3つの異なる事業部を、ドラッカーマネジメントを使って強化していく(株)アイ・ティ・エス 代表取締役副社長 下川紘資さん@札幌


3つの異なる事業部を、ドラッカーマネジメントを使って強化していく

(株)アイ・ティ・エス

代表取締役副社長

下川紘資(しもかわ・こうすけ)さん

 

1984年、札幌市生まれ、芝浦工大卒。

ベンチャー企業で働きたく人材紹介会社向けシステムメーカーに入社。

埼玉の福祉法人を経て、2015年、父の会社へ入社。

 

父の会社へ入って課題に直面する

 

—どのような会社の成り立ちですか?

当社は1997年、平成の9年に父が創業した会社です。もともと、わたしの父は建設コンサルタント会社に務めていて、橋の設計や営業などを経験してきました。独立後、(株)プロジェクト・シモという社名で、建設・土木の入札情報を検索できる「コンスト・アイ」というWEBサービスを立ち上げました。

同じころ、たまたま知人が江別市にいたご縁で、当時「マイカルサティ」という名前の商業施設内にあるカルチャースクール「サティ・コミュニティカレッジ」の運営も創業当時からやってきました。

 

—副社長は2代目?

わたしは父の会社に入社して4年目になります。もともと会社を承継しようと思っていました。わたし自身もITのエンジニアとして東京で働いていました。カルチャースクールの店舗運営にも役立つと思って、ディサービスの福祉法人にも3年いました。

その後、30歳の時に、地元に戻って地域のために役立ちたいなあと、首都圏から札幌にもどってきました。父の会社に入ってみると、いろいろと課題があることがわかりました。

当社は建設情報サービス部と、カルチャースクール運営の教育事業部と、橋や道路の街灯を調査・点検する建設コンサルタンツ事業部の3つの異なる事業を展開しています。収益が出ている事業と、そうではない事業が混在している状況でした。

 

—最初に手掛けたことは?

「法務・会計プラザ」の佐藤等公認会計士事務所が主体となって開講する「経営塾21next」という講座に参加しました。経営を学ぼうと思いました。もともと、法務・会計プラザに所属する方の娘さんと高校が同期。その人に誘われ学生のころからセミナーや講演会に参加していたというご縁がありました。

この講座は、ドラッカーマネジメントがベースです。講座のワークではたくさんの質問をあびせられました。われわれの事業は何か? ミッションは何か? お客さまは誰か? 他社との差別化は? なんのために働いているのか・・・。最初はぜんぜん答えられませんでした。「もうこれは1つひとつやるしかないな」と思ったのが最初の年でした。

社内にこの気づきを持ち帰ってスタッフにも落とし込もうと試みたのですが、反発もあり、最初の年はいろいろと改革じみたことをやりましたが、うまくはいかないことも多々ありました。

 

 

—その後は?

わたしは、社員に自ら変わってほしいと願っていました。経営塾に参加する1年目も、2年目も、3年目もそう思っていました。社員を変えたい!と思い、佐藤等さんに相談したら、「社員は変わらないよ」と。以来、社員が自分で成長できる下地づくりを模索しています。

またある時、帯広市のバス会社に学び仲間で会社訪問するという機会がありました。V時回復を遂げた社長から「キミがしたいことはなんなのか?」と。ハッとしました。やりたいこと、やるべきことが見えていませんでした。

そこで、取り組みを明確に絞ろうと思いました。ミッションを明らかにすること。社員の内発的な動機付けに挑戦すること。廃棄や任せること。脅威を機会に変える新たな挑戦をすること。これらを主要テーマに据えました。

 

—社員のやる気は?

社員の内発的動機付けとして、2018年の4月に「エマジェネティクス」という個人のプロファイルを取得する研修を行いました。お互いの強みを理解し、共有してみました。その第2弾として、今年・2019年4月にはDサポート社の「実践するドラッカー研修」を実施する予定です。来年度はドラッカー「読書会」にだれか社員に出てもらうような計画を持っています。

加えて、ドラッカーの『マネジメント』に書いてあったものをベースに、直属の上司と目標についてすりあわせする「目標確認シート」を作成しました。こちらも半年に1回、時間をとって面談し活用していく予定です。

逆に、各部門のリーダーは部下に何を期待するのかを明確にする「期待確認シート」も整備しました。1対1の面談を実施し、従業員がより成長できる環境を整えています。

 

—自分たちの仕事の意義を知る?

