【要約】『非営利組織の経営』P.F.ドラッカー著 上田惇生訳 ダイヤモンド社


「非営利組織の経営」本の表紙

『非営利組織の経営』は1990(平成2)年、ドラッカー80歳の時の著作だ。非営利組織の経営について、世界で最初の本格的な著作であり、古典とされる。
非営利組織とはNPOのことだけではない。大学、学校、病院、心臓協会、協会。訪問看護も自然保護団体も本書が取り扱う組織・分野だ。これら、さまざまなミッションを持ち、日々、成果をあげるマネジメント論を理解すれば、営利組織としての企業経営はもっとやりやすくなるように思う。一人ひとりの人間に位置付けと役割を与えるものがコミュニティである。このコミュニティにどのように息を吹き込んでいけばいいのか。その答えが本書にあるように思う。
全5部、全25章。節ごとの重要フレーズを書き出してみた。

第Ⅰ部 ミッションとリーダーシップ

第1章 ミッション

―ミッションは行動本位
リーダーが初めに行うべきは、自らの組織のミッションを考え抜き、定義する ことである。
ミッションは行動本位たるべきものである。さもなければ単なる意図に終わ る。ミッションとは、組織に働く者全員が自らの貢献を知りうるようにするも のでなければならない。

―ミッションの具体化
ミッションそのものは永遠のものでよい。
しかし、目標は具体的でなければならない。
仕事は、ひとつ追加したならばひとつ削除しなければならない。人はそれほど 多くのことができるはずがない。

―ミッションの三本柱
重要なことは強みによる成果である。なすべきもののうち、うまくいっている ものをさらにうまく行わなければならない。
第1に問うべきは、機会は何か、ニーズは何かである。
第2に問うべきは、われわれの強みにあっているかである。
第3に問うべきは、心底価値を信じているかである。

 

第2章 イノベーションとリーダーシップ

―変化は機会
暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。それがイノベーションであ る。倦むことのない刷新である。
イノベーションの大前提は、変化は脅威ではないという認識である。変化は機 会である。

―イノベーションを成功させるために
まず初めに、機会が見えるようにしておかなければならない。窓の外が見える ようにしなければ何も見えない。
新しいものを担当する部署の位置付けは、独立した部門として組織しなけれ ばならない。
新しいものには、それに惚れ込んだ人間のコミットが必要である。本気の人は パートタイムではやってくれない。

―リーダーを見つける
第1に、その人が何をしてきたか、何が強みかを見る。
第2に、組織が置かれている状況を見て、組織のために行うべき重要なことは 何かを考える。
第3に、真摯さを見る。

―リーダーの役割
優れたリーダーは「私」とは言わない。いつも「われわれ」と考える。
リーダーとしての能力の第一が、人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。
リーダーにとって最悪のことは、辞めたあと組織ががたがたになることであ る。

―リーダーは自らつくりあげる
人を組織に引きつけるものは高い基準である。高い基準だけが誇りをもたら す。
リーダーをつくりあげるものは仕事である。リーダーとは仕事を通じて自ら つくりあげるものである。

―バランスをとる
リーダーたる者の重要な仕事のひとつが、個別的な問題と全体的な問題、短期 的な問題と長期的な問題など、2つのもののバランスをとることである。
難しいのは、集中と多様化のバランスである。最大の成果は集中することによ ってのみ手にできる。ただそこにはリスクが伴う。
バランスに関わる意思決定こそ、非営利組織が優れたリーダーをもたなけれ ばならない理由である。

―リーダーがしてはならないこと
決定する前には人と相談しなければならない。議論したり参画させたりしな ければならない。
リーダーは後継者を自分ひとりで選んではならない。どうしても20年前の自 分に似た者を選びたくなる。
してはならないことの最後は、手柄を一人占めすることである。リーダーと は、部下や同僚に責任を持つ存在である。

 

第3章 目標の設定

―機会のターゲット
新しいミッションのために顧客を創造しなければならなかった。
実際に変化を起こすために私が「機会のターゲット」と呼ぶものに働きかけ た。
―ボランティアのトレーニング
仕事の基準を決め、トレーニングし、目線を高く保つように努めている。これ こそが、ボランティアのマーケティングについての最も重要な心得だ。
ボランティアとは報酬ではなく、仕事に喜びを見出すという種類の仕事のプ ロ。
もうひとつ重要なこと。感謝すること。

