テレワークを円滑に進めるコミュニケーションとは? 部下とのコミュニケーションについて大切なことを紹介します。


テレワークは、通勤のストレスが減った、ワーク・ライフバランスが向上した、生産性業務効率化が向上した、家庭と仕事の両立というメリットがある一方、コミュニケーションが不足し、意思の疎通に問題がある、勤怠管理が難しい、仕事とプライベー切り替えが難しいなどの問題との調査結果が出ています。

 

テレワークにはデメリットもあるものの、7割の人がテレワークの実施を希望しています。

一方で、テレワークのみの勤務を希望する人は、約25%、約75%の人がテレワークと出社とのハイブリット勤務を希望しています。

出社を希望する理由として、対面の方が相談報告をしやすい、社内の人間関係も大切にしたい、雑談などのコミュニケーションで生まれるアイディアもあるなどがあげられます。

 

この表にはありませんが、一人暮らしの人の場合、1日中あまり広くないワンルームの自宅で仕事をしていると、気持ちが塞いでくる、たまに人と雑談などのコミュニケーションを取りたいという意見も聞かれます。

 

現在、在宅でできる仕事というのは、ドラッカーでいうところの、知性を使って新たな価値を創造するナレッジワークです

 

問題解決意識を持ち、ひらめきを必要とするクリエイティビティの高い仕事は、一人でぼーっとする時間(マインドワンダリング)を必要とします。昔からひらめきが得られる場所として、【3B】Bathroom(風呂やトイレ)、Bus(移動中)、Bed(寝床)と言われています。

 

ただ、一方で思いついたアイディアを広げ、発展させていく、現実的なプロジェクトにするするためには、コミュニケーションも必要です。アリストテレスは、弟子と散歩をしながら議論しことから、逍遙派と呼ばれています。人と人が、何か他のことをしながら、話すというのは古来より有効なコミュニケーションとされています。

 

テレワークは、通勤のストレスが減った、ワーク・ライフバランスが向上した、生産性業務効率化が向上した、家庭と仕事の両立というメリットがある一方、コミュニケーションが不足し、意思の疎通に問題があるとされています。この両者のいいとこどりはできないのでしょうか。

 

理想的なコミュニケーションとは

 

職場において理想的なコミュニケーションとは、どう言ったものなのでしょうか。それは、リモートワークでは不可能なのでしょうか。

 

ドラッカーは経営者の条件の中で理想的なコミュニケーションについて以下のように述べています。

 

「生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。仕事上の関係において成果がなければ、温かな会話や感情も無意味である」

 

P F ドラッカー. ドラッカー名著集1 経営者の条件 (Kindle の位置No.1196-1197). ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

「経営管理者から従業員へ、上司から部下へという、下方へのコミュニケーションだった。だがコミュニケーションは下方への関係において行われるかぎり事実上不可能である」

 

P F ドラッカー. ドラッカー名著集1 経営者の条件 (Kindle の位置No.1217-1219). ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

ドラッカー マネジメントのコミュニケーションとは?では、どうすべきか。

ドラッカーは、上司が部下に「聞く」ことから始まるコミュニケーションをすべきであるとしている。

 

「その結果、まず部下が、「自分はどのような貢献を期待されるべきか」を考えるようになる。そこで初めて、上司の側に、部下の考える貢献についてその有効性を判断する権限と責任が生じる。経験によれば、部下が設定する目標は、ほとんど常に上司が考えているものとは違う。部下は現実を上司とは違うように見てい る。しかも有能であるほど、また進んで責任をもとうとするほど、現実や機会やニーズについての見方が上司のそれと違ってくる。この違いはかなり大きい」

 

P F ドラッカー. ドラッカー名著集1 経営者の条件 (Kindle の位置No.1224-1229). ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

ドラッカーは、上司はまず部下の話を聞くように求める。その問いかけによって部下に「自分はどのような貢献ができるか、どのような貢献をすべきか」考えさせる。

 

次にドラッカーは、貢献を部下が自発的に意識することによって横とコミュニケーションの必要性に気づくことができると述べている。

 

「知識組織においては、成果をあげる仕事は、多種多様な知識や技能をもつ人たちで構成されるチームによって行われる。彼らはフォーマルな組織構造に従ってではなく、状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力して働く」

 

P F ドラッカー. ドラッカー名著集1 経営者の条件 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1234-1236). ダイヤモンド社. Kindle 版. 

