「マネジメント論」の授業がきっかけです。今から10数年前、大学1年生(18歳)の時でした。

もう少し詳しく話しますと、担当教員が客員の井坂康志先生(某出版社編集者、ドラッカー学会理事)で授業のテキストとして指定されたのが『プロフェッショナルの条件』でした。今考えると井坂先生とドラッカーの本との出会いが今日に繋がっているのかなと思います。

(筆者)なるほど。では、もう少し詳しく教えて下さい。まず、『プロフェッショナルの条件』を読まれた時の印象で何か覚えていることはありますか。

(樋爪)本は授業のテキストという事で買ってすぐに家で読んだのですが、読み終わった時に自然と涙が流れてきました。私にとっては少し難しい表現で書かれていましたが、「うっ」と感じる箇所だらけだったのですが、本全体を通じて「組織にとってミッション(使命)が大事」と深く心に刻み込まれました。10数年経って読み返してもこの時の思いは忘れません。

(筆者)10数年経っても覚えていると言う事は余程、鮮烈な印象だったのですね。今、本について教えて戴きましたが、一方、井坂さんの授業等で覚えている事を教えて戴けないでしょうか。

(樋爪)印象に残っているのは「知識労働者」「あなたの強みは何ですか」ですね。今思えば、ドラッカーの基礎的な部分を教わっていたと思います。また、授業後、井坂先生と一緒に帰る事が多く、その時に様々な分野の話をしました。井坂先生は本当に数多くの分野に造形が深く、政治・経済から文化・芸術に至るまで本当に様々な話題が出てきました。読書会後の懇親会ではありませんが、井坂先生との帰り路の一時はまさに「第2の授業」だったと思います。『プロフェッショナルの条件』同様、井坂先生との出会いやお付き合いがその後のドラッカーとの再会に繋がったと今、思います。

 

○ドラッカーとの再会(その1)

(筆者)樋爪さんは18歳という感受性豊かな時期に「恩師」と言える「本と人」との出会いをされたのですね。今、「ドラッカーとの再会」という言葉が出ましたが、もの大以降、しばらくドラッカーと触れることは無かったのですか。

(樋爪)実はそうなのです。井坂先生の授業終了後、ドラッカーに触れる機会はしばらくありませんでしたが、社会人になった2010年に再会の時がやってきました。

私、今の会社に「プロフェッショナル職」として入社しました。その頃は岩崎夏海さんの「もし、高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(通称、「もしドラ」、2009年末発刊)」からの「もしドラ」ブームの余韻が残っていた名残があり、同期同職種の仲間にドラッカーの本にハマっていた人間がいました。その彼から「俺たち、プロフェッショナルって何かもっと学ばないといけないんじゃないか」と熱い働きかけがあり、終業後、職場近くのカフェで『プロフェッショナルの条件』の同期数名が集まって読書会を数回やりました。しかし、思いは強いけど、正直言って、本の言葉が難しくて挫折というか消化不良状態で終わってしまいました。

でも、この時の同期読書会は「やらされ感」がなく、自主的に学びたい仲間でやったので、とても楽しかったし、その後、社内読書会をやりたいなと後年思うきっかけになったと思います。

 

○ドラッカーとの再会(その2)そして読書会・FT養成ゼミ参加へ

(筆者)ありがとうございます。今、またしても「ドラッカーとの再会」を暗に言っている言葉がでましたが。

(樋爪)そうなのです。実はまた数年、ドラッカーに触れる事がない年月が過ぎました。そんな日々に終止符を打ったのが、もの大時代の恩師である井坂先生でした。井坂先生とは2013年にFacebook上で再会し、その後2016年8月に井坂先生等が幹事をしているドラッカー学会内の研究会である「渋沢ドラッカー研究会」の例会に井坂先生からお誘いを戴き参加しました。参加者の皆さんからの実践に基づく報告やワークショップ等、様々な切り口からドラッカー思想を考える場でドラッカーを身近な存在として感じました。

そして、研究会終了後の懇親会で今につながる大事な出会いがもう1つありました。研究会に参加されていたFTの先輩の和光良一さんから「体験参加でいいので、読書会に来てみませんか。きっと、何か感じるものがあると思います。」と熱いお誘いを受けました。半分余談となりますが、その懇親会での和光さん、岩崎夏海さんとあのゴジラについての話が言葉では言い尽くせない程、盛り上がり(当時、映画『シンゴジラ』上映中だった事もありました)、この人がFTをする読書会ってどんな感じかなと興味を持ち、翌9月の読書会に体験参加することになりました。

(筆者)井坂さんからのお誘い、そして一期一会ではありませんが和光さんとの出会いが今につながっている事が良く判りました。さて、実際に読書会に参加した印象はどうでしたか。

 

(樋爪)一言で言うと「すげえ!」です。もう少し補足すると、参加者が事前に読んで線を引いた箇所(共感・疑問等、気になった箇所)についてコメントし、それに対してFTがコメント・解説等をするという読書会に参加し、そしてまた家で読み返すような方法であれば、「ドラッカーの本を読める!」という気持ちが体験参加終了時に揺るぎないものとなりました。加えて、多くの方が「第2の読書会」と言う懇親会に参加し、読書会で語り尽くせなかったFTや参加者の方々の話(実践等に関する試行錯誤等)を聞いて、「次回から正式参加するぞ」と思いました。

