2019年10月7日(月)、今年第9回目となる「札幌ビジネス塾」が市内ホテルで開催された。今回の講師は、北海道教育大学岩見沢校の芸術・スポーツビジネス専攻教授・宇田川耕一(うだがわ・こういち)さん。演題は「オーケストラ指揮者に学ぶ経営の本質〜芸術経営学的アプローチとは」。
宇田川さんは1961年東京都生まれ。明治大を卒業後、毎日新聞社に入社。記者として働きながら、多摩大にて博士取得(経営情報学)。毎日新聞北海道広告部長を務めた後、現職に。専門は「芸術経営学」。著書に『オーケストラ指揮者の多元的知性研究』(大学教育出版、2011年)がある。
近年は、トップマネジメントのリーダーシップ論に取り組み、ビジネスの現場とアカデミズムの両方に通じた研究者として人気を博す。岩見沢のドラッカー読書会「実践するマネジメント読書会」にも、いちメンバーとして参加する。
講演では、前半はTEDの動画を見せながら、いろいろな指揮者について解説。指揮者とは何をしている人なのかについて説明いただく。指揮者は「自らは動かずに、(オーケストラを)動かす」存在だという。
ドラッカーの「偉大なソロを集めたオーケストラが最高のオーケストラではない」ということばを紹介しながら、カラヤンやバーンスタインといった巨匠のスタイルの映像を見て、指揮者の役割をわかりやすく解き明かしていった。
宇田川さんは指揮者とオーケストラの関係において「リハーサルが命」だと指摘。プロの職人集団である演奏者には、指揮者の実力は瞬時に見抜かれるという。リハサールを始めた3分後には、その場にいるオーケストラのほぼ全員が指揮者の巧拙がわかるそうだ。加えて、ミス(エラー)への対応方法から、チームというオーケストラに見えない大きな影響を与えるものだと言う。
宇田川さんが指揮者・下野竜也さんのことばを引用する。
「指揮者は、楽団員に自らの意図を伝えて、共同作業で音楽を創り上げていきます。まずは、演奏する曲に対する自分なりの解釈を理解・共感してもらうことが必要です。そのために、ことばだけではなく身体全体をつかってコミュニケーションを図っていきます。本番までにオーケストラを掌握し、彼らの演奏意欲を湧き立たせ、いかに演奏意図を徹底させていくか、ここに相当なエネルギーを費やしています」。
「オーケストラは『道具』ではありません。意思や感情を持った人間の集まりなのです。何よりもそれぞれがプロの演奏家です。プライドがあります。一方、指揮者のキャリアからすれば、私(下野氏)はまだ若手の部類でしょう。作品に対する思いや意見を持った交響楽団と私との関係性の中で、いかに音楽の方向性を一致させ、より素晴らしい演奏を創り上げていくか」。(下野竜也)
「よい指揮者の条件は、一見、何もしていないように見えることです」という尾高忠明さんのことばを紹介し、企業のリーダーやマネジャーに求められる資質と重ねあわせた。
講演のまとめとして、塾長の佐藤等さんが登壇。「指揮者は企業におけるミドルマネジャーだ」として企業との関連性を説明。
楽曲=ミッション、目的、成果、方向づけるもの
指揮者=ミドルマネジャー
オーケストラ=チーム
リハーサル=本番の3倍やらなくてはならないこと、しかし企業では行われていない
このようにまとめた。
講演を明日の実行に移すために、テーブルのグループごとに話し合いタイムを設定。最後に「本日の気づき」と「明日から行動するためのアクションプラン」をワークシートに各自記入して、有意義な2時間半が過ぎた。
次回、札幌ビジネス塾&交流会は今年度ラストの開催。
11月11日(月)、18時〜。会場はプレミアホテル中島公園札幌(札幌市中央区南10条西6丁目)。テーマは「人生100年時代、いかに学び、いかに成果をあげ続けるか」。ナレッジプラザ塾長の佐藤等さんが講師として登壇。2019年を総括する。
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