―人口構造の変化を先取りする
顧客が複数であるという点では、ガールスカウトは非営利組織の典型だ。女の 子たちとボランティアたちの両方が顧客なわけになる。
新しいプログラムの導入について大事なことは、マーケティングのプランを ていねいにつくることだ。宣伝するだけではだめ。人と接するための方法をす べて探ることだ。

 

第4章 リーダーの責任

―人の可能性を引き出す
できることは、人がすでにもっているものを伸ばすことである。もっていない ものを伸ばすことはできない。
リーダーには、そこに働く者に機会と仕事を用意する責任がある。
リーダーの定義はついてくる者をもつ者。リーダーは未来志向でなければな らない。

―機会を提供する
今日働く人たちにとって最も重要なものが機会である。自己実現の機会であ り、意味あることに関わりを持つ機会だ。
失敗しても第2のチャンス、第3のチャンスを与えることだ。挑戦してこない 者は放っておく。

―チームづくり
チームづくりのために、第1に、自分たちの仕事が何であるかを理解するこ と。自分がしなければならない仕事は何かを知らなくてはならない。
第2に、人を配置すること。
リーダーの姿勢が大切。変化にどう対応できるか。もめごとにどう対処できる か。関係者のニーズにどう応えられるか。

 

第5章 リーダーであるということ

―ミッションを見直す
非営利組織はミッションのために存在する。それは社会を変え人を変えるた めに存在する。
繰り返しミッションを見直していく必要がある。
ミッションの見直しにあたっては、外の世界からスタートすることが決定的 に重要である。機会つまりニーズを知るには外を見なければならない。

―長期目標からスタートする
長期の目標を目指さなければならない。そこから戻って今日何をするかを考 えなければならない。
行動は短期的たらざるをえない。だからこそ、長期の目標につながるか、寄り 道にすぎないか、目的を見失っていないかを考えなければならない。

―成果を中心に据える
活動に見合う成果をあげたかを考えなければならない。資源の配分が適切か を考えなければならない。
行動とは、ミッションを書き換え、焦点を合わせ直し、そのうえに新しいもの を築き、組織することである。そして廃棄することである。
しかも、これらを行うべきは、万事がうまくいっている時である。下り坂にな ってからでは遅い。

―組織の模範となる
リーダーシップとは模範になることである。
考えるべきは自らは何をなすべきかである。
自らにとっての優先順位は何か。組織にとっての優先順位は何か。何でなけれ ばならないか。それがアクションプランである。

―市民社会をつくる
非営利組織を通じて明日の市民社会をつくりつつある。その市民社会では、み ながリーダーである。みなが責任をもち、みなが行動する。
したがって、もはやミッションとリーダーシップは、読んだり聞いたりするだ けのものではない。実践するものである。
よき意図と知識を、成果をあげる行動へと転換するものである。

 

第Ⅱ部 マーケティング、イノベーション、資金源開拓

第1章 マーケティングと資金源開拓

―非営利組織のマーケティング
非営利組織には4つのものが必要である。プランニング、マーケティング、人、 資金である。
マーケティングとは、まずマーケットを知ることである。マーケットリサーチ である。次に、マーケット・セグメンテーションである。そして提供するサー ビスの受けて側に立つことでである。

―資金源開拓の戦略
非営利組織は、資金源開拓のための戦略を必要とする。非営利組織は募金によ って資金を手にしなければならない。大義に共鳴する人たちから資金を得な ければならない。
資金源開拓とは、支持者や参画者を獲得する行為である。
資金については、使える資金と活動のバランスを図ることである。

 

第2章 成功する戦略

―行動志向の戦略
戦略が山を動かす。ミッションとプランは意図にすぎない。
戦略が意図を行動に変える。忙しさを仕事に変える。いかなる資金と人材が必 要かを明らかにする。

―改善のための戦略
改善のための戦略では目標が必要である。しかも野心的なくらいの目標が必 要である。
改善のための戦略には、機能しなくなったものの廃棄が含まれる。
改善のためにいかなる戦略をもつか。いかなる分野で新しいことを行うか。目 標を設定し、そして働かなければならない。

―定性的な目標設定
量的な目標は設定できなくとも、評価することのできる目標は設定できる。
量的な尺度、質的な尺度。同じように重要である。

―戦略のステップ
信者を増やしたいのであれば、マーケットをセグメントし、それぞれのセグメ ント用のサービスを考えなければならない。
目標を明確にしなければならない。ターゲットと成果を示さなければならな い。すなわちたくさんの戦略が必要となる。
いつまでに成果を出すかを検討しなくてはならない。

