「実践するドラッカーセミナー」でドラッカーを学び、札幌に出店する道東のメガネチェーン店 千里堂(株)取締役 眼鏡部マネージャー古川晋祐さん@網走

千里堂(株)

取締役 眼鏡部マネージャー

古川晋祐(ふるかわ・しんすけ)さん

 

1980年、網走生まれ。

2000年、千里堂入社。現在に至る。

「実践するドラッカーセミナー」でドラッカーを学び、札幌に出店する道東のメガネチェーン店

 

裸眼を目指す眼鏡店へ

 

―どのようなお仕事ですか?

当社・千里堂はメガネチェーン店と調剤薬局、食品スーパーを経営しています。メガネ店は4店舗あります。網走本店・斜里店・北見店・紋別店。わたしはこの4店舗をまわり、各店長と現場を統括することが主な業務です。加えて、こちらから展示会などに出かけて仕入れをするメーカー・ブランドがあり、その仕事も担当しています。店頭に立っていることもあります。以前は店に長時間立って接客する時間が多かったのですが、最近はわたし自身は予約制にしていて、指名がある時以外は店に立つということはなくなりました。販促も担当していて、チラシやDMなどを企画・制作しています。

 

 

―ドラッカーを知ったのはいつですか?

ドラッカーを初めて知ったのは、6年くらい前。きっかけは、Dサポート社の佐藤等さんと清水祥行さんの「実践するドラッカーセミナー」です。わたしが受講する前に社長の伊藤が受けていました。内容が大変すばらしかったので、「次は受けてきてよ」ということで申し込みしました。全部で4〜5回シリーズでした。受講するにあたって『実践するドラッカー』本をすべて購入して読みました。セミナーはすごく頭に入ってきました。佐藤さんがドラッカーの解説をした後、清水さんが振り返りの質問ワークをして。肚に落ちるという講座でした。刺激的なセミナーだった記憶があります。

 

―その時はどんな状況でしたか?

当時の状況として、メガネ業界は安売系のチェーン店が勢力を拡大している時期でした。どの店もメガネが叩き売り状態でした。自分たちがやりたいことと、市場のスタイルや需要に対するギャップが大きかったことを感じていました。葛藤の中にありました。安売りに舵を切ったほうがいいのか、それとも高品質なもので勝負できる路線でいいのか。迷いがありました。

 

―セミナーをどのように活かしましたか?

一番刺激的だったことは、「顧客はドリルを求めていないということ。穴がほしいのだと」。わたしたちの店におきかえて、「穴は何なのだろうか」と。「そうか、メガネは欲しくないのかもしれない」と思いました。じゃあ、メガネをかけないようにすればいいんだと。メガネをかけたいと望む人は少ない。しかたなくかけている人が多いのです。すごく狭いところだけで商売の努力をしていたことに気がつきました。できれば裸眼がいいよねと。当時いろいろ偶然の出会いなどもあり、裸眼で生活できるためのメガネ“裸眼を目指すメガネ”を提案することにしたのです。

 

 

―近視にならないメガネを提案している?

そもそも、なぜ人間の目が悪くなるのか。一番大きな要因は近い所を長時間見ることにあります。草原で遠くばかりを見る生活をしていたら、目はさほど悪くならないのです。しかし、現代社会の日本で生活すると、どうしても近くを見なくてはならない。近くを見やすくするために、わざわざ目は悪くなってくれているのです。近視は、ある意味進化しているとも言えるのです。けれど、普通は遠くがよく見えるようにメガネを作ります。どうして近視になっているかというプロセスを無視して理想の視力は1.0だから。とメガネをつくっているのです。

ウチは近くを見て、近視にならなくても済むようなメガネを提案しています。パソコンがデスクトップなのかノートPCなのか、タブレットやスマホをどのくらい見るのか?などしっかりと問診をして近くの距離を快適に見える度数をご提案します。3年くらい前から取り組んでいます。子どもならば、家の中では近くが見やすいメガネをかけていて、外へ出るときはメガネをはずして外出するという状態が当社の理想です。

 

 

―どのような変化がありますか?

まずは自分の目で実験してみて、首の張りと肩こりが軽減しました。また、近視の度数が弱くなりました。元のメガネをかけてみるといかに負荷がかかっていたかが、わかりました。ウチの子どもたちの目でも確かめてみています。その結果をみてからお客さまにご提案するようになりました。わたしはプライベートでは、度数が異なるメガネを3本は使い分けています。パソコンなど近くを見る時用、普段用、運転する時用です。一般の人でも、少なくても2本を使い分けた方が目が楽だと思います。ほとんどの人がメガネを1本ですませようとします。ドラッカーを学び、顧客は何を求めているのか。お客さまの立場から出発することに転換できたことが大きな収穫でした。

 

 

メガネ一筋に顧客へ寄り添う

 

―これまでの生い立ちをおしえてください

オホーツク海側の網走市に生まれ。現在39歳です。網走の高校から札幌の専門学校へ進みました。就職は地元へ。Uターンして現在の会社に新卒で入社しました。以来、千里堂にずっといます。20年近くになりましたね。ウチの会長がよく言うのですが「メガネは半医半商(はんいはんしょう)だ」と。半分医療、半分商売の意味です。眼鏡店はちょっと特殊な立ち位置なのです。加えてファッション的な要素もあります。ブランドも多種多様。こういった要素が自分的には合っていたのかもしれません。個人的にも子どものころからメガネは千里堂でしかつくったことがなかったですね(笑)。

 

―入社後は?

