ドラッカーの本質を頼りに、女性を美しくマインドも整えられるサロンを目指す ヘアーサロンZEEN (株)仏楽素富CEO 石黒貴士さん@札幌

ドラッカーの本質を頼りに、女性を美しくマインドも整えられるサロンを目指す

 

ヘアーサロンZEEN(ゼン)

(株)仏楽素富(ブランストン)CEO

石黒貴士(いしぐろ・たかし)さん

 

1980年、滝川生まれ。

2012年に独立してヘア—サロンを経営。

 

手に職をつけよ、と美容師の道へ

 

—どのような美容室ですか?

創業して2019年で7年目。札幌の中央区と東区に2店舗あるヘアーサロンです。スタッフ13人でやっています。特徴としては、女性をきれいにするのは当たり前で、どれだけより美しくしてあげられるか。見た目も心も変えてあげたい。そう思ってお客さまに接し、日々、トレーニングをしています。

平日の営業はお昼の12時からですが、朝8時半スタッフは出社します。マネキンに向って練習しています。コンテストに向けての仕込みやイメージをつくっているのです。それぞれ、自分の課題というものに向きあって。感性・クリエーションを鍛えています。

店名は座禅のゼンから付けました。社名は「仏のこころ、楽しいこころ、素直なこころ、富めるこころ」。その四文字を取りました。

 

—お客さまはどんな感じ?

女性は美容室に「変身・変心」しに来るのです。美容室はカットするだけの場所ではないんです。心地のよい空間で変わる時間を楽しんでいただく。なので、ウチは家具とか小物にもこだわっています。

カラーカットは約2時間。来店頻度は1ヶ月。固定客がほとんどを占めます。カット5,000円から、という感じです。

 

—どうして美容師に?

実は、わたしは、いろんな仕事をしてきました。10代の時、何をしたいのかと、すごく悩んでいました。自分のやりたいことを探す旅に出ていたようなもの。土木作業員・運転手・工場・スーパーマーケット・営業などをやったのですが、自分の中で腑に落ちるものがなかった。でも、接客と道路を真っ平らにする作業は楽しいなあと(笑)。

ウチの実家は、祖父が始めたハンコや印刷の自営業なんです。その祖父が「手に職をつけよ」とよく言っていたのを記憶していました。そこで、美容師と介護士が思い浮かびました。介護士はちょっとちがうかなと。

21歳の時、美容師になろうと決め、その日に求人誌に載っていたお店に連絡しました。「今日来れますか?」に「はい」と。働きながら、3年間、通信教育の専門学校で学び資格を取得しました。

 

 

—修業はどのように?

修業は10年と、自分で決めていました。5店(社)を経験して、ちょうど10年目に独立しました。技術を修得する店、大規模チェーン店、中規模での幹部としての経験などを積んできました。

独立直前、大きな挫折というか失敗をしました。「面貸し」といって店の中で1つの場所だけ借りて委託でやることにしたのです。当時は天狗になっていましたね。ぜんぜんお客さんから予約がない。そんな時、子どもも生まれて。収入も1/6くらいに減って。「ああ、俺は終わったな」と思いました。でも、妻のひと言に助けられました「だいじょうぶだよ」と。

 

経営書を探しに本屋でドラッカーを知る

 

—ドラッカーを知ったきっかけは?

起業する時に、経営について何も知らなかったことから、経営書を読まなければと思ったのです。書店へ行っても、何を読めばいいかわからなかったですね。でも、なにかドラッカーの赤本シリーズに目が向いたのです。直感で手にとったのが『非営利組織の経営』でした。非営利の組織のように会社を運営したらうまくいくのではないか、と思ったんです。読みながら、書いてある内容を美容業に捉え直して、自分ごとに置き換えてノートに書いていきました。「ああ、なるほど」という感じで。こうやっていけば、経営って、うまくいくのかと。このノートを軸に会社・店をスタートさせました。

 

—独立直後は?

今、幹部としてがんばってくれている人と2人で独立しました。前職の「お客さんは持っていかない」と約束しての出発でした。最初はぜんぜん来店がなくて。苦労しました。けれど、ポツポツと来てくれるお客さんも現れ、ありがたかったですね。独立当初は、根拠のない自信が支えました。

 

—その後は?

当時も今もやっていますが、日々の学びや思ったことをブログに書いていました。内容を読んだ幼なじみの知人を通じて、『実践するドラッカー』シリーズ著者の佐藤等さんを知りました。3年前「経営塾21next」という勉強会に参加することにしたのです。佐藤さんの最初の印象は、「本質的な人」という感じ。

勉強会は月に1回開催。毎回、テーマがあり、マンダラチャートに気づきを落し込み、参加者のメンバー同士でシェアしていくスタイルです。ドラッカーマネジメントを「ああ、そういうことなんだ」と。成果って世の中を変えることなのか、とか。わかりやすくほんと、勉強になりました。学んだことをすぐ店のスタッフにアウトプットして。そういうことをずっとやってきています。

幹部スタッフにはドラッカーの読書会にも参加してもらって、共に学んでいます。ドラッカーってドンとした中心軸があるじゃないですか。本質的だなと。人って時に偏る時があると思うのですが、ドラッカーには中心軸があるからみんなに学んでほしいなという想いがあります。

 

—スタッフとはどのように?

スタッフとは毎月一人ひとりと面談するようにしています。肚を割ってのコミュニケーションを大切にしています。もっと店が良くなっていくためには、皆がつながらないと。相手の立場で考えるとは、どういうことなのか、とか。生き方や考え方が偏っていると技術も偏っていきます。原理原則が大切だよという話しをします。

中心軸をもった考え方をしているスタッフは、カット後の仕上がりもおさまりもいいんです。自分本位で切っているとダメなのです。「◯◯さんだったら、どうなんだろう」という相手のことを考えてお客さんに接してほしいと言っています。これを先輩から聞いた造語で「だったら理論」とみんなで言っています(笑)。

自分のことではなく、相手のことを第一に考える理論ですね。美容師は技術ではなくて、人間性が重要なのです。

 

 

—ご自身の学びも?

ドラッカーは佐藤等先生から。脳とマインドはサンリの西田文郎先生から。カラダとフィジカルは中心道の須田達史先生から。この3分野をバランスよく学んでいきたいと考えています。そうして自分自身も、会社も進化していきたいと思っています。

 

—今後の抱負は?

クリエーションチームがいる新業態のお店を構想しています。お客さんのメイク・ファッションをトータルにコーディネートしていくようなスタイルです。その後、50歳までに「美容モール」というものを札幌市内につくりたいと考えています。札幌に女性専用で半日をゆったりと過ごせる施設。主婦や子どもが学べるような場所です。

女性、特にお母さんのマインドを変えていくことに貢献していきたい。女性が変わっていくと子どもたちが変わり、やがて日本が変わる。そこに関わっていきたいと思っています。

 

 

 

 

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取材記者/エディター   1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、人口減少の道内経済に貢献すべく、地域の新しい情報の発信をライフワークにする。一眼レフを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドや道の駅・キャンプ場を取材。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』『北海道キャンプ場&コテージガイド』『北海道道の駅ガイド』(共に北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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