―気をつけるべきこと
文書によるコミュニケーションと口頭によるコミュニケーションの双方が必 要である。
非営利組織においても不足しているのはアイデアではない。不足しているの は、それらのアイデアに実を結ばせるための意欲と能力である。

―イノベーションの機会
成功している非営利組織は、機会が誰の目にも見えるようにしている。
同時に、イノベーションの機会なるものを組織の内外で体系的に探している。
絶対確実な戦略は、うまくいっているときに、組織の方向づけを変え、組織そ のものを変えることである。

―イノベーションの条件
イノベーションに成功するための第1の条件が、変化を脅威ではなく機会と して見ることである。
変化を目にしたならば、「この変化を使って何に貢献できるか」を考える。
あらゆることについてニッチ、専門性の可能性を求めることが必要である。

―犯しやすい間違い
テストの段階、パイロット版の段階を飛ばしてはならない。
新しいものには、考えていたところとは別のところにマーケットがある。これ は昔からの常識である。
「知っていると思っていることから始めるのはやめよう。知らなければなら ないことから始めよう」と言わなければならない。

 

第3章 非営利組織のマーケティング戦略

―マーケティングと販売の違い
マーケティングの目的は販売を不要にすることだ。
顧客や消費者からスタートすればマーケティングである。製品やサービスか らスタートすれば販売である。
マーケティングで重要なことは、働きかけた相手から反応を得ること。反応を 得るにはこちら側から何かを示さなくてはならない。

―マーケティングの3つのステップ
競争上の優位性は、自らの強みを伸ばし、それを狙っているマーケットにぶつ けることで得られる。
自らの強みを誰にマーケティングするかを徹底的に分析しなければならない。
マーケティングの考え方からすれば、相手を分類した上で絞り込むこと。

―非営利組織のニッチ戦略
ニッチ戦略、狭い範囲のマーケットを探し、それを満足させるところがうまく いっている。
企業と同じように非営利組織の世界でも差別化が必要になっている。
スモールイズビュティフルだ。

―マーケティングが求められる理由
マーケティングが活発になったのは、かつてないほどに競争が激しくなった ため。
マーケティングはトップが関心をもち、理解し、先頭に立たなければ役に立た ない。

―マーケティングの成果を測る
マーケティングとは人との共鳴関係をつくること。
マーケティングの成果を測る1つの方法は、どれだけの人が自分たちを知っ てくれたか、あるいは好きになってくれたかを調べることだ。
多くの組織がリサーチ、マーケット分類、分類に合わせた方針・方法・プログ ラムをつくり、その上で広告に入る。この順序が大切だ。

 

第4章 資金源の開拓

―気にかけてくれる人たち
非営利組織には支持層となるものが必要。
最初にすることは、寄付をしてくれそうな人たちに私たちの組織の成果を知 ってもらうこと。
自分たちは、誰にとって大事存在になりたいかについて徹底して考えること。

―募金を集める名人
マーケットを徹底的に調べて、顧客価値を追求する。
「去年は10ドルを寄付していただいた。今年は25ドルでいかがでしょうか」 と頼む。すると半分の時間で出してもらえる。
他の組織から寄付をうばい取るのではなく、ニューマネーを開拓すべき。

―長期的な関係を築く
支援する価値のある組織だと思ってもらうために訴えるべきことは何か。
長期的な関係を築くために、フォローアップをする。手紙を書く。イベントに 招待する。年次報告書を送る。
いただいた寄付で何を行ったかをお知らせする。

―マーケットごとの戦略
資金源開拓とは教育機会でもある。お金を集めるだけではなく、会の活動を強 化する機会につながることを知る。
戦略とは資源の使い方のこと。分類した41のマーケットごとに戦略を定める。
働きかける相手には、理性的にかつ兄弟愛に訴える。

―ボランティアという基盤
テクノロジーはボランティアが成果をあげるうえでの補助的な手段にすぎな い。
資金源開拓とは人間の育成である。
資金源開拓は、ミッション、マーケット、寄付者、ボランティア、成果からの フィードバックに基づいた活動でなければならない。

 

