P.F.ドラッカーの名言集が集められた『仕事の哲学』(ダイヤモンド社)。最高の成果をあげるための金言が集められた一冊だ。編訳者の上田惇生先生によるあとがきには、集めた名言は7,000を超え、その中から「社会的な存在としての一人ひとりの人間とその仕事」をテーマに約200を選んだものが本書であると書かれている。
以下はその約200の名言の中から、新入社員に役に立つであろう10の名言を抜粋し紹介する。
気になったことばがあれば、ぜひ本書を手にとってほかのことばも読んでほしい。また、これらの名言は『』内が出典本を示している。こちらの原本にもあたって前後の文脈とあわせて、ドラッカー思想を手にいれてみてほしい。きっと長いビジネス人生のどこかで役立つだろう。
1 能力が人を変える
自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味を持つ。
『非営利組織の経営』
2 予期せぬ成功を追求する
自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。ところがほとんどの人が、問題にばかり気をとられ、成功の証を無視する。
『非営利組織の経営』
3 何によって人に憶えられたいか
私が13歳の時、宗教の先生が生徒一人ひとりに「何によって人に憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。「いま答えられるとは思わない。でも、50歳になって答えられないと問題だよ。人生を無駄に過ごしたことになるからね」。
『非営利組織の経営』
4 成果をあげるための5つの能力
成果をあげるための実践的な能力は5つある。第一に、何に自分の時間がとられているかを知り、残されたわずかな時間を体系的に管理する。第二に、外部の世界に対する貢献に焦点を合わせる。第3に、強みを中心に捉える。第4に、優先順位を決定し、優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中する。最後に、成果をあげるよう意思決定を行う。
『経営者の条件』
5 努力では習得できない資質とは
習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。他から得ることができず、どうしても身につけていなければならない資質がある。才能ではなく真摯さである。
『現代の経営』
6 組織に対する貢献を問う
組織に対する自らの貢献を問うことは、いかなる自己啓発が必要か、いかなる知識や技能を身に付けるか、いかなる強みを仕事に適応するか、いかなる基準を持って自らの基準とすべきかを考えることである。
『経営者の条件』
7 知識労働者は専門家せよ
知識労働者はほとんどが専門家である。彼らは1つのことだけをよく行うとき、すなわち専門家したとき大きな成果をあげる。
『経営者の条件』
8 自己啓発が組織を導く
一人ひとりの自己啓発が、組織の発展にとって重要な意味をもつ。それは、組織が成果をあげるための道である。成果に向けて働く時、人は組織全体の成果水準を高める。彼ら自身および他の人たちの成果水準を高める。
『経営者の条件』
9 集中するほど多くの仕事ができる
時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類が多くなる。これこそ、困難な仕事をいくつも行う人の秘訣である。1時に1つの仕事をする。その結果、他の人より少ない時間しか必要としない。成果をあげられない人の方が多く働いている。
『経営者の条件』
10 時間からスタートせよ
成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、得られた自由な時間を大きくまとめる。
『経営者の条件』




最新記事 by 花岡 俊吾 (全て見る)
- 新入社員がドラッカーに学ぶために、どの本から読めばいいか、読書案内 - 2021年7月5日
- 2021年6月度の「ビジネス塾オンライン」〜『なぜ今、「人間学とマーケティング」なのか? ~経済に人間性を取り戻す時代〜』が開催されました - 2021年6月23日
- ドラッカーの本を読みあう「実践するマネジメント読書会」に、初めて参加する人向けの体験会「初めての読書会」とはどんな内容なのか? - 2021年5月21日
- ドラッカーの読書会を通じて、指示・命令がゼロの会社を目指し、スタッフが生き生きと働く会社へ〜(株)BALANCE. 代表取締役 才野裕識さん - 2021年5月11日
- オンライン開催になった「ビジネス塾」、参加のしかたとアーカイブ動画の上手な使い方とは - 2021年4月27日