絵で見るドラッカーの人生【1984年】
人生の舵取り
セルフマネジメントとはいかなるものか。世界を広げる生き方とどのような関係を持つか。ドラッカーは、セルフマネジメントを組織のマネジメントに劣らぬ価値を持つものとした。仕事と人生に舵を与えるものとした。『明日を支配するもの』(1999年)では、セルフマネジメントに必要な条件をいくつか列挙していた。
(1)自らのワークスタイル、強み、価値観を知る。
(2)自らの所を得る。
(3)仕事と社会に果たすべき貢献を知る。
(4)人との関係にかかわる責任を引き受ける。
(5)セカンドキャリアのための助走をする。
世界を広げつつ、同時に人生の舵取りを行うのは、一朝一夕にできることではない。一定の経験の末になしうるものである。一歩一歩積み上げていくものである。
ただし、気をつけておくべきことがある。力が分散してしまうことである。自分にとってかけがえのない価値をおろそかにしてはいけない。
集中しなければ収入が減ることもある。しかし、自分の世界を広げることの最大の問題点は、時間がなくなることである。
ドラッカーの場合 (二つの小説)
ドラッカーといえども、人生は思うようにはいかない。ドラッカーは小説家になりたかった。それは、まさに宿願だった。
かなったのはようやく70代だった。『最後の四重奏』(1982年)と『善への誘惑』(1984年)の二作である。いずれも売れず、話題にもならなかった。すぐに絶版になった。
私はインタビューで、次はどんな小説を書くのかと水を向けた。答えはこうだった。
「そのつもりはない。構想もない。あの二つの小説の登場人物たちのことは、はるか前から暖めていた。今では暖めているものさえ何もない」(2003年1月、インタビューでの発言)『ドラッカーに学ぶ自分の可能性を最大限に引き出す方法』より
五月女 圭司
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