 

上司からの問いかけによって自分が何をすべきか自覚した部下は、他者との協力が必要であると気づき、自ら協力して働くようになるというものである。

 

職場でのコミュニケーションは、成果を目的としている。

 

ドラッカーはこう言いますが、現代において上司が職務上求められているコミュニケーションは職務遂行上のコミュニケーションだけでありません。部下の個人的な事情、本人の健康や家庭状況に配慮し、無理のない勤務体制を敷く必要があります。

 

上司に求められているのは部下に「尋ねる」そして部下の話をじっくり「聞く」こと。一般的にネガティブな事柄について、部下から自発的に発言してくれることは期待しない方が良いでしょう。部下が申し出てくるときには、問題が大きくなってからのことが多いものです。だから、そうなる前に、部下に尋ね、じっくり話を聞くことを意識してみてはいかがでしょうか。

 

データにあるように、多くの人が、コミュニケーションを求めているのは、安心感が欲しいから。リモートワークで働く上で、多くの人が感じるは、自分が今していることはこれでいいのか、自分はなすべきことをしているのかという不安です。

リモートワークは、自分はチームの一因であるという所属間と自分の働きはチームのためになっているという貢献感を感じにくい傾向にあります。

 

しかしそうした漠然とした不安を部下が上司に自ら告げることはまずありません。

リモートワークは、上司は部下に対して指示を出すだけになりがちです。上司は部下に「尋ねる」と「話を聞く」を意識してみるとリモートワークでの仕事がスムーズに進むかもしれません

 

 

清水祥行からの問い

上司と部下のコミュニケーションについては、上司も部下も悩みの種です。

コミュニケーションの量が少なくなると、間違った方向づけがされやすくなります。
・熱心であればあるほど、自分の専門分野や担当を重視して全体調和ができなくなる
・たまたまのタイミングの、上司の何気ない一言が原則のルールになってしまう
・立ち場や担当によって同じ言葉を違う意味や意図で使っていることに気づかない
・正しい判断よりも共通の測定指標(売上や作業時間など)が重視されてしまう
といったことを、ドラッカー教授は指摘しています。

だからと言って、やたらとリモート会議を増やすと、仕事をする時間がなくなってしまいます。

必要なのは、部下に「尋ねる」内容です。

重要なのは目標である。そのため年二回マネジメント・レターなるものを書かせている組織がある。

上司が目標とすべきものと、自らが目標とすべきものを書く。
期待されていると思う水準を書く。
目標を達成するためになすべきことと障害になっていることを書く。
組織と上司が行っていることのうち、助けになっていることと妨げになっていることを書く。
自らの目標を達成するために、次の一年間に行うべきことを提案する。

この手紙が上司に受け容れられたとき、それは憲章となる。

『現代の経営(上)』p177-178

これらの問いを部下に尋ねたとき、私の経験上では予想外の答えが返ってくるでしょう。
「そんなことを上司の俺が目標としてると思ってたの?俺の仕事って何だと思ってるの?」
「そんなことを目標にしてたの?それって・・・あなたの仕事の出来映えと関係なくない?」
「良かれと思ってしてあげてたのに、邪魔になってたの?早く言ってよ~!」
と・・最初はかなりがっかりする内容が書かれると思いますが、
それは「早めに確認できてよかった」と考えるべきです。

そして・・・あなたがこの手紙を見て、
 〇×の採点だけ返して済ませようとしたり、
 意外な回答に怒りの感情を爆発させたりするようであれば、
部下は上司の顔色をうかがった、忖度をするだけの主体性を失った存在になります。
重要なのは、コミュニケーションの質であり、
そのためには、尋ねる内容と上司の聞く姿勢なのです。

Q:あなたには的外れに見える意外な意見や提案をしてきた部下に、あなたはどんな態度を示していますか?

【解説者】清水祥行プロフィール

Dサポート株式会社代表取締役、ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ
一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)

清水祥行
『ドラッカーを読んだら会社が変わった!(日経BP社刊)』『ドラッカー教授組織づくりの原理原則(日経BP社刊)』編集協力。 中小企業におけるドラッカーのマネジメント実践をサポートする[実ドラ・実践ナビゲータ]。 『実ドラ:実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)をテキストに、1日一冊で、マネジメントを実践的&体系的に学ぶ[実践するマネジメント講座]の講師を全国で務める。  趣味は、受講企業に訪問して実践事例を取材するとともに、自社では気付かない強みをフィードバックすること。
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