人生100年時代の先人:絵で見るドラッカーの人生【1966年】(1909〜2005年)


絵で見るドラッカーの人生【1966年】

自らをマネジメントする

マネジメントとは組織の運営にあたる者にしか関係ないことなのか。そうではない。マネジメントは社会的な機関として、国家や政治から企業、NPO、部活、個人にまで適用すべきである。個を社会的な目的のために生かしきる。成就させることがマネジメントの存在理由である。

とくに岩崎夏海氏の『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』ダイヤモンド社)以降、マネジメントの適用範囲が事実上無限であることが理解されるようになった。トップだけが経営や組織について学ぶだけなら、マネジメントとは一部の特権階級の知識にすぎない。それでは、教会の地下のかびくさい書庫にひっそりと保蔵された革貼りの聖書と変わらない。

ドラッカーの偉大なところは、すべての知識労働者に向けてマネジメントを示した点にある。経営三部作の一つに『経営者の条件』がある。原題はThe Effective Executiveである。エグゼクティブとは仕事に責任を持つ者全員だから、簡単に言えば、働く人々がいかに成果をあげるかについての書物である。「成果をあげる能力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人から貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを同時に満たすことができる」(『経営者の条件』)

個と組織のニーズを同時に満たす自己実現の本質が記されている。しばしば実現というと、何か高邁な理想の追求のように考えられる。しかし、行動レベルで見ればシンプルでささやかなものばかりである。自己実現とは、自らを目的であると同時に手段として生かしきること、ドラッカー流に言えば、「自分を使って何ごとかを成し遂げること」を意味する。

成果をあげるということ

時間からスタート

組織はどこまで行っても手段である。しかし人間や社会は存在自体が目的である。その人間や社会が、組織を手段として活用できるようになって200年も経っていない。

ドラッカーのいう組織社会では、形態を問わず成果をあげることが必要条件である。ドラッカーは5つの能力を向上させることで成果をあげることが可能になると述べている。「時間管理」「貢献」「強み」「集中」「意思決定」である。

ドラッカーは「私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」と述べている。時間管理とは自らの時間が何にとられているかを知り、体系的に時間を管理することである。やる気の起こらない仕事や、成果を生まない仕事で時間をとられない。人に任せられる仕事はアウトソーシングする。まずこれらのことだけでも時間管理の価値がある。

そのためには、第一に時間を記録する。記憶するのではなく、実際に記録する。記録してもらってもよい。思っていたものとのあまりの隔たりに驚くはずと言う。第二に時間を管理する。不要なものを棄て、しなくてよいことはしない。人に任せられるものは任せる。第三にこうして自由になった時間をまとめる。これではじめて成果をあげるための準備が整ったことになる。

考えてみるならば、時間を記録する。不要なのもを棄てる。まとめるという時間管理のステップそのものが、ドラッカーが高く評価する生産革命の父テイラーが説く科学的管理法そのものである。

ドラッカーは、肉体労働のための時間研究を知識労働のための時間研究につなげた。そこでは、もちろん他人の時間も無駄にすることは許されない。組織内全員の時間を浪費させている経営システム、人員配置、組織構造、情報システムを不断に点検し、モニタリングしていくことが求められる。

「汝の時間を知れとの昔からの知恵ある処方は、儚い身の人間にとっては不可能なほどに困難である。しかし、その気があるかぎり、汝の時間を知れとの処方には誰でも従うことができる」(『経営者の条件』)

『ドラッカー入門 新版』より

※この情報はのp.281~の『ドラッカー入門 新版』「ドラッカー年譜」をもとに制作しています。より深い背景の理解には同書をお薦めします。

FavoriteLoadingお気に入りに追加
The following two tabs change content below.

五月女 圭司

『人生を変えるドラッカー』を読んで「人生は変えられるよ!」と、神さまの声が聞こえた気がした55歳の会社員。己と向きあうには師匠がいる。私の師匠はドラッカー教授の「ことば」(お逢いしたことはありませんが…)。個人も組織も「地域貢献」が人生のテーマ。私のミッションは「人」と「ドラッカー」と「音楽」をつないで笑顔が絶えない社会を創るために日々まい進すること。

コメント