フリーランスで働くあなたに読んでほしい。バスガイドせがわとみこがお伝えするマネジメントという道具を携え働く喜び。


フリーのバスガイドとして依頼を受ける私はいろんなバス会社さんのバスに乗務します。

若い頃「バスガイドとしての仕事はやり尽くした」との思いと、夫の転勤にともない青森を離れたこともあり、12年勤めたバス会社を退職。バスガイドに復帰する気持ちは皆無でした。「これからは決まった曜日に休める仕事をする」「毎日同じ時間に起きればいい仕事につく」と、事務職を目指してパソコン教室へ通いました。念願叶っての事務職。毎日同じ時間に起床して、週の始まりの月曜日には少しだけ憂うつになったり、花の金曜日にはうきうき夜の街へ繰り出したり。バスガイド時代には味わえなかった気分を満喫。自分の仕事ぶりを見ているのは運転手さんだけだったバスガイド時代と違い、当たり前ですが会社で働くということは、上司、先輩、同僚とともに働くということ。そういうことがとても新鮮でしたし、スクールで得たパソコンスキルを実践のなかで磨き、活かせることを楽しんで働いていました。

転機がやってきた

夫の仕事の関係で青森に戻った2011年頃からバスガイドの仕事をしませんかと声をかけていただくようになりました。10年以上離れていた億劫さと、もともとバスガイドに対する未練がなかったこともあり、「私はマイクを置いた山口百恵です」と断り続けていました。2015年夏頃でしたでしょうか。「夏祭りのツアーに乗務できるバスガイドが足りない。日帰りの簡単なコースで構わないから引き受けてくれませんか」と日頃お世話になっている方から熱心なお声がけをいただき、2、3回ならやってもいいかな、と引き受けたのがフリーのバスガイドとしての始まりです。ご縁をいただきやってみるとあの頃とはまた違う面白さが待っていたのですがそれに気づけるのはもう少し先のこと。

一度引き受けたら二度三度…。「バスガイドが足りない時は声をかけるので出来る範囲でいいから助けてね」と言われていた声がけが、徐々に増えていきました。頼まれると断れない性分だった私は「ちょっとしんどいな」と思いつつ多少無理をしてまでも引き受けたり、断るときもすぐに決断を出せず回答を引き延ばしたりしていました。

当時から私には「都心で行われているような上質の学びを地方にいながらにして受けられる場を青森につくりたい」という目標があって、そのために時間を使いたいのに使えないもどかしさもあり、自分で引き受けたことはタナにあげ「断れない」「振り回されている」とモヤモヤした気持ちをいだくようになっていたのです。

転機は読書会から

時期を同じくしてドラッカーの書籍を使った読書会に参加していた私。

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ほかの人間をマネジメントできるなどということは証明されていない。しかし、自らをマネジメントすることは常に可能である。 『経営者の条件』まえがき

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ドラッカーさんのことばにはっとします。

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おそらく時間に対する愛情ある配慮ほど成果をあげている人を際立たせるものはない。 『経営者の条件』

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時間という稀少な資源を大切に扱おう。

そう考え、時間を大切に扱うための工夫を始めてみました。それまでは (フリーのバスガイドとバス会社さんの間に入って仲介的なやりとりをしてくださっている方から) 一方的に依頼を受ける側だったのですが、あらかじめ向こう一ヶ月の「稼働 可能日/不可能日」を伝えておくことにより、動けない日に仕事の依頼がくることはなくなりました。苦手だった「断り」をしなくて済むようになったことでストレスはずいぶん軽減されました。

するとバスガイドとして働くことが楽しくなってきたのです。若い頃と違う面白さがあると気づくことが出来たのはこのあたりです。

そこで楽しくなってきたバスガイドをより楽しくやり続けるためにと次に試みたのは「時間の使い方を1年単位・月単位で考え、かける時間の比率に柔軟性をもたせること」です。おおざっぱに言えば半年間雪に見舞われる地域の観光シーズンは雪のない半年間です。そのなかで特に動きがありバスガイドの人材が不足するのは4月の桜が咲く季節・6月の修学旅行・8月の東北夏祭り・9月10月の紅葉の頃。それらのシーズンは普段は別のことにウェイトをおいている時間との割合を変え、余裕をもってバスガイドの仕事を引き受けられるよう予定の調整を行います。1年中行っていたボランティア活動は冬の時期だけ行うこととしました。

