「部下とコミュニケーションがとれない!」を解決する3つの実例

 

会社を辞めたい理由のトップ3に必ずランクインしている「社内の人間関係」。なかでも、部下とのコミュニケーションに悩む管理者は少なくありません。「フィードバックしても無反応」「進捗を報告してこない」など、いろんな悩みがあると思います。

さくっと解決できればいいのですが、なかなかそうはいかないのが現状ではないでしょうか? そこで今回は、「部下とコミュニケーションがとれない!」をテーマに、まずは原因についてお話ししていきます。有名企業の実例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

 

 

 

『最後に、自ら問いかけよう!』

最後に、[実践するマネジメント講座]の講師 清水先生から読者のユーザーの皆様の行動を促す大切な【問い】と、解説がついたスペシャルコンテンツとなっていますのでぜひ最後までお読みください。

 

では、スタート!

 

問題は部下とのコミュニケーションだけじゃない?!

社内コミュニケーションの問題は、上司と部下の間だけで起きているわけではありません。まずは、こちらのグラフを見てください。

出典:ProFuture株式会社/HR総研
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=255

HR総研が2020年1月に実施した「自社の社内コミュニケーションに課題があるか?」という調査結果です。企業の規模に関係なく、「大いにそう思う」「ややそう思う」を合わせると、約8割近くの企業が社内コミュニケーションに問題を抱えていることがわかります。

つまり、上司と部下の関係というよりも、社内全体で何らかのコミュニケーション問題を抱えているわけです。この事実を踏まえたうえで、「なぜ、部下とコミュニケーションがとれないのか?」について見ていきましょう。

 

 

なぜ、部下とコミュニケーションがとれないのか?

部下とコミュニケーションがとれない理由は、上司側に原因があるのかもしれません。参考までに、こちらのデータを見てください。

出典:ProFuture株式会社/HR総研
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=255

 

こちらのデータも、HR総研が実施した調査結果となっています。企業規模に関係なく、コミュニケーションを阻害している要因トップ3は、「管理職のコミュニケーション力不足」「社員のコミュニケーション力不足「組織風土、社風」でした。

なかでも注目したいのは、「管理職のコミュニケーション力不足」です。大企業と中小企業を比較すると、中小企業のほうが19%深刻な結果となりました。理由としては、経営層と社員との距離が近すぎることが関係しているようです。いい意味でも悪い意味でも、経営層が社員に与える影響が大きいためと推測されています。

これらのデータは、一例に過ぎないという側面もあります。すべての企業に該当するとは限らないわけです。でも、ここでご紹介した調査結果からもわかるとおり、どちらかというと上司側のコミュニケーション力にやや問題があるのかもしれません。

ここで大切なことは、犯人捜しをしないことです。「アイツのせいだ!」とか「自分に問題があるのかな?」など、誰のコミュニケーション能力に問題があるか探しても、何の解決にもなりません。社内全体で、コミュニケーションを活性化させていくことが、何よりも大事なのです。

 

 

【実例】社内コミュニケーション活性化の取り組み

社内コミュニケーション活性化に関する取り組みは、すでにいろんな企業が実施しています。そういった実例を参考にすると、部下とのコミュニケーション問題が解決するかもしれません。ここでは3社の事例を見ていきましょう。

ヤフー株式会社「1 on 1 ミーティング」

日本のヤフー株式会社が実施しているのは、「1on1ミーティング」です。2012年より開始しています。ミーティングを実施するのは、原則週に1回。約30分にわたり、上司と部下がコミュニケーションを図っています。

面白いのは、ミーティングの最初に「テーマ・ゴール」を共有することです。一見、話題が広がらなさそうに見えますが、毎回深い会話ができるといいます。また、ミーティングの成果が可視化されているため、上司と部下の双方が効果を感じやすい工夫がなされているのです。

 

株式会社資生堂「リバースメンター制度」

資生堂は、ちょっとユニークな制度を使って、コミュニケーションの活性化を図っています。その名も「リバースメンター制度」。コンセプトは、若手社員が上司のメンターになるというものです。

対象となっている上司は、社長、執行役員を含んだ約20名。この制度により、部下はコミュニケーション力のアップ、上司は部下の指導方法、育成スキルのアップを実感しているそうです。

 

③日本ヒューレット・パッカード株式会社「Women at Work Japan (WAWJ)」

ヒューレット・パッカードの場合、Women at Work Japan (WAWJ)という社内のネットワークを作っています。これは、社員同士が自らの経験・ノウハウを共有する仕組みです。必然的にコミュニケーションが生まれるため、無理なく人間関係を構築することができています。

また、この活動を始めてから10年以上経過していますが、社員1人ひとりがスキルアップを実感しているそうです。結果的に、業績アップにもつながるため、非常に効果的な取り組みと言えるでしょう。

 

 

【まとめ】部下を切り捨てる前に「ドラッカーのマネジメント」を学び、実践あるのみ!

