
「起業してみたいのだが、自分は経営者に向いているのだろうか」
「親の会社を継ぐことなりそうだ。経営者になる自信がない」
「経営者になるためには、特別な能力は必要なのだろうか?」
この記事は、このような悩みや疑問をもつ方に向けて、経営者に向いている人の特徴・向いていないタイプ・経営者に求められることについて解説します。
まず結論をいうと、経営者にはカリスマも才能も必要ありません。
性格も千差万別で、「こういう性格じゃないと経営者になれない」という基準はないのです。
世界的ベストセラー『経営者の条件』を著したピーター・F・ドラッカーは、次のように言います。
私がこれまでの65年間コンサルタントとして出会ったCEO(最高経営責任者)のほとんどが、いわゆるリーダータイプでない人だった。性格、姿勢、価値観、強み、弱みのすべてが千差万別だった。外交的な人から内向的な人、頭の柔らかな人から強い人、大まかな人から細かな人までいろいろだった。
『経営者の条件』より
この記事を読めば、経営者に必要な能力は身につけることができるし、勇気さえあれば誰でも経営者としての道を歩むことができると理解できるはずです。
経営者に向いている人の特徴
①ビジョンを持っている
組織全体を導くための明確な目標を持ち、それを達成するために周囲を巻き込むことができる。
②高いコミュニケーション能力
社内外の人々と円滑にコミュニケーションを取り、関係性を構築することができる。
③決断力と実行力
迅速かつ的確な判断を下し、それを実行に移すことができる。
④柔軟な思考と適応力
変化の激しいビジネス環境において、柔軟に考え方を変え、新しい状況に対応できる。
⑤リーダーシップ
チームをまとめ、目標達成に向けて導くことができる。
⑥危機管理能力
不測の事態が発生した場合でも、冷静に対処し、組織を守ることができる。
⑦多様な視点を持つ
異なる立場や意見を尊重し、多角的な視点から物事を捉えることができる。
⑧ストレス耐性
常に責任を負い、プレッシャーのかかる状況でも冷静さを保つことができる。
⑨学習意欲
新しい知識やスキルを積極的に学び、自己成長を続けることができる。
経営者にカリスマや才能が必要ない理由
映画やドラマで、“カリスマ経営者”がよく登場しますが、あまり現実的ではありません。
たしかに、カリスマや才能にあふれた実在する経営者もいますが、それはごく一部の例外です。
経営者とは、あくまでも“仕事”なのです。
では経営者がなすべきこととは?
世界的ベストセラー『経営者の条件』を著したピーター・F・ドラッカーは、経営者として必要な考え方・姿勢についてこう論じています。
- 真のリーダーは、言動に一貫性がある
- 真のリーダーは、組織の使命に矛盾がないように意思決定をする
- 真のリーダーは、責任は常に自分にあると理解している
- 真のリーダーは、部下を恐れない
- 真のリーダーは、優秀な部下を自らの誇りとする
- 真のリーダーは、自分が去った後に組織が崩壊することを恥とする
経営者に向いていない人の共通点
①リスクを極端に恐れる人
起業は不確実な要素が大きく、失敗のリスクも高いです。リスクを恐れて新しいことに挑戦できない人は、起業には向いていないかもしれません。
②安定志向が強い人
起業は安定した収入や生活を保証するものではありません。安定した環境を求める人は、起業よりも安定した職に就く方が合っているかもしれません。
③孤独を耐えられない人
起業は一人で全てを背負うことが多く、孤独を感じることがあります。周りの人に頼ることができず、孤独に耐えられない人は、起業には向いていないかもしれません。
④変化を嫌う人
ビジネス環境は常に変化しており、それに合わせて柔軟に対応していく必要があります。変化を嫌う人は、起業の厳しさに耐えられない可能性があります。
⑤目標がない人
起業には明確な目標が必要です。目標がなく、ただ何となく起業したいと考えている人は、途中で挫折してしまう可能性が高いです。まずは「ミッション」をしっかり考えましょう。