第5章 非営利組織の戦略

―戦略の重要性を知る
ミッションを成果に結びつけるものが戦略である。
非営利組織が成果をあげるには、改善とイノベーションの戦略を必要とする。
ノンカスタマー、サービスを必要としサービスを欲しているものの、いま可能 な方法では手にしていないという人たちである。

―人をトレーニングする
人のトレーニングは行動に関して行わなければならない。「これが行うべきこ とである」といわなければならない。
新しいことを始めるための戦略は、その新しいものを成功させたがっている 者から始めなくてはならない。

―廃棄のシステムをつくる
「われわれは何をしようとしているのか」。これを知っておけば結果からフィ ードバックすることができる。
機能しなくなったもの、貢献しなくなったもの、役に立たなくなったものを廃 棄するシステムが必要である。
戦略はニーズに始まり満足に終わる。

 

第Ⅲ部 非営利組織の成果

第1章 非営利組織にとっての成果

―成果を定義する
非営利組織は直接成果を考えなければならない。常に考えるべきは成果である。
顧客のニーズに応えているといえるだけでは不十分である。顧客の欲求を生 み出さなければならない。
大義の追求を考えずに成果を求めることは、危険な落とし穴である。

―多様な関係者
成果をあげるにはプランが必要である。プランはミッションからスタートす る。ミッションがあげるべき成果を規定する。
非営利組織と企業の最大の違いは、多様な関係者がいることである。
その多様な関係者のすべてを満足させなければならない。

―長期の目標への合意
長期の目標以外に、すべての関係者の関心を調和させる方法はない。
全関係者の関心事をプランに折り込まなければならない。
この関係者全員の関心を組織のミッションに折り込む作業は、建築のプロセ スに近い。一度わかればそれほど難しいことではない。しかし大変な作業であ る。

―大義と経済性
大義においては成果が得られなければ努力を倍にしなければならない。
資源は成果があがるところに投入しなければならない。
非営利組織たるものは、貢献という見地から自らの目標を設定しなければな らない。そして、常にそれらの目標をより高次元のものにしていかなければな らない。

 

第2章 「してはならないこと」と「しなければならないこと」

―してはならないこと
「みなさんの成果は何だと思うか」と聞いた。すると問題は簡単に解決した。
「ミッションの実現にプラスになるか」を考えなければならない。
もちろん争いは不要である。しかし多くの場合、組織構造の改革の必要性を現 している。

―しなければならないこと
組織構造を階層ではなく、情報とコミュニケーションを中心に組み立てるこ とである。
自分が仕事をするためには、いかなる情報を、誰から、いつ、いかにして手に 入れなければならないかである。
自らが負うべき貢献と成果についての責任を考え抜き、書きとめなければな らない。

―権限委譲のルール
移譲した権限の内容、目標、期限を明確にしなければならない。
さらには、移譲した側からのフォローがなければならない。
もちろん権限を移譲された者の側にも、予期せぬことはすべて報告する義務 がある。

―基準の設定
基準は高く設定する必要がある。緩めてはならない。
基準は共通でなければならない。
目標は野心的でなければならない。しかし達成可能でなければならない。

―人を活かす
人は自らの仕事ぶりは自ら評価できなければならない。目標と基準さえ明ら かならば評価は可能である。
評価は常に抜きん出てよくできたことに基づいて行わなければならない。
組織の人間が外へ出る機会を何度でももたせなければならない。

 

第3章 成果をあげるための意思決定

―何のための決定か
組織の運命を定めるのも意思決定である。致命的に重要な意思決定を行うことができるのは、トップマネジメントだけである。
成果をあげるものは、さほど多くの決定は行わない。重要な決定に集中する。
意思決定において最も重要なのは「なんのための決定か」を考える部分である。

―意思決定のリスク
優れた意思決定には時間と思考が必要とされる。だからこそ余計な決定はしてはならない。
些細なことをわざわざ意思決定してはならない。
問題は機会とリスクの関係である。検討は、リスクからでなく機会から始めるべきである。

―真摯な不同意
最初から全員が賛成ということは、誰も何も考えてきていないことを意味する。
何についても意思決定であるかを知るためにも、反対意見が必要である。
反対の意見を建設的にとらえ、相互の理解と敬意の鍵として利用しなければならない。

―意見の対立を利用する
常に「いま正しい方法はどれか」を考える者が必要となる。
争いをなくすには、意見の対立を利用することがひとつの方法である。
論点を1つひとつ潰していくという方法もある。やがて対立点が重要でないことが明らかになる。

