新入社員がドラッカーに学ぶために、どの本から読めばいいか、読書案内


Dサポート(株)代表取締役 清水祥行

Dサポート(株)代表取締役 清水祥行

昨今、新入社員になった人は、2000年あたりに生まれたいわゆるミレニアム世代ですね。みなさんが生まれた時には、ドラッカー教授はまだ生きていました。2005年に95歳で亡くなりましたから、当時はまだ存命していたのです。こうした事実からすれば、P.F.ドラッカーは古いコンテンツ・オワコンでは決してないのです。古典として扱われますが、さほど古くはありません。ドラッカー教授の代表作『経営者の条件』(ダイヤモンド社)で言えば、発行年は1966(昭和41)年。50年くらい前の本であり、マネジメントという概念が世の中に浸透し始めたころの本です。『明日を支配するもの』(1999年)とか、『ネクストソサエティ』(2002年)といったドラッカー教授晩年の著作は、現在のコロナ下にあって「この本にこんなことが書いてあったんだ」という驚きがあります。教授は先見性があったというか、時代を経ても変わらないというか。時を経た今こそ、言っていた本当の意味がわかるのかもしれません。ドラッカーファンの間でよく言われることに「なにか、ずっと違和感を感じていたことがあったが、その違和感がなぜかが書いてある本」ということがあります。わたしもまさにそう思います。もし、あなたが違和感を感じた時には、ドラッカーの著作にふれてみてほしいと思います。

新入社員がまず、ドラッカーを読むには『実践するドラッカー』(佐藤等編著、上田惇生監修)の「思考編」「行動編」がいいかと思います。理論が好きな人は思考編から。とりあえずやってみようという人は行動編から読めばいいと思います。思考編には知識労働者=ナレッジワーカー、自ら考えて行動する人のことですが、その基礎について書いてあります。「言われたことをすることが仕事だ」と思っている人がいるかもしれませんが、今は言われたこと以上のことをしないと評価されません。これからはAIなどが一般的になる時代。組織にぶら下がるサラリーマンでは、今後生き残っていけません。ナレッジワーカーのキーワードとして、「貢献」ということばがあります。お客さまであれ、上司であれ、「何に困っているか。何をしたら喜ばれるか」を考え仕事に取り組むことです。すると、仕事はがぜん楽しくなります。この試行錯誤こそが苦しくも楽しいのです。このような仕事をするヒントが、思考編に書かれています。

 

ドラッカー教授の著作

 

行動編には、時間管理や意思決定のほか、目標や計画の本当の意味が書いてあります。高度成長期の目標は、イコール「ノルマ」という捉え方だったかもしれません。がんばったらがんばった分だけ成果が上がった時代だったからです。これは作業労働の場合です。ナレッジワーカー/知識労働の場合は、同じように報われるとはかぎらない。方向性が合っているかが大事です。また、計画と目標が混在している人がいます。「筋トレ30回すること」は目標ではなく、計画です。この場合の目標は例えば「引き締まった腹筋、6パックになる」ことです。そして、目標管理はあくまで、自己設定した目標による管理なのです。誰かの支配の道具として目標が使われる(いわゆるノルマ)のではなく、自分を一段変えるためのもの。こういった若いうちから知っていてほしいことが、たくさん書いてあります。この2冊をまず最初に読んでいただきたい。

この2冊に興味があった人は、元になった本『経営者の条件』に進んでほしいです。この本には成果をあげる5つの習慣について書いてあります。この習慣を自分に置き換えて、自分ごととして何回かやってみる。すると、この本が相談相手になることに気がつきます。他人を前にして、自分の弱点をさらけ出し、相談することはなかなかできるものではありません。しかし、本ならば素直になって向き合えます。本を通じてドラッカー教授に相談ができるのです。新人の時にはいろいろ悩みもあろうかと思います。タイトルに「経営者」と書いてありますが決して経営者だけの本ではありません。「訳者あとがき」の部分に書かれていますが「原題のThe Effective Executiveは、真意を訳せば『できる人』である」と。万人のための帝王学の本なのです。内容はセルフマネジメントです。どんな人でも自分自身を経営しています。他人に支配されることなく、自由の名の元、責任を伴った人生を歩むためには、自分で自分の時間を管理して意思決定をするなど、自己調教が必要です。社会人になりたての若いうちに、こういったフレームワークだけでも手にしていたら、その後の人生は大きく違うものになると思います。

 

本を持つ清水祥行さん

 

本の内容をかならずしも理解しなくてもいいのです。わたしも何十回と読んでいますが、わかっていない部分もあります。気になるフレーズ・ことばがあったら、自分の立場に置き換えて行動してみてほしい。自分ひとりで読み切れないという時には、ぜひ「読書会」に参加してほしいです。ナレッジプラザ主催の「はじめてドラッカーを読む読書会」という会があります。この『経営者の条件』の最初の部分だけを用いて読書会を体験する会ですが、無料で参加ができます。ぜひ参加してみて、仲間とともにドラッカーを学んで、実践に役立てていただければと思います。

 

はじめてドラッカーを読む読書会

「はじめての読書会」とはどんな内容なのか?

 

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花岡 俊吾
取材記者/エディター   1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、人口減少の道内経済に貢献すべく、地域の新しい情報の発信をライフワークにする。一眼レフを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドや道の駅・キャンプ場を取材。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』『北海道キャンプ場&コテージガイド』『北海道道の駅ガイド』(共に北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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