絵で見るで見るドラッカーの人生【2002年】
若手経営者熱狂「日本のために書かれた一冊」
「変化が本書の主題である。すでに起こったことである。次の社会ーネクスト・ソサエティはすでに到来した。もとには戻らない」
ネクスト・ソサエティとは何か。それは「知識社会である。知識が中核の資源となり、知識労働者が中核の働き手となる」とドラッカーは述べ、これからは経済が社会を決めるのではなく、社会が経済を決めるようになると、新しい時代の到来を宣言しました。
「今後2、30年の間に、コンピュータの出現から今日までに見られたよりも大きな技術の変化、そしてそれ以上に大きな産業構造、さらには社会構造の変化が見られることになる」
「急激な変化と乱気流の時代にあっては、たんなる対応のうまさでは成功は望みえない。企業、NPO、政府機関のいずれであれ、その大小を問わず、大きな流れを知り、基本に従わなければならない」
ドラッカー92歳にして、ますます活躍中でした。世界中の最先端にある人たちとの交流から、ネクスト・ソサエティの到来を予感し、予見し、準備していました。
このパラダイム転換を説く本書は熱狂をもって迎えられましたが、とくに顕著だったのは、若手起業家、経営者たちの反応のよさでした。若者へのメッセージを集めた『プロフェッショナルの条件』が世界的ベストセラーになったあと、ということもあったでしょう。
また、ちょうど日本ではパソコンが一般家庭にまで普及した時期。IT革命が叫ばれ、インターネットが世界を変えるばかりに起業をす若者が増えていました。IT社会、eコマース、起業家…などなど、これらはそのまま、本書の後半部分に当てはまります。
まさに時代がかわった象徴ともいうべき一冊ととらえられたのです。
私(上田惇生先生)は、これまで雑誌や新聞でドラッカーの本を紹介したり、ドラッカーについてメディアで語ったりしたことのある人たちを、リストにまとめています。そのなかでも、自分に一番影響を与えた本として『ネクスト・ソサエティ』を選ぶ人がかなり多かったと記憶しています。
本書は不思議な本です。読んだ誰もが、その世界の大きさに唖然とするだけ。それがドラッカーなのです。『P.F.ドラッカー完全ブックガイド』より
※この情報はドラッカー入門 新版』p.281~の「ドラッカー年譜」をもとに制作しています。より深い背景の理解には同書をお薦めします。
五月女 圭司
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