―決定が意図に終わる4つの原因
企業では、テストの段階をとばせば失敗することが昔から明らかにされている。同じことは、社会的なプロジェクトやサービスにも当てはまる。
決定の内容は、それを実行すべき人にわかる言葉で表され、かつ彼らの常識に適うものでなければならない。
加えて決定はいつでも撤回できるように代替案を用意しておくことである。

 

第4章 学校の改革

―生徒がどう学ぶべきか
教師の教える責任よりも、生徒の学ぶ責任のほうが大きい。
できない生徒などというものは存在せず、存在しているのはできない教師だけだ。
学校は成果に集中しなければならない。

―公立学校を救う
最初に取り組んだことは、経済界との連携だった。
教育者としての教員向けの組合機関誌も出した。

―長期の目標と短期の目標
短期ではなく長期の目標を追求しているところでは、長期的な目標が達成される中で短期的な目標が実現されているのを目の当たりにしている。
長期的な目標を見失ってはいけない。

 

第5章 成果が評価基準

―成果のあるところに資源を投入する
あらゆる組織にとって成果こそが判定基準である。しかし、非営利組織にとって、成果こそ最も扱いの難しい問題である。
非営利組織にとっては「われわれにとっての成果は何か」という問いに答えることはきわめて難しい。しかし答えなければならない。
成果は1種類ではない。直ちに得られる成果もあれば長期的な成果もある。いかなる成果があるかを正確に把握することは難しい。

―成果を明らかにする
成果は組織の内部ではなく外部にある。教師の成果は生徒に現れる。
非営利組織は成果を明らかにして初めて目標を設定することができる。
「なすべきことをなしているか。活動は正しいか。ニーズに応えているか」。

―成果に責任をもつ
成果は集中によってあげられる。「それはわれわれのものではない。ほかの人たちのほうがうまくやれる」。あるいは、「それはわれわれが得意とするものではない」という勇気がいる。
プランだけでは仕事は行われない。期限を切られた者が行って初めて行われる。
何度も何度も繰り返すべき究極の問いは、「自分はいかなる成果について責任をもつべきか、この組織はいかなる成果について責任をもつべきか。自分とこの組織は何をもって憶えられたいか」である。

 

第Ⅳ部 ボランティアと理事会

第1章 人事と組織

―人事の原則
すでにいる人材からより多くを引き出すことに全力を尽くさなければならない。
誰を採用し、誰を解雇し、誰を移動させ、誰を昇進させるかという人事によって決まる。
人事は第一に、なされるべき仕事からスタートする。

―人を育てる
第1に、不得意なことで何かを行わせてはならない。
第2に、近視眼的に育ててはならない。
第3に、エリート扱いをしてはならない。

―強みに焦点を合わせる
向かい合って、約束はこうだった。この1年どうだったか。何をうまくやれたか、と聞かなければならない。
大事なのは成果である。1つの仕事ではなく、一連の仕事での成果である。
挑戦する者には機会を与えることが原則である。挑戦しない者は放っておいてよい。

―ミッションを感じさせる
非営利組織の強みは、報酬のためでなく大義のために働くことにある。仕事を労働にさせてはならない。
「われわれが誇りとするものは何か」「われわれはどのような素晴らしいことをしたか」と聞くことである。
ミッションを感じることこそが非営利組織の活力の源泉である。

―リーダーを育てる
ボランティアをダイナミックに成長する戦力としてとらえなければならない。
人の育成にあたって最も有効な方法が、先生役をしてもらうことである。
非営利組織のリーダーたる者、仕事のできる部下からのプレッシャーを歓迎しなければならない。

―チームを編成する
チームをつくるには人から始めてはならない。なされるべき仕事から始めなければならない。「なされるべきことは何か」を考え、次いで「鍵となる活動は何か」を考える。
チームの全員が自らのなすべきことを明確にすることである。 リーダーたる者は、組織の全員に対し「リーダーである私が知るべきことは何か」を考えてくれるよう頼まなければならない。

―トップの継承
やり直しがきかない最も難しい人事がトップの継承である。
非営利組織の成否を決めるものは、やる気のある人たちをどれだけ惹きつけ引きとめられるかである。
われわれは人事によって明日を築いているだろうか。それとも安易な日常に満足しているだけだろうかということである。

 