⑥責任感が弱い人
起業は、会社全体の責任を負うことになります。責任感が弱く、他人に頼りがちな人は、起業には向いていないかもしれません。
⑦新しいことを学ぶのが苦手な人
起業には常に新しい知識やスキルが必要になります。新しいことを学ぶのが苦手な人は、成長が遅れてしまう可能性があります。
⑧我慢強くない人
起業は、すぐに結果が出るものではありません。長い時間をかけて努力し続ける必要があります。我慢強くない人は、途中で挫折してしまう可能性があります。
⑨周囲の意見に振り回されやすい人
起業には、周囲の意見を聞きながらも、最終的には自分の決断で進む必要があります。周囲の意見に振り回されやすい人は、自分の考えを貫き通すことが難しいかもしれません。
経営者のなり方
①世の中から「問題」を発見する
「自分のやりたいこと」から起業をスタートしてしまうと、独りよがりになってしまう可能性があります。あくまでもマーケティング目線に立つことが肝要です。
つまり、世の中(≒顧客)が求めているニーズは何なのかを見つける必要があります。
ニーズを発見するヒントは、世の中で解決できていない「問題」です。
まずは世の中にアンテナを張って、問題を発見しましょう。
②「問題」を「課題」にする
世の中の未解決の問題をみつけたら、どうすれば解決できるかを考えましょう。それが「課題」となります。
その課題こそ、あなたの事業が提供する商品・サービスのヒントとなります。
③事業のミッション(使命)を決める
何のために事業を行うのか?世の中にどんな貢献をしたいのか?
その問いかけこそ、事業のミッション(使命)を方向付ける問いとなります。
④顧客は誰かを決める
あなたが事業で貢献したい顧客を、明確にしましょう。ミッションと密接に関わっています。
⑤事業の成果を定義する
事業の成果は、「利益」で決まるわけではありません。
事業の成果は、“外の世界の変化”で決まります。
変化を起こすことができなければ、貢献したことにならないからです。
ここでいう外の世界の変化は、「顧客の変化」と捉えてもよいでしょう。
顧客にどんな変化をもたらせば、あなたの事業は成果をあげたといえるでしょうか。
ぜひ考えてみてください。
⑥事業の計画を決める
計画はあくまで“意図”であって、完全なプランではありません。
状況に応じて柔軟に修正する必要があります。
とはいえ、計画はあらかじめきっちり決めておきましょう。
計画があってはじめて行動が生まれるからです。
経営者になりたい人に読んでほしいおすすめの本
①入門書の決定版!ドラッカー実践で成功した18の会社事例を徹底解説
ドラッカー学会の理事であり、ドラッカーの読書会を主催する佐藤 等 氏(公認会計士・税理士)が著者。本書はドラッカーを実践して事業が好転した中小企業の実例を解説している。ドラッカーの入門として、間違いなく必読の書だ。
②成果をあげる思考習慣を身につける一冊
『実践するドラッカー』(通称:実ドラ)は、テーマごとにドラッカーの原理原則が解説されているため、読書会でも大人気の一冊だ。とくに『思考編』は、ドラッカーの初心者にぜひ読んでほしい内容となっている。
③たった150ページの本で最高にエキサイティングな読書体験
『経営者に贈る5つの質問』は、日本語版にしてわずか150ページあまりの小冊である。しかしドラッカーが突きつけるのは、組織の存在意義を見つめなおす深遠な問いであり、ときには痛みを伴う自己評価プロセスである。
「われわれのミッションは何か?」「われわれの顧客は誰か?」「顧客にとっての価値は何か?」「われわれにとっての成果は何か?」「われわれの計画は何か?」
この5つの質問は、経営者が売り手目線でなく、100%顧客目線に立つための本質が詰まっている。事業を見つめなおしたい方、これから新しい事業を考えている方、事業の将来に不安のある方は、ぜひ手に取り、真剣にドラッカーの問いと向き合ってみてほしい。



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