
- せっかく賞をとったのに、スタッフが一気に辞めていく苦難に直面
- スタッフのモチベーションは低い
- あるときドラッカーの勉強会で、「顧客にとっての関心は、自分にとっての価値、欲求、現実である」という言葉にであう
- これまで自分は顧客に理想の髪型を押し付けているだけだったと気付いた
- 真に顧客目線に立ったサービスに転換すると、スタッフも生き生き・収益改善した
企業が売っていると考えているものを顧客が買っていることは稀である。(中略)顧客は、満足を買っている。しかし誰も、顧客満足そのものを生産したり供給したりはできない。満足を得るための手段をつくって引き渡せるにすぎない
『創造する経営者』p. 118
顧客満足という言葉を知る人は多い。しかし満足の正体を見極めようとする人は少数だ。
多くの人が「売りたいもの」から議論を始めて、顧客を探している。それでは結局のところ売れない。
顧客が「買うもの」は、顧客にとって手段にすぎない。その先にある顧客の真の目的に目を向けなければならない。
そのスタートになるのが、自社にとっての顧客を特定し、顧客の現実に目を向けることだ。
今回は、岡山は倉敷市にある美容室「BALANCE」が、“自分たちのファンになってもらう”という企業本位の発想から、“自分たちはお客様の自己実現の手段である”という顧客目線に立つことで収益を大きく改善したエピソードをご紹介しよう。
目次
賞をとった直後にスタッフ4人が一気に退職……。これからだというのになぜ?
得意の絶頂に、思いがけない落とし穴が待っていた。
株式会社BALANCE(岡山県倉敷市)の才野 裕識(さいの ひろのり)社長は、もともと腕に自信のある美容師だった。
2006年に独立して自分の店を持った。それから5年後、日本最大級の美容師コンテストにノミネートされ、自信を深めていた矢先、5人いた社員全員から退職の申し出を受けた。
慌てて引きとめようとしたが、結局4人が去ることになった。
「美容師にとって重要なのは、何より技術を磨くこと。自分が大きな賞を取れば必ず、お客さんもスタッフも喜んでくれると信じていた」
と才野社長は当時を振り返る。
自分一人の受賞を目指していたわけではない。将来は社員も賞を取れるようにと考え、技術面の教育に力を入れてきた。だが、肝心の社員の心が離れていた。
自分は何か大事な間違いを犯したのだろうか――。最初は去った社員を責める気持ちが強かった。しかし、やがて自分の内面の問題に思い至った。
「最初に美容師を志したのはひとえに、お客さんを喜ばせたいという思いからだった。しかし、忙しく日々の仕事をこなすうち、その思いが薄れていた」
顧客は自ら描いた価値・欲求・現実を充足する存在である――ドラッカーの教えに苦難のヒントがあった。
そんなとき、たまたまドラッカーを学ぶ経営セミナーの案内を目にした。
美容師としての勉強は多くしてきたが、経営については勉強したことがない。そこで才野は、一から経営を学んでみたいと思って参加することにした。
“顧客にとっての関心は、自分にとっての価値、欲求、現実である”
ドラッカーのこの言葉にセミナーで出合い、才野社長はハッとした。
顧客を喜ばせたくて美容師になったはずなのに、顧客について真剣に考えたことがなかった。
「カットをするとき、お客さんの要望などほとんど聞かず、いつも自分の考える『理想の髪型』に仕上げていた。それで喜ぶお客さんなんていない」
と才野は気付いた。
顧客を本当の意味で喜ばせるには、まず顧客の「現実」を知らなくてはならない。顧客の現実とは、その人が見ている景色であり、直面している課題。
それさえ知れば、おのずと顧客の「欲求」が分かり、その顧客にどんな「価値」を提供するべきかが見えてくる。そんな考え方をセミナーで教わった。
店に戻って、顧客の現実を知るために始めたのが、女性ファッション誌の分析だ。
女性ファッション誌はそれぞれ、読者ターゲットを明確に定めている。読者の年代や独身が既婚なのかといったライフスタイルの違いに合わせて、記事の内容はもちろん、そこで紹介する洋服や生活雑貨なども決めている。
だから、複数の女性誌を読み比べれば、ライフスタイルによって異なる顧客の現実が見えてくるはずだと考えた。
良いサービスは、顧客の欲求から生まれる。
新しく採用した社員などと分担して、読者層の異なる女性誌を約10誌、熟読。既存顧客のイメージに一番合う雑誌を特定した。
