成果は外の世界にしかない―マネジメント読書会で成果の定義にきづく―「我々にとっての成果は何か」@東京


「組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある」(『経営者の条件』エターナルコレクション版p31)

ドラッカーの言葉を一つだけ挙げろと言われたら、私は、この言葉を選びます。

実は、この言葉を最初に発見したのは読書会でした。自分で一人で読んでいた時は気が付きませんでした。

『経営者の条件』3章「どのような貢献ができるか」の読書会で、ファシリテータの佐藤等先生から、

「この貢献は、成果に対する貢献です。そして、成果とは」

と、書かれているページと、冒頭の文章を指摘されたのです。

 

衝撃でした。

組織の外における成果、と言うものを明確にしていない企業は多いです。

おそらくその事業を立ち上げた当初は、ニーズも明確だったでしょうし、成果もわざわざ口に出さなくても皆が分かるくらい当たり前だったのかもしれません。でも、時間が経つにつれて、組織の中で働く人たちの関心は、組織の中に向いていきます。世の中の常識が、企業の成果は利益を上げることだ、と言って思考を停止させようとします。その為、組織の成果、組織の外にある成果は、意識して明示しないと忘れ去られてしまうのです。

例えば飲食店であれば、お客さんが食事をして「美味しい」と思ってくれることが成果であるはずです。

その為に、メニューを考え、材料を仕入れ、暑い中で調理しているはずです。そういった貢献は、「美味しい」という成果に向かって方向づけられています。

でも、気が付くと、利益率の高いメニューを考え、安い材料を仕入れ、短時間で調理することにばかり、気が取られてしまいます。いずれも必要なことです。しかし、成果とは何の関係ありません。

赤字を垂れ流していては仕事は続けられません。利益を上げないのは社会的な無責任です。でも、利益に気を取られすぎると、成果そのものがないがしろにされる危険があります。

ですから、ドラッカーは、「利益はコスト」と言っています。

問いを使うという思考訓練

さて、「この仕事の成果は何かな」というのは、常に考えるようにすると良いです。

思考訓練です。やっているうちに上手になります。自転車に乗るのと同じです。

ドラッカーの「経営者に贈る5つの質問」と言うのがあります。この5つの質問を使うと手がかりになります。

5つの質問は、「我々の使命は何か」「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」「我々の成果は何か」「我々の計画は何か」という5つのシンプルな問いかけです。

例えば、私は先日、ドラッカー学会の総会イベントで、外誘導の仕事をしました。会場は駅から徒歩5分くらいの場所でしたが街中なので誘導員が立つことになったのです。

この仕事を仰せつかった時、私はまず「外誘導チーム」の「使命は何か」を考えました。

自分が地方の大会などに行ったとき、誘導に立っているスタッフさんのことを思い出して考えます。

そして思い当たったのが、その人たちが、その日の第一印象を作っている、ということでした。

そこで私は、「外誘導チーム」の使命は、「本大会の第一印象を作ること」にしました。

次に顧客ですが、実は私は方向音痴で、何処かに行くと必ず迷子になります。地下鉄の階段を上がって道に出ると90%以上の確率で反対方向に歩き出す、というレベルの方向音痴です。

外誘導員というのは、そういう人たちにこそ必要です。道に迷わない人からすれば誘導員なんか要りません。

従って、顧客は誰かの答えは簡単です。私レベルの方向音痴の参加者です。

では、顧客にとっての価値は何か。

方向音痴の人からすれば、誘導員が立ってくれているだけで、「あ、こっちで良いんだ」と分かって助かるのです。顧客にとっての価値は、道を間違わずに目的地に着けることです。

ここまでくれば成果は明確です。参加者が無事に会場にたどり着くことです。

こんな風に、「組織の外にしかない」成果について、考える練習をすると楽しいです。5つの問い、おすすめです。

 

 

 

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和光 良一

和光 良一

1972年(昭和47年)東京生まれ。1991年暁星学園高校卒。1997年図書館情報大学大学院卒、NTT入社、NTTコムウェア配属。2004年に前社長の急逝により(株)日興電機製作所 代表取締役社長に就任。2008年に佐藤等氏のドラッカー読書会に参加し、ドラッカーの言葉と出会う。以来、ドラッカーを学ぶことを通して、仕事の悩みを取り組むべき課題に変えてきた。 ナレッジプラザ公認「実践するマネジメント読書会」ファシリテータ。 2010年ドラッカー学会エッセイコンテスト優秀賞。

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