みんなでドラッカーを読んだら、お店でミュージカルを上演することになった! 懇親会で生まれたアイディアを、体系的イノベーションに変えよ! @横浜読書会


 

1月11日(金)から3期目がスタートする、実践するマネジメント読書会®in横浜。今回は横浜読書会の懇親会から生まれた、小さなイノベーションのテスト事例をご紹介したいと思います。

 

一般的に「イノベーション」というと、「技術革新」という言葉のイメージでとらえる方が多いのではないかと思いますが、ドラッカーのマネジメントにおける「イノベーション」の位置づけは、もっと広範囲なものです。今ある知識と知識をくっつけて、新たな価値を生み出す、事業における一連の基礎的な活動そのものを指します。

 

今回ご紹介する小さなイノベーションの事例も、もちろん技術とはまったく関係ありません。けれども知識と知識を組み合わせて新たな価値を生み出したという意味では、立派なイノベーション(の種)なのです。

 

 

事件はやはり懇親会で起きた!

「事件はいつも懇親会で起きる!」

われわれドラッカリアン業界に、いにしえより伝わる言い伝えです(笑)

 

やはりその日も、事件は懇親会で起きました。

「お店でミュージカルって出来ないの?」

声の主は、渋谷にある人気イタリア・サルデーニャ料理店「タロス」のオーナー、馬場さん。

 

(いやいや、それは無理だろ!)

サンド〇ィッチマンの富澤氏なら、きっと「ちょっと何言ってるか分からない…」とお約束のセリフをかますポイントです。

 

ところが・・・!!

 

「できるよ!!」

答えたのは、数多くの舞台やミュージカルをプロデュースした経験を持つ、人気脚本・作曲家のまきりかさん。

 

(えっ、まじか!)

まるで某キム〇クが出演したドラマHER〇に登場した、バーのマスターの決め台詞、「あるよ!」のように、簡単に答えちゃったじゃないですか!

 

(おいおい。そんな簡単にミュージカルって出来るもんなのか!?)

 

ド素人の不安をよそに、二人の会話はどんどん進んで行きました(笑)

 

 

ドラッカーを活用しよう!

二人の会話がある程度まとまった頃、こんな質問が飛び出しました。

「これ、ドラッカーを使って、きちんと成果につながるように出来ないかな?」

 

飲食店のプロである馬場さんの知識と、脚本・作曲界のプロであるまきりかさん、二人の知識が掛け合わさった時点で、確かにこれは「イノベーションの種」に近いものではありましたが、懇親会で生まれたアイディアがそのまま成果に結びつくほど、世の中甘くはありません。

 

実際、ドラッカーは「アイディアによるイノベーション」は成功しづらいと断言しています。イノベーションを成功させるためには、「体系的に」イノベーションを行わなくてはならないのです。そこでわれわれは、ハイボール片手に(笑)マネジメントの基本に立ち戻ることにしました。

 

まず最初に、発案者二人がなぜ今回の会話で盛り上がったのかを確認します。

馬場さんの思いは主に2つ。「海外のお店のように、お客様にショーのような接客を提供したい」「人材が不足しつつある飲食業界で、新たな試みを通して働き手を確保するきっかけを作りたい」

まきりかさんの思いも主に2つ。「演劇に関わる人たちの、活躍の機会を増やしたい」「ミュージカルという道具の新たな活用法を創造したい」

 

ドラッカーのマネジメントでは、「成果とは(組織の)外の世界における変化」と定義します。しかしながら発案者二人の思いは、どちらかと言うと組織内部や業界内部を見ていました。この意識を外の世界(お客様にとっての価値)に向けなければ、われわれのプロジェクトが成果に結びつくことはありません。

 

そこで質問を変えてみます。

「このプロジェクトにお金を払ってくれる人にとってのニーズは何だろう?」

 

お店の差別化、お客様満足の向上、働く意欲の向上、人材育成など、さまざまな仮説が出ましたが、どれも腑に落ちないレベルで会話が途切れてしまいます。アイディア先行型で話が進んだため、「顧客は誰か?」「顧客にとっての価値は何か?」が分からないのです。

 

「分からないということが、分かった!」

古今東西、酔っぱらいという生き物はポジティブです(笑)

 

分からないという事が分かったのだから、実際にそれを見てもらって、どう活用できそうか聞いてみよう! という話に、その場の方向性はまとまりました。

 

「飲食店+ミュージカル」という組み合わせが、まだ世の中に存在しないのですから、実際にそれを作って見てもらう以外に方法はないのです。

 

われわれは、

「まずは小さく始めよ」

「非顧客に聞け」

という2つのドラッカーの言葉を念頭に、できるだけスピーディーに市場テストを行うことにしました。

 

 

いざ本番!