中途採用向けの合同企業説明会というものに、部長と次期リーダーの3人で参加してみました。当社としては初めてのことです。求職者に説明する「なんのためにこの仕事をしているのか」という自身の根源を振り返るいい機会となりました。

当社のブースには25人の集客がありました。残念ながら採用には至らなかったのですが、自分たちのやっていることや業界の成り立ちなどを再整理し理解することにつながりました。

 

地域を活性化するための挑戦も

 

—新たなチャレンジも?

一方で、新たな挑戦も始めています。建設コンサルタント事業部としては、新技術を取り入れていかないとダメだと思い、2018年の夏からドローンの販売と導入支援サービスを開始しました。業界としては、ICT 化を推進したいのですが、中小企業はなかなか資金やノウハウがなくあまり進んでいないのが現状です。首都圏の大手サプライヤーとタッグを組んでセミナー開催などを計画しています。

「水中ドローン」もアイテムに加えています。産業用に最適と言われている機種を正規代理店から日本で最初に購入しました。すぐに実証実験として、北海道開発局や北大水産学部に取り入れてもらい、海藻の研究に使われています。

このご縁で、「北大がごめ昆布飴」というインバウンド向けの道産土産品の開発にもつながりました。

 

—教育事業ではどんな成果が?

教育事業では、お客様に年配の方が多かったことから、介護予防に役立てられることに気付き、自立を継続するための介護予防講座を実施しました。この取り組みが、江別市役所に効果的な事業と認めてもらい、「介護予防活動モデル団体支援事業」に採択されるといった成果になりました。

また、これまで「受付さん」と呼んでいた呼称を「趣味アドバイザー」に変更しました。こうすることで、単なる受付という役目ではなく、趣味をアドバイスして、お客さまに最適なものを見つけていただくことが仕事の役目ですよと。そう意識してもらうことにつながりました。

 

—建設情報サービス部では?

入札情報を毎日調べてネットにアップするサービスはスタートから20年が経過し、古いシステムになっていました。わたしは「もうお客さんに使われていないだろう」と。このサービスをいつやめようかと廃棄のタイミングを探っていたほどです。

ある親しい客先で「ウチ、入札案件を検索できるサービスをやっているのですが」と相談したら、「そんなものより、実際に使っている便利なサイトがあるからおしえてあげるよ」と。画面を見せてもらうと、なんとウチのサービスだったのです(笑)。そのサービスがないと困ると。社に帰って、早急に安定稼働を目指すことにしました。

ドラッカーが言う「顧客に聞け」。実際にやってよかったできごとでした。

 

 

—どのドラッカー本が好きですか?

好きな本は『経営者の条件』ですかね。一番読んでいるからでしょうか。会社経営に一番使っているのはやはり『マネジメント』です。本の中に書かれていることをそのまま、使っていたりします。

 

—今後の抱負は?

スタッフの内発的動機付けの部分をしっかりと根付かせていきたいと考えています。いろいろな研修を導入していきたいと思っているのですが、急にやりだしてもスタッフが引いてしまう気がしています。なので下地をつくって、徐々にやっていきたいと考えています。その上で、新しいチャレンジを結実させたいと思っています。

 

—社名の「ITS」は何の略称?

インフォメーション・テクノロジー・システムです。Sの意味が下川のSだったりします(笑)。そう、名のとおりITシステムが会社の根幹です。

しかし今後は、まだこれは個人的に考えていることなのですが、Iを「イノベーション」に将来的に変更していきたいなと。密かに構想をあたためています。“革新技術を提供していく”。そんな企業体になって地域の企業にも貢献できるようになりたいと考えています。

 

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花岡 俊吾
1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、「北海道体験.com」のプロジェクトに参画。人口減少の道内経済に貢献すべく、北海道の新しい体験観光情報の発信をライフワークにする。カメラを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドで取材活動。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』(北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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