今日は「自分の仕事に不満を持つ」の第二回目。
前回は、「従業員満足」という概念について、
ドラッカー教授が否定的であったというお話をしました。
必要なのは、自分の仕事への「価値ある不満」。
とはいえ、「従業員満足」という概念については、
まだまだ根強い支持があります。
そこで、今回は、「従業員満足」という概念がうまれた背景から・・
恐怖による動機づけ?
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今日、従業員満足が関心をあつめている理由は、
産業社会において、
もはや恐怖が動機づけとはなりえなくなったからである。
「現代の経営(下)」 第23章:最高の仕事への動機づけ
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「飴と鞭(アメとムチ)」なんてお話があります。
ひと昔前の、単純作業や反復作業を中心とした仕事をしていた時代には、
こうしたご褒美と恐怖による動機づけ(アメとムチ)も有効だったかもしれません。
でもそれは、人間を「家畜」か、「猿回しの猿」、
あるいは「奴隷」や「消耗品」と見ているとしか思えない支配&コントロールの管理思想。
有効だった時代は終わった
それでも、仕事ぶりが、「量」で判断できる状況では有効でした。
それは「同じとき」に「同じ場所」で
「同じ」作業をする人、もしくは「同じ」生産物をつくる人が
たくさんいるときには、効果はてき面でした。
標準量が設定できるし、
観察するだけでも、仕事ぶりがわかる。
だから、いわゆる「ノルマ」の量で強制労働の管理ができたのです。
しかも、多くの人の生活が貧しい時代には、
昨日までもらえていた「アメ」が
突如貰えなくなることが恐怖だったはずですから
経済面からの恐怖の効果は大きかったはずです。
しかし、そんな扱いを受けた側から見れば
心から貢献しようとは誰も思っていなかったと思います。
「早くこの(奴隷のような)状況から脱したい。」
頭の中は、そんな思いでいっぱいだったでしょうね・・・。
仕事の量ではなく仕事の質を考える
ところが、現代に働く私たちは、「質」を求められています。
「質」とは、相手・・つまりお客様にどれだけお役に立つかということです。
そして、これまでとは違う何かを生み出すことです。
それは単なる生産量(出来高や提供した量など)や
投入量(労働時間など)で測定できるものではありません。
野球チームの監督が、
「じゃあ、今日は全員最低1点以上は点数を取れ。
4番のお前は3点な。」
とノルマ設定をしていたらおかしいですよね。
営業活動や製造現場も同じです。
できる限り大量に作るのではなく、
適量を作り、適量をお渡しする。
そのためには、知恵や判断力が必要です。
できたタイミングでお渡しするのではなく、
適切なタイミングでお渡しする。
これも同様です。
そして、
より良い方法を工夫したり、
より喜ばれる形を企画したりするのも同様です。
同じものを大量につくる能力は、人間の強みではありません。
機械やロボットの強みです。
私たち人間の強みである、
知覚や企画の力を発揮するためには
「昨日と同じ」に安住するのではなく、
「昨日とは違う何か」を求める働き方が必要になるはずです。
それに、ひょっとすると、
これまでとは違う、より良いものを模索する働き方こそが、
いつまでも「恐怖による動機づけ」が有効だと
妄信している人たちへの最も有効な抵抗手段かもしれませんね。
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Q:新しいやり方に挑戦していますか?
Q:もっと喜んでもらえる商品やサービスに取り組んでいますか?
(いずれも、自分なりにできる範囲のもので結構です)
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