本番までは約1か月半。2週間後の打ち合わせまでに、まきりかさんは脚本と曲を書き下ろしてくれました。さらにここで、強力なメンバーが仲間入り。

 

劇団四季出身で、表現家・俳優・振り付け師として活躍するオンディこと恩田さん。彼に今回のプロジェクトの主旨が「新たな表現手法をビジネスにできないか、小さく実験することが目的である」ことを伝え、振り付けをお願いすると共に、その主旨に賛同してくれる俳優さんを募ってもらいました。

 

われわれの新たな取り組みの名前も決めました。

『TENTOミュージカル』

お店の店頭で、ゲリラ的に始まって、その場にいるみんなが楽しめるミュージカル。

 

そして迎えた本番日。

盛り上がったかどうかは、私があれこれ語るよりも実際の動画を見てもらった方が伝わると思うので、当日の模様をぜひご覧ください。(約4分ほどの短い動画です)

 

 

これからの可能性。イノベーションは始まったばかり。

動画を見て下さった方は、もしかしたら気づかれたかもしれませんが、実は今回の『TENTOミュージカル』には、プロの俳優さんだけではなく、舞台となったお店 “タロス” の従業員さんも出演されています。

 

そして3公演にわたる本番が終わったあとの記念撮影。ここには私たち企画者や出演してくれたキャストさんだけではなく、当日お店にいらしたお客様まで。

「お客さまに引かれたらどうしよう~?」と、われわれ企画陣は内心、一抹の不安を感じていたのですが、、、

 

蓋を開けてみたら、めちゃめちゃ盛り上がりました。

われわれの想像をはるかに超えて(笑)

 

そしてありがたいことに、(クローズな場ではありますが…)再演のお話も頂戴しました。こうしてご縁がつながっていく先に、いつかきっと皆さまに『TENTOミュージカル』を見ていただく機会が作れるのではないかと思っています。

 

 

実際にテスト商品を作って実践してみたことで、課題もはっきりしてきました。

 

われわれ企画陣は、『TENTOミュージカル』を法人向けの研修プログラム商品にできる可能性を感じ、当日タロスに何人かの飲食店オーナーさんにも来ていただいたのですが、研修プログラムとしての価値を感じてもらうには、まだまだ訴求の仕方を工夫する必要があることが、よく分かりました。

 

『TENTOミュージカル』の可能性は本当に無限大で、単にお店の差別化や独自化、お客様に楽しんでいただくという目的だけではなく、

たとえば企業の社史をミュージカル化することで、ドラッカーの言う「われわれのミッションは何か?」を社員みんなで考え、形にしてみる機会をつくったり、

たとえばお客様向けのエンターテイメントとしてミュージカルをつくることで、「お客様にとっての価値」を考える機会をつくったり、

たとえば部門間の垣根を超えた人事交流の場として活用してもらったり、

なんだったらドラッカーのマネジメントを半分遊びながら、実践的に理解してもらうための機会として活用したり、、、

 

と、組織の一体感を育んだり、働く人の自発性を育んだり、部門間の垣根を超えるコミュニケーションを育んだりするのに最適なのですが、、、

そういうことを欲している法人さまに、『TENTOミュージカル』という商品があることを知っていただくために、次に何を行うべきか・・・。

 

われわれ企画陣にとっては考えることが尽きませんが、考えて、考えて、考えた先に、考えていたのとはまったく違うところで「予期せぬ〇〇」が起きて、ひょんな場所から道が拓けるのではないかと思っています(笑)

 

 

読書会は、単なる学びの場ではなく、新たな可能性が生まれる場でもあるのです。今月も、赤い本とハイボールを片手に、何かが生まれる瞬間に立ち会うことが出来るかもしれませんよ!(笑)

 

