今回は「頼まれごとを断る」の3回目。
前々回から、強みを生かすために「頼まれごとを断る」というお話をしております。
前回は、無責任な挑戦を戒めるお話をしました
今回は、もう一つの「断る」の意味を・・。
ほかにもできることがあるのは当たり前
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人には驚くほど多様な能力がある。人はよろず屋である。
だがその多様性を生産的に使うには、
それらの多様な能力を一つの仕事に集中することが不可欠である。
あらゆる能力を一つの成果に向けるには集中するしかない。
「経営者の条件」第5章 最も重要なことに集中する
~一つのことに集中せよ~
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前々回、私が「強み診断士」の異名をいただいたけれども、
お伝えしたいことと、期待されていることにズレを感じて
完全に受け入れることができなかったお話をしました。
受け入れられなかった理由が実はもう一つあって、当時の私は、
「”強みを生かす”ということばかりにフォーカスされているけれど、
自分はもっと広い視野で考えている。
それに、それしかないように思われるのは嫌だ」
と考えていた面があります。
「器用貧乏」ではなく、「卓越性」を発揮する
きっと皆さんもそうだと思います。
できることは一つじゃない。
それに、多くの方が認めてくれる部分は、
そんなに努力をせずに認めてくれた部分で、
もっといろんな努力を認めてほしい。
そんなことを思って、
周囲が認めてくれることを素直に受け入れられないこともあると思います。
これが「器用貧乏」の始まりです。
「器用貧乏」という言葉は、
器用なために一つのことに徹することができず、
結局、大成できず何もかもが中途半端になることを言います。
私も、今ではドラッカー教授のマネジメントについてのお話ばかりをしておりますが、
他にも、マンダラチャートや、易経、歴史など1時間や2時間、中には1日中お話しできる知識を持っている分野があります。
しかしながら、できることすべてに手を染めてしまっては、
「器用貧乏」になってしまう・・・と封印しているものがあるわけです。
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人の卓越性は、
一つの分野、あるいはわずかの分野において実現されるのみである。
「経営者の条件」第4章 人の強みを生かす
~強みによる人事~
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できること、得意なことはたくさんあると思います。
でも「卓越する分野」を決めて、それ以外の仕事を断る。
それが何かを成し遂げるために必要なのです。
卓越する分野を決める
では、卓越する分野、つまりは集中する分野はどのように決めるのでしょうか。
私の場合、「強みを生かす」というテーマは、
ドラッカー教授のマネジメントを語る際に必ず触れる領域です。
でも、「”あなたの”強みを生かす」を軸足にすると、
私の話を聞いた方たちが
組織をドロップアウトする考えをもつ傾向を感じていました。
人は自分の聞きたいようにしか話を聞かないので、
「私の責任ではない」と目を瞑ることもできたはずですが、
私はそうしませんでした。
その判断は今でも間違っていなかったと思います。
私がお伝えしたかったのは、
一人一人の強みを生かすマネジメントの考えであり
一人一人が強みを生かし合う働き方だったからです。
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卓越性の定義の適切さを判定できるのは経験だけである。
しかし有効でない定義を知るための判断基準はある。
「経営者の条件」第5章 最も重要なことに集中する
~劣後順位の決定が重要~
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範囲が広い分だけ、卓越するには経験の蓄積が必要ですが、
その範囲の設定もまた、経験による試行錯誤が必要です。
最初は仮説にすぎませんが、
「卓越性の範囲」を決めて、それ以外を断る。
その中での試行錯誤でエッジを立てていきましょう。
主体性を取り戻すために頼みごとを断る
最後にもう一つ重要なことをお話します。
なんでもかでも頼まれごとを請けていると、
自分が何をしているのだかわからなくなってしまうことがあります。
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集中とは、「真に意味あることは何か」「最も重要なことは何か」
という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである。
この集中こそ、時間や仕事の従者となることなく
それらの主人となるための唯一の方法である。
「経営者の条件」第5章 最も重要なことに集中する
~劣後順位の決定が重要~
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ここでは、従者と書いていますが、
原文ではより奴隷に近い言葉を用いています。
断る勇気を発揮しなければ、
何を仮説建てしようと、つまり、
卓越する分野を設定しようとも、
「仕事や時間の奴隷」になってしまいます。
勇気をもって、頼まれごとを断り、
自分の強みを卓越性が光るまで磨き上げる・・。
それが、この項のまとめです。
*****(きょうの質問)*****
Q1:あなたが、一定範囲に絞り込んで経験や知識を蓄積するとすれば、どんな範囲ですか?
Q2:それは、誰かにとって意味や価値を感じる範囲ですか?
Q3:それは、誰かに役立つだけの専門性をもっていますか?
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