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ドラッカーマネジメントの中核―自分の強み(長所)の見つけ方 シリーズ一覧
Q:とても苦労したのに、楽しいと感じた仕事は何ですか?
「自分トリセツ(自分取扱説明書)」の次のページは、どんなときに仕事を楽しいと感じるか?を考えるものです。
苦労した仕事、大変だった仕事であっても、達成感や充実感を味わえる楽しい仕事があります。
その一方で、「いいお金(収入)にはなったけれど、二度と近づきたくない。」というのもあります。
その違いはどこから生まれてくるものでしょうか?
楽ちん(easy)な仕事は、楽しめ(enjoy)ない
仕事だけでなく、遊びでも同じなのですが、
例えば・・・Aボタンを2回押せば、「勝利」という画面が浮かび上がってくる。というだけの『簡単に勝てるゲーム』を楽しむ人はいません。
もしかすると、そのボタンが、
なぐるように強く押さなければ動かないくらいに堅いとか、
ジャンプして押さなければならないくらい高いところにあるとか、
2回押す間隔を15秒00ぴったりにしなければならないとか
・・・負荷が掛かったときには楽しいゲームになるかもしれません。
子供の頃のことを思い出してください。
自転車にまともに乗れるようになったら自転車の曲乗りをしたくなり、縄跳びも普通に飛べるようになったら二重跳びや後ろ跳びに挑戦したりしました。
できるとわかっているもの行うよりも、より難度が高いものに取り組んだときの方がワクワクしたものです。
楽ちんなことは楽しめません。
Easyにできることは、Enjoyできないのです。
それが人の本性です。
《ドラッカー教授の言葉》
知識労働者は生計の資だけの仕事では満足できない。(略)
彼らは、知識をもって何事かを成し遂げることを欲する。
したがって、知識労働者には挑戦の機会を与えることが不可欠である。
『断絶の時代』p.296
だから、大変さや努力は、決してつらいことばかりではないのです。
でも、だからといって、なんでも難しくされたら楽しくなるか?というと、そうでもありません。
上述のように「たとえよい稼ぎになろうともあんな仕事は二度とごめんだ」というケースのほうが圧倒的に多いはずです。
人が挑戦を楽しむことができるようになるためには、
その人に合った一定の環境条件やその人が必要とする情報が整ったときや、
必要とする努力がその人からみて一定の範囲内であるときなど、
人それぞれの「なんとかしたい」という意欲をかき立てられる条件がみたされる必要があります。
人から見れば苦境なのに、自分が生き生きとするとき
ですからちょっと想像してみて下さい・・・
他の人が逃げ出したくなるような苦労を、なぜか自分は心から楽しいと思える状態になるときを。
その様子は周囲から見ると、一種の変人に見えるでしょうね(笑)。
でも、そういう『仕事上の変人♪』であることこそが、
誰かと一緒に働くときの、圧倒的な強み(個性的な長所)となってくるはずです。
とある女性経営者の若い頃のお話しです。
彼女は若い頃、コールセンターで働いていたそうです。
でも、自分はその仕事が向いていない、と思っていました。
それは、対応した電話の状況について、その一つ一つを書類に記録して提出しなければならないからでした。
彼女の電話対応は、彼女の癖のせいか、いつも長電話になっていました。
だからこそ、その対応の全てを記録に残すことなんてできません。
提出すべき事務書類が書けないために、
上司からは「あなただけを特別扱いすることはできない。」として叱責され、
辞めようとしていたときのことです。
同僚のひとりから、
「あなたの電話対応はすばらしいと思う。」
と言われました。
そして、彼女にとっては、コンプレックスであった長電話を賞賛されたのです。
「私だったら逃げ出したくなるような感情的なクレームの電話でも、
一つ一つ丁寧にお話しを聞いてあげて、
最後にはあなたのファンになってしまっているのが、聞いていてわかるの。
相手の気持ちによりそう、ってなかなかできないと思うの。
私は、そこまでする前に心が折れてしまって・・・。」
彼女にとっては、「困っている方を助けてあげる」というのは、
たとえ相手がどんなに感情的になっていようとも自分の使命感をかき立てられる仕事でした。
続けて彼女がいうには
「今度、私がもう無理、と思ったら対応を代わってもらってもいい?
その時のあなたの対応は私が記録するから。」
彼女がその後、コールセンターで大活躍するエースとなったのはいうまでもありません。
あなたはどんなときに、他の方なら逃げ出したくなるような苦境を
わくわくしながら乗り切ってしまう状態になるでしょうか?
それを究めていけば、
敬意と信頼と感謝を持って「変人」という賞賛をされる、あなたの個性が最高に光り輝くときが訪れるはずです。
Q:これまでの仕事を振り返り、とても苦労したのに、楽しいと感じた仕事を挙げてください。
Q:他の人が逃げ出したくなる状況なのに、さほど苦痛を感じなかったことは何ですか?
Q:これまでに、わくわくしながら乗り切った苦境はありますか?
ここまでの記事
【第1回】あなたの『自分取扱説明書』をつくりましょう!
【第2回】あこがれた職業は、自分の仕事観を示す。
【第3回】自分の仕事を「作品」として見てみる
【第4回】作品(仕事)を振り返って気づくこと
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