第2章 理事会とコミュニティ

―非営利組織の理事会
非営利組織が成果をあげるには強力な理事会を必要とする。
理事会は資金集めに自ら中心的な役割を果たさなければならない。理事会が先頭に立たなければ、非営利組織が必要とする資金を集めることはできない。
理事とは地位ではなく責任である。

―ツーウェイ・リレーション
非営利組織においては、あらゆる関係が双方向でなければならない。
「申し上げたいことがある」ではなく、「お聞きしておくべきことはありませんか」といわなければならない。
「わたしたちはあなたを忘れません」。身内だった人たちの現況を把握することで、たいした努力なしに大きな成果をあげることができるはずである。

第3章 ボランティアから無給のスタッフへの変身

―パートナーとしてのボランティア
いまのボランティアはパートナーである。無給のスタッフ。リーダー役を果たしている。
ボランティアへの動機づけさえあれば、能力の獲得は自分にとってのニーズになる。
やっていることの重要性を実感できるよう気を配っている。

―動機づけ
「上のほうの1割の学生をつかまえなさい。彼らをつかまえられなければ、全員はつかまえられません。しかし、上位1割にやる気を起こさせることができれば、平均的な連中はついてくる」
もっと下の連中は祈るしかない。できる人の集団をつくることが大切

―理事会の活性化
非営利組織のCEOは、理事会に対して「これがやっていただきたいことです」といわなければならない。さもなければ余計なことばかりするようになる。
リーダーと普通の人たちの差は一定であるという法則がある。なので、リーダー的な人たちに働きかけなければならない。

―人としての尊厳
一人ひとりの、個としての尊厳をあらゆる活動の真ん中に据えている。
自分の仕事は、人の自己実現を助けることであると考えている。
人が行うべきことを行えるようにすることほど大事なことはない。それが、リーダーについての唯一の定義である。

第4章 理事会の役割

―理事の役割
理事会は組織のオーナーである。ミッションのためのオーナー。
第2にスポンサーである。第3にアンバサダー(大使)であり、第4にコンサルタントである。

―CEOの仕事
理事会に成果をあげさせることがCEOの仕事。
情報はみなに知らせる。悪い情報の説明は110%にし、よい情報の説明は90%にとどめるという2つの原則を守っている。
1対1で話し根回してをして理事会に持ち出す。根回しが大切。

―協力な理事会をもつ
強力な理事会、やる気のある理事会、エネルギッシュな理事会こそCEOにとっての武器である。
理事会との間で健全な関係を築くことこそ、CEOにとってきわめて重要な仕事。
強力な理事会をもたないかぎり、いかなる非営利組織といえども力を発揮することはできない。

 

第5章 人のマネジメント

―非営利組織に特有の問題
ボランティアが、今日では非営利組織の活動においてますます重要な役割を果たすようになった。
非営利組織は、企業よりも圧倒的に多くの関係者を相手にしなくてはならない。
非営利組織の理事会の役割も企業の取締役会とは異なる。非営利組織のほうが活動的で、はるかに大きな貢献を行う。

―仕事と成果を明確にする
第1に、仕事の内容を明確にしなければならない。
第2に、成果を中心に置かなければならない。非営利組織で働くのは大義を共有するからである。
人は失敗しても再びチャンスを与えられればやり遂げる。

―トップの仕事を知る
非営利組織に働くものは「この組織は自分に何を求めるべきか」を問う。
自分が力を入れていること、自分が責任をもつべきと考えることについて、共に働く人たちに理解してもらわなければならない。
「自分は何を学ばなければならないか。この組織は何を学ばなければならないか。5年後ではなく、いまこの数ヶ月において何を学ばなければならないか」を問う。

 

第Ⅴ部 自己開発

第1章 自らの成長

―責任ある仕事
自らの成長のために最も優先すべきは卓越性の追求である。
人は組織とビジョンを共有するからこそ非営利組織で働く。金銭的な報酬を得ていないからこそ、仕事そのものから多くを得なければならない。
半年ごとに「自分は何を勉強したか。ここでの仕事は人生をどう変えているか」という問いに答える手紙を自分宛に書いている。

―成果をもたらすもの
自己開発に最大の責任をもつのは本人である。上司ではない。
成功する人たちは年に1、2度反省している。「いかなる分野で大きな貢献をしたか。いかなる分野が私を必要としているか。いかなる分野で時間を無駄にしたか。いかなる分野に集中すべきか」。
人は、強みへの集中によってのみ自らの成長を図ることができる。

