師走。なにかと気ぜわしい中、この1年を総括しなければ終わらない。
1年をふり返る時に、ヒントとなるドラッカーの3冊の本と、ことばを紹介したい。
『非営利組織の経営』ダイヤモンド社
第Ⅴ部「自己開発」 第1章「自らの成長」
この章は6ページと非常に短いながらも、とても重要なことが書かれている。
引用したい。
成功する人たちは、自らが行ったこと、そのうち意義の大きなもの、さらに力を入れるべきものについて年に1、2度反省している。私自身1940年頃から、毎年8月には、2週間ほどかけて1年間を反省している。「いかなる分野で大きな貢献をしたか。いかなる分野が私を必要としているか。いかなる分野で時間を無駄にしたか。最高の貢献をし最高の成長をするためには、いかなる分野に集中すべきか」
ドラッカーいわく、計画どおりにやれるわけではないと言う。人は強みへの集中によってのみ自らの成長を図ることができるとしている。
わたし・花岡俊吾が、はずかしながらもドラッカー教授の問いに答えてみたい。
・いかなる分野で大きな貢献をしたか?
正直、今年はあまり、大きな貢献はできなかった1年だった。大きくはないが、多少なりとも貢献できた分野として、「インタビュー取材記事制作」があった。
それぞれのプロフェッショナルに会いに行き、どのようにして今の仕事につき、どんなことを大切にしてその仕事に取り組んでいるのか。そんな“ひとしごとものがたり”を聞いて、記事として制作。WEBサイトにコンテンツとしてアップしてきた。
その人らしさが出るような写真を撮影し、ビジュアルに添えた。「自分のとりとめのない話しを、すてきにまとめていただき、ありがとうございました」というありがたいコメントをよくいただいた。
参考 —村木宏彰さん紹介記事
・いかなる分野が私を必要としているのか?
ふだん、マスコミ・新聞やテレビがつたえない、隣りのプロフェッショナルについて、そのすばらしさを表現すること。このようなことだろうか。
近年、「オウンドメディア」ということばをよく目にする。自社で運営する媒体のこと。マスメディアを介しなくても情報を発信できる時代になった。この分野で、コンテンツ制作のわたしが必要とされているのかもしれない。
・いかなる分野で時間を無駄にしたか?
あまり詳しくもない業界への新規アプローチの時間。当然、成果はまったく出なかった。Facebookやニュースアプリなどのタイムラインを、なんとはなしに眺めてしまっている時間。ひとりで、もんもんとアイデアを出せずに時間を浪費してしまった時。こういう時も時間をムダにしてしてしまった。
・最高の貢献をし最高の成長をするためには、いかなる分野に集中すべきか?
これまで、10年ちかくにわたって、観光という分野で特にアウトドアの紹介に集中してきた。だいぶ、網羅してきた。つぎなるステージはどこなのだろうか。それを模索するタイミングにいる。
人口減少のスピードが早まっているふるさと北海道。新しい仕事・雇用を生み、経済価値につなげる分野。新しい取り組みをはじめた人。新たなチャレンジをしているチーム。新事業に挑む会社を、広報・集客面で応援したい。
『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社
パート3「自らをマネジメントする」 第1章「私の人生を変えた7つの経験」
この章は、ドラッカーの青年時代や記者時代・シュンペーターの教訓などがつづられた貴重な章だ。わたしが大好きな章のひとつ。その内容は、
<目標とビジョンを持って行動する>。
<神々が見ている>。
<一つのことに集中する>。
<定期的に検証と反省を行う>。
<新しい仕事が要求するものを考える>。
<書きとめておく>。
<何によって知られたいか>。
名言ともいえる至高のことばが並ぶ。
なかでも、編集長と若きドラッカーとのやりとりが記されている。
これから半年間の仕事について話し合った。それは
「集中すべきことは何か」
「改善すべきことは何か」
「勉強すべきことは何か」
だった。
わたし・花岡の場合。
・集中すべきこと―WEBサイトのコンテンツ制作、社内報のホームページ版の運営
・改善すべきこと―表現技法、ユニークなテーマ・切り口設定、よみやすい文章、インパクトのある写真
・勉強すべきこと―雑誌に学ぶ、新聞記事に学ぶ、撮影技法を学ぶ
『明日を支配するもの』ダイヤモンド社
第6章「自らをマネジメントする」
この章は、われわれの働く期間が50年にも延びることを指摘し、明日をどう生きるかについて示唆を与えてくれる章となっている。その中で、ドラッカーは普通の人たちも「自らをマネジメントしなければならない」と指摘する。その中身は以下の5点だ。
1)自分は何か。強みは何か。
2)自分は所をえているか。
3)果たすべき貢献は何か。
4)他との関係において責任は何か。
5)第2の人生は何か。
53歳となったわたし・花岡にとって5)の「第2の人生」は真剣に考えなければならないテーマのひとつだ。ビジネスの現場・最前線は30歳代・40歳代が中心だ。自分もかつてはそうだったが、その年代の人たちには馬力がある。
ドラッカーは本の中でこうも書いている。「45歳ともなれば、全盛期に達したことを知る。同じ種類のことを20年も続けていれば、仕事はお手のものである。学ぶべきことは残っていない。仕事にも心躍ることはほとんどない」。
しかし、われわれ知識労働者は、何歳になっても終わることはない。人生100年時代と言われるようになった今は、このことをふまえ、第2の人生を設計しなければならない。
つぎの10年、20年。あなたは何歳になっているだろうか。
われわれは、石臼に向いながらそれぞれの持ち場で日々奮闘している。
時々の節目には、顔をあげて丘の上の雲に長期計画を馳せたい。
大晦日までには、新しい手帳にその思いをつづっておきたい。




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