組織に属さずフリーで働いているのだからマネジメントの能力は必要ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、たったひとり無人島で暮らしているのでもない限り私たちは誰かと関わり合って働いているわけです。厳密に言えば私も頼まれた先のバス会社さんの社員ではありません。しかしそういうことはお客様に関係のないこと。お客様にとってその旅が最上のものとなるように運転手さんと添乗員さんと私は手を組んで最善を尽くし、なすべき成果に向かうという責任があるのです。そういう意味で、私たちはチームです。チームで働くときマネジメントの能力を身につけておくことはとても役に立ちます。フリーで働いている方にもオススメの便利な道具がマネジメントなのです。

マネジメントを学び、マネジメントという道具を携えて仕事をする

読書会を通してマネジメントを体系的に学び、自らの強み、仕事のやり方、価値観を知ることに意識を向けているからこそ観光シーズンのてんやわんやの現場にも惑わされることなくブレずに仕事が出来ています。いまこの面白さを味わうことができている要素をまとめると以下の2つです。

①読書会を通して、ドラッカーさんを学んでいること

②若い頃の私がそれなりにがんばってくれていたこと(新人のときに泣きながら暗記した奥入瀬渓流や十和田湖の案内、東京の仕事のとき寝ないで勉強したことなどが血肉になっているのをいま感じています) だからこそ「あさってから東京行けますか?」などという依頼にも自らの意思と、自らの責任において「やりましょう」と言える自分がいる

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自らの強み、仕事のやり方、価値観がわかっていれば、チャンスを与えられたとき、職を提供されたとき、仕事を任されたときに、「私がやりましょう」「私のやり方はこうです」「仕事はこういうものにすべきです」「他の組織や人との関係はこうなります」「この期間内にこれこれのことをやり遂げます」と言える。 『明日を支配するもの』

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一組織の一員として働いていたときよりもフリーのほうが責任の重さはどっしりどっぷり感じます。この喜びが「責任をもって働ける仕事がある」ということからくる喜びなのだと気づかせてくれたのもドラッカーさんのことば。

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自己開発とは、スキルを修得するだけでなく、人間として大きくなることである。おまけに、責任に焦点を合わせるとき、人は自らについてより大きな見方をするようになる。うぬぼれやプライドではない。誇りと自信である。一度身につけてしまえば失うことのない何かである。目指すべきは、外なる成長であり、内なる成長である。 『非営利組織の経営』

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先日嬉しいことがありました。関西からのお客様をご案内しているツアーで、奥入瀬渓流のネイチャーガイドとしてやってきたのがバスガイド時代の同期木村育子ちゃん(ブルーのユニフォーム)でした。偶然の再会。彼女の専門的な知識と声の通る案内に満足げにうなずいていらっしゃるお客様の笑顔を見てバスガイド時代の全盛期をともに過ごした仲間のプロフェッショナルな働きぶりが眩しくて嬉しくて鼻高々。
彼女は彼女で彼女の強みを生かしていい仕事しているのです。ステキ!

この記事を通して、フリーランスで働くあなたに、マネジメントという道具を携え働く喜びが伝わっていたら嬉しいです。

以上、セルフマネジメントの能力を身につけていてよかったとつくづく思っているたたき上げのスキルだけが武器の(笑)フリーで働くせがわとみこのひとりごとでした。ご静聴ありがとうございます!

(わたくしは時々失敗いたします エヘっ)

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瀬川 智美子

(せがわとみこ)青森県十和田市出身、青森市在住。実践するマネジメント読書会青森・志喜彩塾青森を主宰、ときどきバスガイド。地元のバス会社で観光バスガイドを12年勤めたのち、夫の転勤に伴い仙台・名古屋・札幌で暮らす。それぞれの街で出会った学びと仲間たちのおかげで人間として成長できたという経験から「おとなになって学ぶこと」の楽しさに目覚める。人の成長に欠かせない継続的で上質な学びの場を(都心へ行かずとも)地方で受けられる環境を整えて、そこに集まってくださる方々に笑顔の花が咲くのを見るのが私のワクワク。フリーのガイドとして観光バスに乗る時は、ドラッカーのマネジメントをバスガイドの現場で実践する全国唯一(?)のドラッカリアンなバスガイド。

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