前回は「事業の目的」と「事業の定義」について述べました。事業にはもう一つ重要な原理があります。それは「事業継続ための3つの要素」です。
継続する事業は3つの要素を満たしている
①事業は組織の使命にそっていること
②事業は組織を取り巻く環境に適合していること
③事業は組織の強みを生かせること <マネジメントの原理9>
以下、簡単に説明します。
①についてですが<マネジメントの原理6:組織の目的(ミッション)を実現する手段として事業がある>ことから考えれば当然です。目的と手段のミスマッチは失敗するということです。
②については外部環境の変化によって生じる「機会」を生かすことができるかどうかが重要です。事業は変化しながら今に至っています。
たとえばブリジストンは仕立物業で創業し、足袋専業に事業を転換しました。その後、地下足袋業を手掛け、滑らない足袋の開発からゴムに事業を転換しました。こうして滑らないパターンの開発は現在のタイヤ事業に生かされていくのです。創業1906年の同社がいかに変化に対応し、機会をものにしてきたかがわかります。
事業で失敗しないために機会を生かし、現状にとどまらないことが重要です。
③についてですが事業は強みの上に築かなければなりません。たとえば高齢社会という機会があるからといってまったく強みのない介護事業に進出するなどのケースは失敗する可能性が高いということです。機会とは自社が儲かる可能性のことではありません。機会は、自社の強みを生かし、事業をとおして使命を実現できるかという基準で選択しなければなりません。
これらの3つの要素はどれを欠いても事業が上手くいきません。新しい事業はもちろん、既存の事業においてもいえることです。たとえば自社の強みが相対的に弱くなっていると感じたら事業からの撤退時期かもしれません。これら3つの要素は事業が失敗しないため、継続するために常に確認しなければならない原理だといえます。
原理のマネジメントが必要な理由
第1回目は、原理がマネジメントにいかに必要かについて触れています。<方法ではなく原理を手にすること>の大切さについては何度も確認して欲しいと思います。
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