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鹿島晋

鹿島晋

ドラッカーのマネジメントをベースに「目を輝かせながら明日のことを話す」企業を増やすコンサルタント。ネット通販業界では18カ月間で売り上げ120倍を達成した実績を持ち、現在は中小企業の経営企画アドバイザーとして活動する。 読書会ファシリテーターとしては、関東・中国地方を中心に200回以上の読書会を開催(2019年9月現在)。実践するドラッカー講座では実践ナビゲーターも担当する。 サキュオ・コンサルティング株式会社 代表取締役。一般社団法人はぐ・くむ 代表理事。1978年 横浜市生まれ。

“みんなでドラッカーを読んだら、お店でミュージカルを上演することになった! 懇親会で生まれたアイディアを、体系的イノベーションに変えよ! @横浜読書会”への6件のフィードバック

  1. 佐藤 等 佐藤 等 より:

    横浜読書会の実践事例、素晴らしいですね。

    「マネジメントを活用し、実践する」ということは、こういうことだと実感することができました。

    「マネジメントを学ぶ」とは身につけることで、実践のあとに様々な理解が生まれます。

    これは、ドラッカー教授の学習理論の根幹をなす考え方です。

    本を読んで理解しようとしない、いかに実践するかを考える。

    全国の読書会でファシリテーターが発信し続けている価値観です。

    今回の実践は、その最高の成果です。

    • 鹿島晋 鹿島晋 より:

      ありがとうございます。
      新しいことを始めるとき、人の想像力や思考には限界がある。これまでの経験や手持ちのイメージを超えるものは、いちど小さく実践してみないと先に進めない。「まずは小さく始めよ」のドラッカーの言葉が、今回の支えになりました。そしていちど実践してみたことで、そこから着想や洞察が生まれ、次の行動が明らかになりました。
      実践から学ぶことの大切さを、あらためて感じる機会になりました!

  2. 瀬川 智美子 瀬川 智美子 より:

    演出家さんも脚本家さんも出演者さんたちも自分の役割について大まじめに取り組んでいて、それぞれの強みを使っていて、楽しそうにみんなのちからを合わせていて…そして、飛び抜けてふざけたものをつくっている(笑)居合わせた方々のように動画を見ている私もキョトンから始まってすぐにウキウキしました。さいこう!

    • 鹿島晋 鹿島晋 より:

      ありがとうございます!
      今回のチームは一人ひとりの強みが際立っていたので、「まずは小さくテストして、そこからフィードバックを得よう!」って目標を共有できたところがポイントだったかもしれませんね! チームとして方向づけが明確だったので、互いの強みが相乗効果を生んだんだろうなって思います。
      キョトンからウキウキ(笑) さいこう!

  3. 八谷 俊雄 八谷 俊雄 より:

    鹿島さん あのミュージカル「TANTO」はそのようにして生まれたのですよね。
    「第2の読書会」と言われる懇親会の持つ価値が具体的に出た素晴らしい事例ですよね。
    企業も今、昔ながらの会議室スタイルでの議論スタイルから「人が持つ潜在的な発想」を引き出すべく、様々な工夫をしていますが懇親会もそんな一つなのでしょうね。それが同じ企業の「飲み会」との違いは何か。それを考えると会社の「飲み会」の価値も変わるかも。そんな感じもしました。

    うちの会社、私が入った頃、新人研修の最後に役員向けに各チーム毎に寸劇(会社への思いを表現)をしていましたが、30年前の自分たちの姿を動画を見た気がしました。(当時の自分たちははるかに「劇」でしたが。)
    更なる可能性を秘めたミュージカルの今後の展開、楽しみにしています。

    • 鹿島晋 鹿島晋 より:

      ありがとうございます!
      「飲み会の価値」ですか。なるほど~。あまり考えたこともありませんでしたが、たしかに企業における「飲み会」の位置づけって、人と仕事のマネジメントが混同してしまった時に起きる事と似た状態になっているかもしれませんね。「飲み会に出ない〇〇さんは、けしからん」的な…(^^;
      ドラッカリアン的には、「これからの時代は飲み会にもマーケティングが必須になる!」という前提で、その会話をつまみに盛り上がっているくらいの気楽さでいる方が、良いのかもしれませんね~(笑)
      いまだに「無駄をなくすことが良い仕事だ!」みたいな誤った考え方も多く見られますが、成果は「真摯に仕事に向き合う姿勢」と、ほんのちょっとの「ゆとり」や「ゆるさ」の共存する場所にこそ、生まれるのではないかと思っています。

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