25歳の時、斜里町にお店を出す時に店長になりました。店長といってもほとんど1人で回していました。すごい仕事量をこなしていましたね。メガネ業界的には、3万円くらいだった単価が2万円弱まで下がり、買い替えのペースは3年から2年半くらいで短くなるという変化が起きていたころです。安売りチェーンの影響が色濃くなっていました。当時は取り扱いブランドの違いで差別化を図るという感じでした。

 

 

―髪型がユニークですね

ヘアスタイルはずっとこれです。会社でも自分は変わったヤツだと思われていると思います(笑)。やることをやって結果を出して、自分の好きなスタイルで店頭に立ちたいという思いがありました。自分としては、お客さまに親身な対応を心がけてきました。提案することを大切にし、何が似合うか、客観的に見てアドバイスしてきました。とことん似合うメガネを探します。するとメガネ自体を好きになってくれる人が多くなったように思います。メガネは楽しいものです。マテリアル的な話も追求していくと奥深いものがあります。材質がこうだとか、適度なホールド感のためにはこの素材がいいだとか。いろいろな知識を仕入れておいて、お客さまに合わせて引き出しから出してお話しするという接客を心がけています。

 

 

―経費をかけて学びつづける?

月に1度は法務・会計プラザが主催する「経営塾21next」に参加しています。このためだけに網走から札幌に来ています。飛行機代と宿泊費をかけて。今年2年目です。いつも講師の佐藤等さんのドラッカーをベースにした話が新鮮です。いろんなセミナーに出ているほうですが、佐藤さんの話は刺激的ですね。ドラッカーの本だけでは理解できていない部分もたくさんあるのですが、佐藤さんの解説や、学び仲間のリアルな現場の実例を通して理解することができます。参加者の皆さんが魅力的な人が多いという印象です。仕事に対して前向きな人ばかり。懇親会でも心地いい時間を過ごせています。

 

―どの本が好きですか?

圧倒的に『実践するドラッカー[事業編]』が好きで一番読んでいると思います。何回も何回も読み返しています。事業編ばっかり読んでいるかもしれません。廃棄と集中でいえば、集中しています(笑)。あれもこれも、より「まずは事業編だな」と。読むというより、ばーっと眺めるように見ます。おどろくのは、その時々によって飛び込んでくる文字が違っているのです。「こんなこと書いてあったのか!」と。するともう1回、その部分をしっかりと読み直しています。

 

 

―今後の展望は?

今年2019年、念願の札幌に進出することが決まりました。9月に琴似に店を出します。道東以外では初の出店です。実はここ2年くらいで、札幌に出張して「視力の測定会」を不定期開催してきました。3ヶ月くらの間隔でやってきたのですが、現在はおかげさまで予約で一杯になるのです。「いつになったら札幌にお店をだすのさ?」と言われてきたこともあり、ちょうど物件的にもいいものがあったことで決めました。

 

―プライベートでは壮絶なことも

実は4年前、妻が急死しました。3月の中旬でした。長男が小学校に入学をひかえているタイミングでした。なんの前ぶれもなく。その日から何ヶ月間は自分は記憶がないくらいの日々を過ごしました。一番下の子は1歳すぎ。今でも実家にサポートをしてもらいながら、日々の仕事や出張に出ています。夏休みとかは毎日弁当をつくって学童保育に出しています。だから時間管理はとても大事。ドラッカーを学んでいてほんと良かった。廃棄を徹底し、会社にも理解してもらって、仕事は17時までで帰宅して夕食を作り家事・子育てをしています。

妻を亡くした1年後に精神的なものが原因で胃ガンになりました。36歳の時です。胃の半分を摘出しています。けれど、みなさんに助けてもらっています。自分のつらい経験は、今つらい思いをしている人の支えになることができると思っています。誰かの役に立てることにとてもやりがいや喜びを感じています。人生、いろいろと大変ですけれど、常に前を向いて学びつづけて。お客さまに尽くしていきたいと思っています。

 

 

 

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取材記者/エディター   1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、人口減少の道内経済に貢献すべく、地域の新しい情報の発信をライフワークにする。一眼レフを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドや道の駅・キャンプ場を取材。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』『北海道キャンプ場&コテージガイド』『北海道道の駅ガイド』(共に北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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