人生100年時代の先人:絵で見るドラッカーの人生【1985年】(1909〜2005年)


絵で見るドラッカーの人生【1985年】

『すでに起こった未来』を使う

(前略)さらに進んでドラッカーは「すでに起こった未来」を使えという。このすでに起こった未来とは何か。未来など誰にもわからない。たとえ誰かが予測したことが起こったとしても、世の中では、誰も予測しなかったことで、はるかに重大なことがあまりに多く起こっている。予測という行為そのものに意味がない。当たっても当たらなくても予測には意味がない。博奕である。

すでに起こったことを観察すれば、そのもたらす未来が見えてくる。あらゆるものにリードタイムがある。ドラッカーはそれを「すでに起こった未来」と名づけた。

ドラッカーの考えでは、未来について言えることは、二つしかない。第一に未来はわからない、第二は未来は現在と違う。したがって、未来を知る方法もまた二つしかない。

一つの方法は、今ある兆しを読み取ることである。何ごとにも、インパクトをもたらすにはリードタイム、あるいはタイムラグがある。このリードタイムが未来を教えてくれる。いきなり世の中に出現する現象などない。必ず先触れや機微がある。

高齢社会が日本に到来していることを知らない者はいない。さらには、現在選挙で投票する人口の六割が50歳以上、金融資産保有者の六割が60歳以上である。今後割合はさらに高くなる。端的に言えば、日本の政治と経済の決定権は高齢者が持っている。それが巨大なで世代間の軋轢を生み、政治・社会の各方面で変動を生むのは誰が見ても当然である。それらもある日突然出現するものではない。

もう一つの方法は、たとえ小さくささやかなものであろうとも、自らの未来をつくることである。『ドラッカー入門 新版』より

企業家精神とは、変化を当たり前とすること

ドラッカーは、人の手によるものに絶対はないといいます。あらゆるものは陳腐化する。そしてイノベーションは、エジソンのように傑出した個人によって生み出されました。

しかし、いまや人材やお金は組織に集まっています。だからこそ、組織に属する一人ひとりがイノベーションを志し、企業家であるべき、というのがドラッカーの考えでした。

イノベーションに成功するための手順、やるべきこと、やってはいけないことは何かを示しているのが本書です。

幸いなことに、イノベーションと企業家精神は才能ではなく、誰もが学べるものだといいます。イノベーションに成功する人たちは「右脳と左脳を両方使う。数字を見るとともに人を見る」「機会をとらえるにはいかなるイノベーションが必要かを分析する」といった共通点があるそうです。そうした人たちはおしなべて、「外に出て、顧客や利用者を見て、彼らの期待、価値、ニーズを知覚をもって知る」努力を惜しまないとのことです。

問題は、企業家精神のほうです。ドラッカーはこのように述べています。

「企業家精神にリスクが伴うのは、一般的に企業家とされている人たちの多くが自分のしていることを理解していないからである。つまり方法論をもたないからである。初歩的な原理を守らないからである。このことは、特にハイテクの企業家についていえる」

大企業が停滞してしまうのは、この企業家精神が足りないから。逆に、企業家精神が十分あるはずのベンチャーの多くが失敗してしまうのは、マネジメント能力がたりないから。

いずれにせよ、「イノベーションに成功するには、最初からトップの座を狙わなければならない」とのことです。大事業になるか、そこそこで終わるかは結果論の話。そもそも最初からトップを狙わなければ、自立した事業にすらなりません。

現在では、日本でも起業が当たり前に成りました。時が経ち、本書が興味をもって受け入れられる時代になったといえます。『P.F.ドラッカー完全ブックガイド』より

※この情報はのp.281~の『ドラッカー入門 新版』「ドラッカー年譜」をもとに制作しています。より深い背景の理解には同書をお薦めします。
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五月女 圭司

『人生を変えるドラッカー』を読んで「人生は変えられるよ!」と、神さまの声が聞こえた気がした57歳の会社員。己と向きあうには師匠がいる。私の師匠はドラッカー教授の「ことば」(お逢いしたことはありませんが…)。個人も組織も「地域貢献」が人生のテーマ。私のミッションは「人」と「ドラッカー」と「音楽」をつないで笑顔が絶えない社会を創るために日々まい進すること。

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