それは、子育てをしながら働く女性をターゲットにした雑誌だった。カット技術に定評があった才野社長の店には、ワーキングマザーの女性客が多く集まっていた。
では、彼女たちが直面している現実とは、どのようなものか。その雑誌に特徴的だったのは、家事の時短やバスタイムを楽しくする記事が目だったこと。
仕事と家事、育児に追われて忙しい中で、わずかに残された自分の時間を大事にしている姿が浮かび上がった。
そんな女性たちは、何を求めて美容室に来るのか。
「ただ髪を切るために来ているわけではない。髪を切るのはあくまで手段。その背後に、癒しを得るとか、きれいになった自分の姿を見て自信を取り戻すといった、本来の目的がある」
と才野は考えた。
では、どんな顧客の欲求を満たすため、どんな価値を提供すればいいのか。
ここまで議論を掘り下げると、顧客満足度を上げるための新しいサービスの提案が、社員たちから次々に出てきた。
例えば、シャンプーを複数用意して、顧客が自分の好きな香りのものを選べるようにする。
あるいは、頭のツボを示す図を見せながら、肩こりなどの症状に合わせて、重点的に揉みほぐす場所を決めるといった具合だ。
こうしたサービスが好評を博し、顧客のリピートや紹介が増えた。
「スタッフが生き生きしていて、元気がいい」
と接客を評価する声も聞かれるようになった。
顧客の現実に開眼してから約2年。今期の売上は前期比40%増と、好調に推移している。
この記事を読んでくれたあなたへの問い
現代経営学の巨匠ピーター・ドラッカー
あなたの会社の商品やサービスを提供することで、お客様にどんな変化を起こしたいと思いますか?
この問いを経営者に投げかけると、多くの人が「私たちのファンになってくれること」と答えます。
しかし、例えばあなたがお客だったとして、どこかのお店を初めて利用する際に、「帰るときに、この店のファンになっていたらいいなあ」と考えてドアを開けるでしょうか。
ここに、企業目線の落とし穴があります。真の顧客目線で見たとき、自社の商品やサービスを通じて、どんな変化があったら嬉しいのか。
今一度、自社に置きかえ、考え直してみてはいかがでしょうか。(佐藤 等)

佐藤 等(さとう ひとし)
佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー [事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。
株式会社エレメント
2006年 旭川市にて、WEBサイト製作会社を立ち上げ200件以上のWEBサイト製作を手掛ける。創業3年目にただ作るだけのWEBサイト製作・業界の考え方に疑問を感じ、製作後の顧客WEBサイトで成果をあげる仕掛け、仕組みを追求。
成果をあげる方法、習慣的な貢献【マネジメントとマーケティング】であると感じ、ドラッカーやコトラーを学びだしてナレッジプラザ読書会に出会い今日まで【顧客の価値のある情報をユーザーに届ける】を実践する。
★実績★
・司法書士事務所のWEBサイトにて「札幌 ○○○○(某キーワード・守秘義務の為非公開)」で1位を取り、毎月の大きな広告費をゼロにして、さらに売り上げをアップさせる!
・ゼロから立ち上げて1年で月商200万円のドメスティックブランド通販サイトを立ち上げて現在も多くのブランドキーワードで上位を獲得維持しています。
・月商1000万円のインポートブランド通販のSEO対策で上位表示させるコンテンツ制作を手掛け1年で1800万円まで売り上げを伸ばす。
・月商6000万円以上のネット通販立ち上げから商材コンセプト設計などマネジメントにも携わる
・ゼロから作ってコンバージョンレート15%以上の月商100万円有機農家通販サイトの製作&動画集客を成功させる
・月間6万UU以上の集客をたった1枚のブログ記事で達成、日本一集客する病院ページの作成・運営サポートを行う
などなど
★最近のお仕事★
●札幌市の弁護士・司法書士・公認会計士・税理士のWEBサイトに相続の見込み客を集客する
●旭川市の銃砲店は日本一の集客 旭川家具を世界一の家具へ!
などなどその他多くのお客様のサポートをしています。
●実際に制作した人気のコンテンツ・記事の紹介
などなど
㈱エレメント
WEBサイト:http://elmt.jp
問合せ:011-596-7986
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