さて、解決事例3つをご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか? これはあくまでも成功事例でので、現場に落とし込むためには、まだ少し情報が不足しています。

より体系的なことを学び実践したい方には、『実践するドラッカー』(著者:佐藤等)をオススメ致します。

『実践するドラッカー【行動編】』

『実践するドラッカー【思考編】』

『実践するドラッカー【事業編】』

 

『実践するドラッカー【チーム編】』

 

『実践するドラッカー 利益とは何か』

 

『実践するドラッカー』シリーズは、ドラッカー教授のすべての著作を翻訳し、「日本における分身」と言われた上田惇生氏監修のもとで佐藤等が書き下ろした体系的に実践するための著作です。佐藤等氏は、ドラッカー学会の理事でもあり、自ら「実践するマネジメント読書会」を創設し、全国に普及させています。

本シリーズはドラッカー教授の教えを毎日の仕事に活かす、プロフェッショナルのワークブックとなっております。マネジメントを学んでも、実践しなければ意味がありません。ぜひ本シリーズで”実践できる”マネジメントを学び、日々のお仕事に役立ててください。

また、「やはり一人でマネジメントを学ぶのは難しい」という方へは『実践するマネジメント読書会』への参加をオススメしております。

詳しくは下記リンクより初めての方へ向けた読書会の紹介をご覧ください。

>はじめてドラッカーを読む方のための読書会

さっそくご自身で体験してみてください!きっと、参考になるヒントを得ることができるはずです。

 

実践するマネジメントオンライン読書会の進め方・開催日時・ファシリテーターの紹介・参加方法

 

 

部下とのコミュニケーションについての問いと解説

みなさんはきっと検索した情報だけではない、実践家、専門家の実例や解説を聞いたり、すぐに自分でも実践できる事例が知りたいのではないかと思い、

経営者やリーダーの支えとして、全国の会場やオンラインで読書会を開催している【実践するマネジメント読書会】の清水先生に、上記を読んだうえでさらに【自らに問いをたてて】もらい、その問いに関する解説を付けていただきました。

 

 

 

あなたへの問い

Q1:あなたの会社の「社内コミュニケーション活性化の取り組み」にはどんなものがありますか?

Q2:部下とコミュニケーションがとれている状態とは、どんな状態だと思いますか?

Q3:うまくコミュニケーションが取れていない部下と、二人きりで1時間話すとしたら、どんな話をしますか?

▼問いの解説

 ご近所づきあいのコミュニケーションのゴールと違って、職場でのコミュニケーションのゴールは、「仲良くなること」ではありません。職場でのコミュニケーションのゴールは、信頼関係の構築のための共通の理解です。具体的には、お互いへの期待の確認によって、特定の情報が入った際に行動を始める・変えることへの事前了解と考えていただくとよいと思います。

 ですから、その効果は、特定の情報が入ってきた際、最適な行動がとれるかどうかにかかっています。それは、野球のサインに似ています。例えば、「送りバント」というサインで「送りバント」をしてくれるかどうかです。
サインすなわち情報は「作戦Bに変更だ。」というメッセージの場合もあれば、時計のアラームや、計器の針がレッドゾーンに達すること、あるいは「今月の売上予実対比の報告」かもしれません。こうした情報に応じて、各人が迷わず次なる行動をとれるのであれば、コミュニケーションという「情報のパイプ」が整っているといえるでしょう。

しかしながら、人は知らない言葉を「自分の知っている言葉」や「普段使いの言葉」に置き換えて勝手な読み替えをしているものです。

こんな笑い話があります・・。ある会社で社長が「事業の再構築(リストラクチャリング)を急がなければならない。」と宣言をしたら、みんなが暗い顔になりました。多くの方の頭の中では・・「リストラクチャリング」という言葉→略称は「リストラ」→つまり「人員整理?」と読み替えられていたのです。この状況で、次なる一手について社長が語っても、多くの人の耳には、正しく情報が入りません。

実は「コミュニケーション」という言葉も、普段使いの意味と勘違いして「仲良くなるため」に一緒に飲みに行った結果、共通の認識ができるどころか、酒癖の悪い上司に敬意を感じなくなったというケースもあるようです。

問題は、同じ意味で同じ言葉を使っていないこと、『共通言語』ができていないこと。そして、「言葉の意味」を同じにするための『共通の体験』が少ないこと。

あなたのチームでは
「あのときの❝アレ❞と同じようにやってみよう!」
「❝あの時❞よりは、今の方がずっといい状況だよな。」
で話が通じる状況がつくれているでしょうか。

ちなみに、《実践するマネジメント読書会》に部下や同僚と一緒に出る方は、マネジメントに関わる『共通言語』と『共通体験』の両方を手にすることになります。
「マネジメント言語」を共通の体験で共有していく様子を、ぜひ一度見学にいらしてください。

★★★ドラッカーの言葉★★★

コミュニケーションは、必ずしも情報を必要としない。
実際いかなる論理の裏づけもなしに経験を共有することこそ、
完全なコミュニケーションをもたらす。

マネジメント[エッセンシャル版]p.161

 

【解説者】清水祥行プロフィール

Dサポート株式会社代表取締役、ナレッジプラザ・ドラッカー読書会認定ファシリテータ
一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家、経済産業省登録中小企業診断士(平成8年登録)

清水祥行
『ドラッカーを読んだら会社が変わった!(日経BP社刊)』『ドラッカー教授組織づくりの原理原則(日経BP社刊)』編集協力。 中小企業におけるドラッカーのマネジメント実践をサポートする[実ドラ・実践ナビゲータ]。 『実ドラ:実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)をテキストに、1日一冊で、マネジメントを実践的&体系的に学ぶ[実践するマネジメント講座]の講師を全国で務める。  趣味は、受講企業に訪問して実践事例を取材するとともに、自社では気付かない強みをフィードバックすること。

 

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