「コラムを執筆してくれないか?」
ある飲み会で、そう言われた。
酔った勢いで、二つ返事でOKしてしまった。
そしていま、私はパソコンの前に座りながら、こう思っている。
「一体、何を書けば良いのだろう?」
ドラッカーの書籍を使った読書会のファシリテーターとして活動し始めて3年が過ぎた。
ありがたいことに、さまざまな方から声をかけていただき、これまで約130回の読書会を開催させてもらった。
全国でも100回を超える読書会をファシリテートした人は、まだ少ない。
これを機会とするならば、自分にできそうな貢献は何か??
「あった!」
という訳で、今後このコラムには読書会に実際に参加してくれた人に登場してもらおうと思っている。
100回を超える読書会を経験して、自分が手にしたものは「参加者の皆さま」なのだと気付いたからだ。
私に騙されて、半信半疑のままドラッカーを実践し、そしたらなぜか人生がどんどん変化していった『被害者の会(笑)』の皆さまに、心からの感謝の気持ちを込めて光を当てたいと思っている。
参加してくれた方の次の成長につながるよう。
そして、読者の方の次の一歩へとつながるよう。
筆者は経営コンサルタントを本業にしている。
実際に関わらせていただいたクライアント企業だけでも数十社、読書会や講座でお会いした方も含めれば数百人の経営者とお会いしてきた。マネージャーの方も含めれば、千人をはるかに超える。
みなさんが口をそろえて仰るのは、やはり「人が育たない」という悩みだ。
人が育たない会社では、当然のことながら採用もうまく行っていない。
マネジメント上の課題の本質は、やはり人に尽きる。
これは今も昔も、何ひとつ変わっていない。
不思議なことに、読書会という場では、なぜか人が育つ。
月に1回、たった10カ月、本を読むだけで、
成長の意欲を取りもどし、見違えるように人が育つ。
読書会という場が、
参加した人々のつくりだす環境が、
人を育てるのだ。
当コラムでは、成長を手にした本人に、
「なにをしたんですか?」
とストレートに聞いてみようと思っている。
インタビューの際に出てきたキーワードを、私なりにドラッカーのマネジメントの原理原則に紐づけてみようと思う。
そうすることで、読者の皆さんに、人が自らの意思で成長する環境を生み出すための「何か」を感じ取ってもらうことを意図している。
人はそもそも「成長したい」という意欲を持つ生き物として、この世界に生を受けている。
生まれ持った成長意欲を止めているのは、われわれ人間が生み出す環境にほかならない。
ドラッカーは「組織は道具である」という。
その道具の使い方を間違ってしまったがゆえに、人の成長が止まってしまう。
これが、いまこの日本で起こっている現実だ。
間違った道具の使い方が常識となっていることは、たしかに大きな問題ではあるが、私自身はまったくもって悲観していない。
「正しい道具の使い方を身につければいい」
ただ、これだけの事だと思っている。
人が育つために必要なのは、育つための環境を手にしているか、否か。
ドラッカー教授の言葉と、その言葉を媒介に集まる人の環境が、その人が育つための環境をつくりあげていく。
次回からはそんな生の姿を、参加者へのインタビューを通してお届けしたいと思っている。



鹿島晋

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