続・絵で見るドラッカーの人生(魂よ永遠に)【2007年】
現代社会最高の鉄人が語った “ 最後の ” 助言(『P・F・ドラッカー理想の企業を求めて』)
マッキンゼー社初の女性パートナー(役員)を務めた経営コンサルタント、エリザベス・ハース・イーダスハイムが2004年の4月からドラッカーが亡くなるまでの1年半密着し、逝去後1年をかけて追加取材をして執筆したのが本書です。
「インタビューをして、本にまとめないか」そう声をかけたのは、ドラッカーでした。彼女の前著『マッキンゼーをつくった男マービン・バウワー』は、世界のコンサルタントの草分けであり、ドラッカーの友人でもあったバウワーを紹介したもの。ドラッカーはそれを読み、自分の経営理想の最後のまとめ役として彼女を選んだのです。
インタビューの合間には、GEのジャック・ウェルチ、P&GのA・G・ラフリーをはじめ、ドラッカーのクライアントや教え子、大企業から中小企業の経営者、NPO関係者、経営学者、信奉者など、数十人に取材を行っています。
私(上田惇生先生)もわざわざアメリカから飛んできた彼女からインタビューを受け、700通を超えるドラッカーと私の手紙とFAXのコピーを手渡しました。彼女はドラッカーから「必ず上田には会っておくように」といわれたそうです。
関係者に取材をするうちに、彼女は一つの共通点に気づきます。それはみな、異口同音に最初に「ドラッカーは思考を刺激してくれた。目線を高くしてくれた」ということ。たしかに、最初にドラッカーを激賞したチャーチルも同じことをいっていました。
ドラッカー流のコンサルティング手法にも、それが現れています。彼のコンサルティングは、とにかく質問責めなのだそうです。ときにはクライアントを追い込むようにして質問をなげかえるのです。
最初に尋ねるのはいつも「おたくの事業は何ですか」。次に「お客さまにとってよいことは何ですか」「社員にとってよいことは何ですか」です。
イーダスハイムは「ドラッカー の言葉は触媒だった」と述べています。クライアントや教え子を質問攻めにすることで、“化学反応”を起こす。ビジョンを描かせ、先入観に挑戦させ、直観させ、確信させるのだ、と。
本書では、たとえばトヨタ方式はドラッカー方式であったこと、グーグルはドラッカー を学んでいたこと、GE飛躍のきっかけは、ドラッカーのどのような質問だったかなど、多くの興味深いエピソードが語られています。
ドラッカー とクライアントたちが求めたものは、理想企業でした。ほぼ最後となったインタビューで語られた究極ともいうべきドラッカーの助言を、ここに記しておきましょう。
「堂々と経営して、堂々と成果をあげてください」
「仕事を楽しんでください」
「そのために、強みを伸ばしなさい。自分が燃えるものを見つけなさい」
「いつまでも挑戦を続けなさい」
「尊敬する人と仕事をしなさい」
『P.F.ドラッカー完全ブックガイド』より


五月女 圭司
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著者のイーダスハイムさんは、ドラッカー学会初の地方大会である札幌大会にも参加していただきました。楽しい思いです。
佐藤先生
ありがとうございます。イーダスハイムさんが、ドラッカー学会の札幌大会に参加されていたと聞いて、大変感動しました。
この著作も何度も読み返してみると、更なる気づきがあります。原理原則を学ぶ素晴らしさが、再認識できました。
私も生涯学び続けます!