(筆者)最初に読書会に参加されて、その魅力にどっぷりと浸かったのですね(笑)。読書会にその後、継続参加されつつ、熱海で開催のベーシックFT養成合宿ゼミにも参加されていますが、参加のきっかけ、参加後の感想等について教えて戴けますか。

(樋爪)はい。ゼミに参加しようと思った理由は2つあります。1つは新入社員時代の同期読書会開催時に感じた「会社の中で読書会が広められたらなあ」という思いが読書会参加を通じて更に強いものとなっていたからです。もう1つは読書会同様、和光さんの薦めです。和光さんから「FTゼミに参加するとドラッカーの本の読み方が変わるよ」とアドバイスを受けました。私もより深くドラッカーの本の内容を理解し、自分のものとし、実践につなげたい気持ちが強かったので、受講を決めました。実際にゼミに参加して読書会に参加してきたが「今までドラッカーの本が読めていなかった」ことが判ったと同時に本の中の一つ一つの文章や言葉をじっくりと噛みしめ、関連づけて読むようにしなければと思うようになりましたし、事実、今は読書会参加前準備時にはそのように読んでいます。

 

○読書会で得たもの、私の「ドラッカーの金言」、そして「読書会参加のすすめ」

(筆者)ここまで樋爪さんのお話を聞いて、読書会からかなり多くを得たという印象を持っていますが、参加前と比べて、樋爪さんご自身の変化で感じられる事はありますか。また、読書会で学んだことを具体的に日々の実践で活かしていることやその時に支えとなっているドラッカーの言葉について教えて下さい。

(樋爪)そうですね・・・・。まず、読書会に参加し始めた2年前と今を比べて、自分自身変わったなと思うのは最初、難しいと感じていたドラッカーのマネジメントが目に見えて自分ができる範囲で実践できて来ていることです。これはやはり、読書会に参加して多くの仲間の試行錯誤ぶりを具体的に聞き、「自分の場合にはこういう事にドラッカーのマネジメントを『道具』として使えそうだ」と考え、実践する事を繰り返してきたからだと思っています。また、これに関係してですが、実践の時に支えとなっているドラッカーの言葉は数知れませんが、幾つか紹介いたします。言葉によっては「そんなの当たり前じゃないか」と思ったものもありましたが、いずれも読書会を通じて自分の中で「金言」となっていきました。

・「問題ではなく、機会に焦点を合わせることが必要である。(中略)成果は機会から生まれる。」

 (『経営者の条件』P.11

・「時間は希少な資源である。時間を管理できなければ、何も管理できない。」(同P.76

・「成果をあげるには、強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない。」(同P.102

・「まずは仕事が適切に設計されている事を確かめなければならない。もし、適切に設計されていないならば、(中略)仕事そのものを設計し直さねばならない。」(同P.113

(筆者)ここまで樋爪さんにいろいろとお話を伺ってきました。一部、重複する内容も出てくるかもしれませんが、樋爪さんが考えるドラッカー及び読書会の魅力について教えて下さい。そして、このWebを見ていて「読書会って何?」、「読書会に参加しようか否か悩んでいる」と思っている皆さんへのエールも併せてお願いいたします。

(樋爪)はい。まず、ドラッカーのマネジメントは現在でも様々な面で実践に活かせる本質的なものが魅力だと思いますが、どう実践するかについては個々に委ねられている。そこを補うのが読書会だと私は思っています。つまり、車の両輪の様なもの(マネジメントの本質をドラッカーの本から学び、実践のヒントを読書会から得る事)と思います。ベーシック読書会で主に使用されている『経営者の条件』は1966年と約50年前に書かれた本であるにも拘わらず、そこに書かれている内容の多くは今読んでも学びの糧たっぷりだと読書会やFTゼミで強く感じました。

そして、読書会ですが、ドラッカーに興味がある方、かつての私のようにドラッカーの本を読んで挫折した方、そして何より仕事で何か悩んでいる方にはお薦めです。私もそうでしたが、読書会は体験参加ができますので、これらの方たちには「まずは1回来てみませんか。FTや読書会参加中の仲間が待っています。」と伝えたいです。

(筆者)樋爪さん、最後に素晴らしいエールありがとうございます。「社内読書会をやりたい」と以前から思われていたとの事で是非、開催できるよう頑張って下さい。恥ずかしいながら、私も中々、社内読書会実現には至っていないので、負けないように頑張ります。重ね重ね貴重なお話を戴きありがとうございました。

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八谷 俊雄

八谷 俊雄

1966(昭和41)年、札幌市生まれ。北海道大学卒業後、現在も勤務している某エネルギー会社に入社。地方機関(札幌・青森・名古屋)、本社(東京)各部署、出向で様々な業務を経験。2008(平成20)年春から開催されている東京での「実践するマネジメント読書会」に参加。仕事・学び(ドラッカー等)・プロボノ(東北社会起業家支援)・同窓会(高校・大学・大学院)活動の「四刀流」の傍ら、趣味である旅行(国内はプライベート・出張等で国内は47都道府県全て、海外は約30か国を訪問)を旭川市出身の妻と楽しむ。

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