
「自分はリーダーの資格があるのだろうか?」
「リーダーシップがある人とない人の違いは何だろうか?」
「リーダーシップは才能なのか?」
このような疑問や悩みをお持ちの方のために、リーダーシップがある人の特徴・リーダーシップがない人の共通点について解説します。
結論をいうと、リーダーシップがある人は、人を方向付け、組織の成果をあげさせることができる人をいいます。
カリスマも才能も必要ありません。リーダーとしてなすべきことをなす人が、真のリーダーシップなのです。
リーダーシップがある人の特徴
まずは一般的にいわれる、リーダーシップがある人の特徴についてみてみましょう。
ただし、以下のすべての特徴がなければリーダーシップを発揮できない、というわけではありません。
映画やドラマのような「完璧なリーダー」はいません。ゆえにリーダーシップがある人たちは、実際には何らかの弱みを抱えているものです。
①ビジョンを共有できる
組織の未来像を明確に描き、周囲を巻き込むことができる。
②高いコミュニケーション能力
部下や上司、顧客など、様々な人々と円滑にコミュニケーションを取り、関係性を構築できる。
③決断力
迅速かつ的確な判断を下し、実行に移せる。
④責任感
組織全体の成果に対して責任を持ち、率先して行動できる。
⑤柔軟な思考
変化に対応し、新しいアイデアを生み出せる。
⑥問題解決能力
複雑な問題に対して、冷静に分析し、最適な解決策を導き出せる。
⑦ストレス耐性
困難な状況でも冷静さを保ち、周囲を鼓舞できる。
⑧学習意欲
新しい知識やスキルを積極的に学び、自己成長を続けることができる。
⑨他者への共感力
チームメンバーの意見や感情に耳を傾け、共感できる。
⑩信頼感
周囲から信頼され、尊敬される。
⑪部下を恐れない
真のリーダーシップがある人は、他の誰でもなく、自らが最終的に責任を負うべきことを知っているがゆえに、部下を恐れません。優れたリーダーは、強力な部下を求め、部下を激励し、前進させ、誇りとします。
リーダーシップの種類
ところで、リーダーシップには、経営学や政治学の分野で類型化されているのをご存じですか?
どのリーダーシップが正しいというわけではありませんが、ある特定の状況において、以下のようなリーダーシップが発揮される傾向にあるといわれています。
①民主的リーダーシップ:全員参加で創造性を育む
民主的リーダーシップは、チームメンバー全員の意見を尊重し、議論を通じて合意形成を目指すスタイルです。
【メリット】
- 多様な意見が出やすく、創造性やイノベーションが生まれやすい。
- チームメンバーのモチベーションが高まり、エンゲージメントが向上する。
- 意思決定過程が透明になり、メンバーの理解と協力を得やすい。
【デメリット】
- 意思決定に時間がかかり、緊急性の高い状況には不向きな場合がある。
- 全員が積極的に参加しない場合、議論が収束しない可能性がある。
②独裁的リーダーシップ:スピードと一貫性を重視
独裁的リーダーシップは、リーダーが強い権限を持ち、一方的に指示を出すスタイルです。
【メリット】
- 意思決定が迅速に行われ、緊急事態への対応が早い。
- チーム全体が一つの目標に向かって一貫して行動できる。
【デメリット】
- チームメンバーの意見が反映されにくく、モチベーションが低下する可能性がある。
- リーダーの能力に依存するため、リーダーの不在時に問題が生じる可能性がある。
③放任的リーダーシップ:メンバーの自主性を尊重
放任的リーダーシップは、リーダーがメンバーに大きな裁量を与え、自主性を尊重するスタイルです。
【メリット】
- チームメンバーの自主性や創造性が育まれる。
- リーダーの負担が軽減され、メンバーの成長を促進できる。
【デメリット】
- 目標が曖昧になり、チーム全体の進捗が遅れる可能性がある。
- メンバー間の連携が不足し、混乱が生じる可能性がある。
④コーチ型リーダーシップ:メンバーの成長を支援
コーチ型リーダーシップは、リーダーがメンバーの成長をサポートし、共に目標の達成を目指すスタイルです。
【メリット】
- チームメンバーの能力が向上し、組織全体の成長につながる。
- メンバーのモチベーションが高まり、エンゲージメントが向上する。
- 長期的な視点で組織を育成できる。
【デメリット】
リーダーが個々のメンバーに十分な時間を割く必要があるため、大規模なチームには不向きな場合がある。
⑤サーバントリーダーシップ:メンバーを第一に考える
サーバントリーダーシップは、リーダーがメンバーのニーズを満たし、組織の貢献に尽力するスタイルです。
【メリット】
チームメンバーが尊重され、信頼関係が築かれる。
組織全体の士気が高まり、高いパフォーマンスを発揮できる。
【デメリット】
リーダーが自己犠牲になりがちで、バーンアウトする可能性がある。
短期的な成果よりも、長期的な視点での組織づくりが必要となる。
現代は、働く人たちが組織で自己実現を果たすことが強く求められています。したがって、③④⑤を組み合わせたリーダーシップが、これからの時代に重要となってくるでしょう。
リーダーシップとは気質や才能ではなく「仕事」
以上みてきたリーダーシップの種類ですが、実務としてリーダーシップを発揮するには、「ミッション」を共有し人々を方向付けるという仕事としてとらえる必要があります。
リーダーシップについて体系的に論じたピーター・F・ドラッカーは、次のように言います。
リーダーシップとは、人のビジョンを高め、成果の水準を高め、人格を高めることである。そのようなリーダーシップの基盤として、行動と責任についての厳格な原則、成果についての高度な基準、人と仕事に対する敬意を日常の実践によって確認していく組織の精神に勝るものはない。
ドラッカー『マネジメント』より
リーダーシップがない人の特徴
①自らのカリスマ性を過信する
カリスマで人をまとめるのは、“似非リーダーシップ”です。歴史に登場する独裁者は、みなカリスマで人を率いて、最後は自らのカリスマで破滅しました。
②柔軟性がなく、変化を恐れる
組織をとりまく環境(社会、ニーズ、技術)は絶えず変化しています。真のリーダーシップとは、変わることを受け入れる勇気を持つ人です。
③地位や特権を守るために部下を恐れる
リーダーシップとは、組織のミッション(使命)を共有し、人々を方向付ける“仕事”です。地位や特権にリーダーシップの本質があるわけではありません。
④自分が組織の支配者であると錯覚する
カリスマや才能を過信する似非リーダーシップは、あたかも自分が組織の中心的存在であり、自分なくして組織はありえないと錯覚しています。
⑤何が正しいかよりも誰が正しいかで判断する
属人的な判断で組織を動かすのも、リーダーシップがない人の特徴です。組織のミッション(使命)は客観的な基準であり、リーダーシップがある人は、ミッションに照らし合わせたうえで「何が正しいか」を判断しようとします。
「その人のもとでわが子を働かせたいか?」の問いかけをしてみよう
リーダーシップについて論じたドラッカーは、リーダーシップについて「人を惹きつける資質ではない」(カリスマは必要ない)、「仲間をつくり、人に影響を与えることでもない」と言います。よく勘違いされやすいから強調したのでしょう。
リーダーシップの本当の意味は「人の模範となり、人をよりよい方向に導く」ことです。
リーダーシップについて色々書きましたが、リーダーシップの本質をぎゅっと濃縮した言葉があります。
それは「わが子をその人の下で働かせたいと思うか」です。この言葉は、ドラッカーがとある世界的大企業のトップから教わった金言なのだそうです。



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