 

第2章 何によって憶えられたいか

―働く環境を知る
成長するには、得るべき所はどこかである。自らがベストを尽くせるのはどのような環境かを知らなければならない。
われわれは気質と個性を軽んじがちである。だがそれらのものは訓練によって容易に変えられるものでないだけに、重視し、明確に理解することが必要である。

―所を得る
仕事において学ぶことがなくなれば、人間の大きさが一挙に小さくなる。
日常化した毎日が心地よくなってきたときこそ、違ったことを行うよう自らを駆り立てる必要がある。
必要なのはほんの小さな変化である。

―強みを生かす
成果をあげるための第一歩は、行うべきことを決めることである。
しかる後に、優先すべきことを集中すべきことを決めることである。
強みとはスキルの有無ではない。能力である。それは変えにくいものである。

―成長の原理
仕事のやり方を変えたのではない。意味を加えたのである。
自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。
成長のプロセスを維持していくための強力な手法は、教えること、移ること、現場に出ることである。

―「何によって憶えられたいか」という問いかけ
今日でも私は、いつもこの問い、「何によって憶えられたいか」を自らに問いかけている。これは自己刷新を促す問いである。
自分自身を若干違う人間として、しかしなりうる人間として見るよう仕向けてくれる問いである。
運のよい人は若い頃そう問いかけられ、一生を通じて自ら問いかけ続けていくことになる。

 

第3章 第二の人生としての非営利組織

―季節の変化
自分にとって大事なものが何かを知ることはきわめて重要。
「目的は何か」「何が大事か」からスタートする。道具は同じものを使う。しかし、つくりあげるものは違う。
「顧客は誰か。顧客にとっての価値は何か」

―世界を広げる
あらゆる関係者と関係を密にしておかなければならない。
さもないと組織の内部のことにとらわれ、外の世界に奉仕するという本来の役割を忘れてしまう。
年代間の違いにも気をつける。30代と40代は違うし、50台はもっと違う。

 

第4章 非営利組織における女性の活躍

―男性社会での女性役員
調整能力やコミュニケーション能力は、試行錯誤で学んでいくもの。謙虚に学んでいくもの。
「それは患者さんにとってベストでしょうか」、という問い。
あらゆる組織にとって出発点は「われわれの目的は何か」でなければならない。

―成果の評価
ミッションの達成にどれだけ貢献したかを判断する方法。
具体的な方法は、机の上にある便箋にチェックしていくだけ。
抽象的なレベルでは博士論文の進捗状況をチェックしている。

―自己開発に力を貸す
最高の自己開発は、他人の自己開発に力を貸すこと。
特にビジョンと目標を明らかにさせることだ。
燃え尽きを防ぐにはさらに働くことだ。

 

第5章 自らを成長させるということ

―自ら自分の人生を設計する
「自分の人生は自分で設計しなさい。誰も設計してはくれない」。
一つは人としての成長であり、一つは貢献のための能力の向上。
「何によって憶えられたいか」を問う。そこから人としての成長が始まる。

―能力向上の方法を知る
自己開発は、なされるべきことから始まる。自分ではなく課題からスタートする。
すでによく行っていることをさらによく行うこと。もう一つは、それまでとは違うことを行うこと。すなわち、改善と革新である。いずれもが重要である。
自己開発は哲学でも願望でもない。それは人としての成長である。「明日何をしますか。何をやめますか」とお聞きすることによって本書の結びとしたい。

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花岡 俊吾
アウトドアライター/記事制作者   1965(昭和40)年、北海道恵庭市生まれ。高崎経済大学卒業、(株)ピーアールセンターにて広告・マーケティング業務に従事。2007年独立、人口減少の道内経済に貢献すべく、地域の新しい情報の発信をライフワークにする。一眼レフを片手に、年間100日以上をアウトドアフィールドや道の駅・キャンプ場を取材。新聞記事連載やWEBコンテンツ制作がメインの仕事。P.F.ドラッカーの読書会、札幌ビジネス塾に10年以上通い、上田惇生先生のサイン入り『経営者の条件』は家宝。著書に『アウトドア&感動体験ガイド北海道』、『北海道キャンプ場&コテージガイド』(共に北海道新聞社)。休日はマラソンと登山に勤しむ。

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